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おっぱい揉む?

更新遅くてすみません。

今週中にはもう一話投稿予定です。


「歯ぁ食いしばれって言っただろうが。ビビったらマジで落ちちまうぜ?」

 声。

 三太は強風のせいで自分の声さえ聞こえないはずの状況で、何故かその声だけは聞き取ることができた。強風に抗いながら声の主を見れば、

「んん? どうなってんだ、おい…いや、うん。そう、その感じでいいんだよ。前言撤回だ、そのまんま風に身を委ねろ」


 そこに──全裸の美女がいた。


「いや、誰っ!? てか、なんで裸っ!?」

「叫ぶなよ。おれだ、文七だ」

「はぁっ?」

 美女──文七と名乗った女が満面の笑みを浮かべた。

 いや、そんなしたり顔をされてもと三太はただただ困惑するしかない。というか、状況があまりにめちゃくちゃすぎて何からつっこんでいいのかわけがわからなかった。

「あとは祈れ。落ちたくないって素直にな」

「いや、祈れって言われてもっ! このままだと落ちて死──」

「だから落ちなければいいんだろうが」


 何言ってんだこの人…っ!


 反論はいくらでも浮かんだがどうしても言葉に出ない。というか、三太は文七を直視することすら出来ずにいたのだ。色々デカすぎて、刺激的すぎたのだ。

 轟轟と唸る風の音がどんどん大きくなっていく。


 祈れ、と彼女は言った。


 そう言われても三太には具体的に何をすればいいのかわからない。だから、とにかく落ちたくないと念じることにした。けれど、落ち続ける感覚も背中にぶつかる風の衝撃も止む気配がない。どうしようもなくて、三太は文七の言葉を待ったが轟轟と荒れ狂う風の音激しくなるだけだ。文七はこれ以上の助言するつもりはないようだった。


 そもそも、三太は祈ると言う行為をしたことがない。


 だれかが祈る姿を見たことはあっても自分でする習慣はなかったのだ。父に教えてもらった記憶はないし、公的な催事や冠婚葬祭にも参加を許されたことはなかった。

 だから、祈るという行為自体に意味を見出せていなかったし、神頼みなんてこともしたことがない。大体、神様なんてのがいるのならもっと世の中うまくいくはずなのだ。

 例えば、親子間の不和だとか、主従関係なんてものがなくなるとか、幼馴染とも仲違いにならないとか、生きる術を見失うなんてこともないはずだ。

 だから、三太は神を信じない。ただ、文七のことを信じることにした。


 三太を拾った(救った)のは文七だけなのだから。

 

「それでいい。簡単だろ?」


 したり顔でそう言う文七に三太は文句を言いたくなったが、面倒だったのでやめた。

 というか、


「なんか、変な感じです」


 別の意味でそれどころじゃなかったのだ。


 浮いている。

 

 その事実に驚くのはもちろん、それが自分の意志によるものだということに三太はただただ感動しているのだ。こんなことができるようになるなんて想像もしていなかったし、そもそも浮く感覚自体が不思議だった。地面もなく、上下どころか方向の感覚も効いていない気がする。そのくせ不安感はなく、むしろ、なんでも出来そう気分になると言うか。


「──馬鹿か、僕は」


 そこまで考えて、三太は思考を切り上げた。馬鹿馬鹿しい。この状況に酔っている場合じゃないのだ。そもそも、この状況自体が異常なんだから。

 

「あの、ここってなんなんですか。さっきまでの屋敷とも違うし、ていうか、さっきは別な世界っていうか、ここもなんかおかしいっていうか」


「おいおい、質問にすらなってねえ。落ち着けよ。まぁ、なんだ」


 

「とりあえず、おっぱい揉むか?」


 何言ってんだこの人?




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