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悪夢の卒業パーティー

作者: ふにねこ

突如書きたくなったのですが、ご都合主義には目をつぶってください。



「リーリア・カピパーラ侯爵令嬢」


 名前を呼ばれ、背筋を伸ばす。


「私、アレクサンドル・ダイナモンドはこの場を以てリーリア・カピパーラ嬢との婚約を破棄する」


 やんごとなき男と女が突如として舞台に上がり、何事かとみなが舞台に注目しているさなかにその言葉は放たれた。

 こちらの様子を窺っていた観衆たちがざわめいた。


 目の前には銀髪の青い目をした我が国の第一王子様が一人。

 彼の隣には義妹が一人。

 舞台から少し離れた場所で彼らを見上げている私。

 そしてこの場に居合わせたために証人となってしまった運のない卒業生の方々。


 現在、卒業パーティーという人生における忘れられない記憶のベストテンに入るイベントの最中です。

 友や愛する人との出会いと深めていく絆の集大成、いわゆる青春と呼ばれる最高潮の輝ける最高の日。

 まだ体育祭の最中とかなら記憶から消すことも可能だっただろうに。

 よりにもよってこのよき日に消すこともできないので蓋をするしかない記憶となって彼らの中に残るのだろうと思うと目頭が熱くなりそうです。


 事前にわかっていた情報とはいえ、こうして実行者を目の当たりにするとなんと申しましょうか、頭が痛くなります。

 幸いなのはマリーが取り巻きを引き連れておらず、王子と二人きりで舞台に上がったことでしょうか。

 所詮は学校なので、パーティー会場は体育館でありダンス会場であり講堂でもあるので一部が舞台になっているのです。

 そこから私を見下ろしながら、演説で鍛え上げた美声で婚約破棄を言い渡した男は王子というより役者の方が向いているのではないかと思いました。


「そしてマリー()()令嬢を改めて私の婚約者とする」


 根回しはすんでいるのだろうか。

 たぶん、いや、絶対にできてないだろう。

 だからこその私という婚約者だし。

 扇を開き、ため息をつく。








 アレクサンドル・ダイナモンドはダイナモンド国の第一王子である。

 銀髪に青い瞳という組み合わせの細マッチョ。

 何が言いたいかといえば、見てくれだけなら世界一ィィィィィといっても過言ではない。

 だがそれだけだ。

 性格、記憶力、頭脳に関しては平凡だ。

 王族として及第点を与えるとすれば容姿と剣術と胆力とマナーとカリスマだろうか。

 卒業生一同のよき思い出となる日に婚約破棄騒動をぶっこんでくる神経は常人には計り知れない。




 そして義母の娘である我が義妹は見てくれだけなら世界一なのは間違いないと自慢させてもらおう。

 しかもイイ性格しているし、図太いし、胆力あるし、ずる賢いし、腹黒だし、カリスマもある。

 何が言いたいかといえば、アレクサンドル王子の足りないものを補ってあまりある才能の持ち主であり、将来は王妃でもやっていけるくらいの頭のキレと精神力の持ち主だ。

 実にお似合いの二人である。








 現在、私の中では予定調和で話が進んでいる。

 相手を立てつつ目立たずフォローし手のひらで転がすなんて無理だわ。

 亭主関白の旦那の斜め後ろでにっこり笑顔なんて無理だわ。

 なんで夫相手にそこまで気を遣わねばならないの?

 むしろ私に気を遣って欲しいのだけれど。


 前世の私はしがないOLだったのよ。

 国政なんて重すぎる要職、絶対に胃に穴が空いて早死にするわ。

 それでなくても三十路を前に過労で死んだというのに、同じてつは踏みたくはありませんの。

 今生はのんびりスローペースでスローライフを送るのが人生の目標です。


 そんな私だから王子の婚約者という立場は実に煩わしいことこの上ない。

 誰かに押し付けようと思ったけれど、周りを見れば国母に足るに相応しい子がおらず仕方なく甘んじてこの立場に居続けたの。

 今はまだお子様だけれど、大人の女性になったら芋虫が蝶になるがごとく変わるかもしれませんからね、未来の王妃候補とは仲良くなってがっつり囲い込んでおかないと。

 幼いころからそう思っていたらある日、お父様が後妻と女の子を連れて帰ってきたの。


 後妻の方は業突く張りで性格の悪さを隠そうともしない虐待婆だったけれど。

 私と同じ年の娘は格別だったわ。

 幼いながらも容姿は抜群、頭の回転は速く聖女か天使かという振る舞いだけれど、裏では悪女か悪魔かという策略家でしたの。

 素晴らしいわっ!

 メイドの前で責任をすべて私に擦り付ける技といい、それを信じ込むメイド達の様子といい、人心掌握に長けている上にカリスマ性もあった。


 国という巨大な生き物の母になるからには、純真無垢じゃいられません。

 汚泥にまみれてもなお輝く美しさと強さを持たなくては。

 そういう意味ではマリーという少女は今まで見た中でも最高の人材です。


 私はアレクサンドル王子にマリーを紹介いたしました。

 私よりも美しく話し上手で包容力もあり、甘え上手なマリーに彼はすぐにメロメロになりました。

 マリーは恋のスパイスに私の名を使って恋心を煽って王子の心を見事に鷲掴み。

 その手練手管は天性の魔性の女ですわ……。

 障害があればあるほど燃える恋の物語を連続ドラマで見た思いです。

 もちろん私も当て馬として出演しておりましたわ。


 そして学園生活最後の日。

 この日をもって私は王子の婚約者から元婚約者となって領地でスローライフを満喫するの。

 あとは生涯領地から出ることはならない、という言質さえ取れれば万々歳だわ。

 嫉妬のあまり(笑)王子の恋する相手を虐めた婚約者としては王都への立ち入り禁止、領地内のみの自由、修道院送り、まぁこんなものね。

 あとは傷物の侯爵令嬢として政略的な結婚という選択肢もあるけれど、私を溺愛しているお父様の頭にはないし、変なところに嫁がせるくらいなら自分の手元に置いておきたいという愛情深い方なのでそのあたりは安心しています。









「貴様にはマリーを虐げた罪により、日の目を見ることのない幽閉と処す。本来ならば我が婚約者を虐げたのだから毒杯をと思ったが、マリーの嘆願により減刑とした。命を散らさなかったことをマリーに感謝しながら残りの生を全うするがよい」


 ざわめきがどよめきに変わり、すぐにしんと静まり返った。


 罰が重すぎる。


 それが彼らの共通認識だ。

 これがまかり通れば貴族全員、打ち首獄門で誰もいなくなるだろうからね。

 コレが次の王様だと思ったら、頭の中が真っ白になるのもわかるよ諸君。

 私だってそうだもの。


 しかしねぇ、まだご指名されていない理由を考えられない時点で、自分に足りないものがあるのだとなぜ気が付かない?

 年の離れた弟の第二王子、そろそろスペックの高さが知れ渡ってきたよ。

 あと数年で第一王子の評価を追い抜いちゃうよ。

 王様は第二王子の資質を見極めようとしているよ。

 おめがねに適っちゃったら、私と結婚していない第一王子の評価じゃ勝てないよ。

 というか侯爵家という後ろ盾をくっつけてようやく第二王子と対等じゃないかな。


 沸々と熱いものがこみ上げてきます。

 とても攻撃的な気分ですわ。


 うふふふふふふふふふ。

 馬鹿な事を言い出すから王様より先に私が引導を渡してあげなきゃいけなくなったじゃないの。

 普通に王都に立ち入り禁止とか生涯領地から出るの禁止とか、そこでやめておけばよかったのに。


 これでも重すぎる量刑なんだけどね。

 だってマリーは男爵家のお母様の連れ子で侯爵家を継げる立場ではない。

 私がマリーを苛め抜いたとしてもそれは家庭の事情であり、裁くのは家長である父であり、私が嫁に行ったら侯爵家を継ぐのは親戚筋から養子にした義弟だ。


 少し落ち着きましょう。

 前世の乱暴な言葉遣いはスローライフを始めてからじゃないとね、お里が知れるわ!

 地球の日本産だけどね。


「私と王子の婚約は王の名のもとに契約されたもの。破棄できるのは王のみ」


 短く私が言い返す。

 言外に、お前は王命に逆らうのか、という含みを持たせたのだけれど、わかったかしら?

 聴衆の反応を見るに彼らはわかったようだけど……。


「関係ないっ!私は真実の愛を見つけたのだから」


 感極まったように高らかに宣言する王子に、マリー以外の者達は目が点になった。

 私も扇の下で馬鹿みたいに口をぱっかーんと開けていた。

 扇を広げておいてよかったと頭の片隅でそんなことを思っていました。


「だからなに?」


 口をついて出た私の言葉に、聴衆の中で何人かが頷くのが見えた。

 関係も何も、王様の命令と自分の欲望を天秤にかけて自分の欲望を優先しましたという事になぜ気が付かない。

 いや、気が付けないからできる所業だけどさ。


 マリーはうっとりとアレクサンドル王子を見上げている。

 ああ……うん、どうやら私は義妹を買いかぶっていたらしい。

 恋愛脳に侵されて頭が上手く回っていないようだ。


 強かでずる賢いお前はどこに行った?

 それじゃあただの恋に浮かれた女じゃない。

 恋愛って、怖いなぁ……でも恋心は本物なのかぁ……。

 ごめんねぇ、ダメなお義姉ちゃん、これから運命の恋も冷めちゃうことをやらかすから。


「その女を捕まえて地下牢に連れていけっ!」


 高位の貴族子女に向かって直行で地下牢って、悪辣ですね。

 このために連れてきた兵士たちもさすがに躊躇していますが、いい判断です。

 実行していたら、過剰な行為として後でお咎めを受けるところでしたよ。


「トーマスをここに!」


 扇を閉じて私が叫ぶ。


「はいはーい」


 軽い口調で学校の制服を着た少年がパーティー会場に似つかわしくない台車に書類の山を乗せてゴロゴロと押してきた。


「お待たせしました~」


 みなさん、このふざけた学生、実は成人しておりますのよ。

 童顔にもほどがあるいい大人ががんばって学生のふりをした結果がコレ。

 場違いな少年?と書類の登場に誰もがはてなマークを頭に浮かべる。


「まず最初に。我が国は法治国家であり、法を超えた存在はただ一人、我らが国王のみであり、いかなる者であっても王の、そして法の下に裁かれなければなりません。私刑は言いがかりであり、法の下では無効なのです」


 当たり前のことを堂々と。

 そりゃそうだ、という聴衆の皆様の心の同意を得て私はこちらを見ているお二人に笑顔を向けます。

 皆様の記憶に残る、偽法廷劇場の開催です。

 卒業パーティはどこにいった状態です。


「私という婚約者がありながら別の女性と浮気なさったアレクサンドル王子を不貞行為を働いたとみなし告発いたします」

「なっ、何を……」

「マリーをいじめた罪で私を断罪し、ご自分の罪を棚上げしようという根性がまず気に入りませんので、ここから先は正式な手続きにのっとって、法治国家らしく進めていきたいと思います」


 国の法律に則って。

 事実を積み重ねて、その重みで潰してくれよう。


「学園のみならず王宮貴族、はては王都の市民にまでアレクサンドル王子の浮気は知れ渡っております」

「なっ、それは本当なのかっ!?」


 ちなみに私は義妹に婚約者を取られた悲劇のヒロインとして噂を流させていただいております。

 事実だし。


「事実無根だと本気でおっしゃりたいのならばどうぞ。私を気の毒に思う方々からの、お二人のデートの様子からあんなことやらこんなことまで報告を頂いております。もちろん、きちんと精査しておりますが……トーマス?」

「はい、浮気に関する証言集はこちらになります」


 そういって彼は段ボール箱を組み立てるとそこに書類の……いえ、本を五冊放り込みました。

 どんだけ証言が集まってんのよっと心の中でドン引きします。


「こちらは日付順に、いつ、どこで、誰の証言かを記載してまとめてあります」

「た、単なる女友達と街を歩いて何が悪い!クラスメートと学校の中を散策して何が悪いのだ?」


 素で質問してきましたが、最初に真実の愛って言っていたよね?


「個室で二人っきり、いったい何をなさっていたのやら」


 どこの個室とは言わないが、その分意味ありげに言ってみる。

 はい、そこで二人して真っ赤にならない。

 ほんと、どこぞの個室でナニしていたのやら。


「しょ、食事をしていたに決まっているだろうがっ!」


 しらぁっとした空気の中、王子様が怒鳴りました。

 二人の反応を見てただの食事で終わったと信じる人は男と女の事を何も知らない純真無垢なお子様だけです。


「浮気による精神的苦痛。王族から婚約破棄される実害。王妃になるための教育による時間の拘束。この三点を慰謝料の対象とし、請求させていただきます」


 今度は薄い書類の束をトーマスが取り出し、先ほどの段ボールの中に放り込みました。

 八歳になってから私のスケジュールは国に管理されておりますのでこちらはお城の文官の方にお願いして用意していただきました。


 ちなみに婚約破棄における女性の立場の弱さに関しては三か月前に学会で内容を発表させていただきました。

 色々な女性、平民貴族を問わずに婚約破棄をされたという一点で調査した過程で、統計と傾向を割り出してみたら不当な扱いがものすごいことになっていて、思わず発表してしまったのです。

 女性の地位向上はアグレッシブな王妃様の生涯をかけた目標ですので、この発表にいたく激怒という名の感激をされた王妃様がご褒美として駆け込み寺のような修道院を作ってくださるそうです。

 私も利用することになるかもしれないので、誰が何と言おうと、王妃が管理する駆け込み寺の設立は私にとってはご褒美です。

 発案者だから多少の融通をきかせてくれるだろうなんて、ほんのちょっとしか思っていませんよ。


「ちなみに公共の場における活動及び救助活動における体の接触については浮気とは認めません。例を上げればダンスや人工呼吸などですね。それ以外での抱擁、腰に手を回す、膝の上に乗るあるいは乗せるなどは浮気とさせていただきます」


 至極もっともな意見にうんうんと頷きながら話を聞く人たちとは逆に顔を青くしている目の前のバカップル。

 まさかとは思うが、そういったイチャイチャ行為も不貞に入るなんて考えもしなかったとか?

 だからあんなに堂々と公衆の面前でいちゃついていたの?

 恐るべし恋愛脳……。


 二人とも馬鹿じゃないんだけどなぁ……。

 恋に落ちるとこうも馬鹿になるのか……羨ましいを通り越して怖くなってきたぞ。

 第三者視点で見た恋愛脳の自分を想像しただけで眩暈がしてくる。


「次に、私がマリーをいじめたという言いがかりについて、名誉棄損及び侮辱罪と……」

「う、嘘じゃないわっ!私の事をいじめていたじゃないの!みんな知っているわ!」

「その件についてですが、トーマス!」


 私は後ろに控えるトーマスに声をかける。

 待っていましたとばかりに彼は報告書という名の本を広げて読み上げた。


「×月〇日。マリー様の運動靴がインクまみれになっているのを発見。リーリア様はそれを廃棄したのち、教室に戻り、『靴の汚れが他に移るから捨てさせていただきましたわ』とクラスメートの前で報告」


 そのあと、マリーが泣いて大変だったわ。

 一生懸命に慰めるクラスメートの皆様のやさしさに私は秘かに感動しておりましたの。

 捨てる手間を省いてさしあげただけなのに、ねぇ。


「×月▽日。マリー様のノートが切り刻まれて机の上や床に散乱しているのを登校したリーリア様が発見。自らそれらを掃除し、ゴミ箱へ。時間ギリギリに登校されたマリー様に『使い物にならないノートは目障りでしたのでゴミ箱へ捨てましたわ』とクラスメートの前で報告」


 よく考えたら、私より早く教室に入った人が何人かいたけれど、彼らはアレを放置していたのよね。

 私が報告をした後、マリーが泣き叫ぼうと息を吸った瞬間、狙ったように教師がドアを開けて入ってきたので気勢をそがれたあげく、教師が入ってくるのを察知したクラスメートたちが素晴らしい動きで席についたものだから、一人で立っていたマリーが悪目立ちして注意を受けたのは今でも笑えるわ。

 傷心のクラスメートよりも教師による自己評価を気になさるクラスメートの現実主義な一面にさしもの私も驚きを隠せませんでしたわ。

 虐められた事を放置しておく人たちですもの、それくらいは当たり前ですわね。


「◇月×日。マリー様の運動服を昼休みの裏庭で発見。濁った白い液体が付いていたので焼却炉に直接廃棄。教室に戻りマリー様に『汚らしい体操服なら焼却処分いたしましたわ』とクラスメートの前で報告」


 あれってヤバいやつよね。

 マリーの体操服を盗んだのはおそらく男子生徒で、裏庭で体操服にあれこれしているうちに興奮して……。

 放置したのはたぶん、私が通りかかったせいね。

 最低な事をしている自覚があるからこそ大事なものを忘れて慌てて逃げ出したのだろうけど。

 アレを発見した時の私の何とも言えない気持ち、察してくださるかしら。


 ちょっと遠い目をして天井を見上げているうちに、聴衆の方々がざわめき始めました。

 私がしたことは、いたずらされた私物の後始末と報告のみ。

 クラスメートの方々はあっけにとられております。

 マリーをいじめた犯人が別にいるという報告ですから、無理もありません。

 私がやったと勘違いさせてしまったようですね。

 ええ、ええ、わざとではありませんのよ。


「それが虚偽でない証拠は!」

「私でございます」


 トーマスが手を上げました。


「リーリアの取り巻きの言葉など、何一つ信用に値しない」


 どや顔で王子が物申しましたけれど、残念。


「彼は私の取り巻きではございません」

「何?」

「彼は陛下にお願いしてつけていただいた監視人でございます」

「は?」


 顔が整っていると呆けた顔も見ごたえがありますのね。

 愛嬌がありますわ。


「詳しく申せば、私の動向を監視し、陛下に報告する人、です」


 これらの報告書の山はすべてトーマスが作成したものであり、当然、同じものが陛下にも届けられているわけで、陛下も内容をご存知なわけで……。

 二人の顔色がどんどん悪くなっていきます。

 大丈夫かしら?

 お願いだから最後まで聞いてちょうだい!

 私の我慢と後始末の努力の結晶なんですから。


「ちなみに、犯人の名前は報告書の最後に記載されておりますが、今は関係ありませんので公表はさし控えさせていただきます」

「嘘よっ、きっとその方たちはお姉さまに命令されてしかたなくやったのよ!」

「王族と言えば暗殺がつきもの」


 唐突に投げかけられた私の言葉にマリーは意表を突かれたのか黙った。


「暗殺を阻止するためにはどうすればよいのか?手始めにありとあらゆる場所の監視による不審者の割り出し。不審者の友人関係及び背景の調査……」


 察しの良い方々は気が付いたようです。

 なかなか頭の回転の速い方がおりますね。

 馬鹿な王様が誕生したらこの国の未来はあなた方にかかっていますので頑張ってくださいまし。


「王子を守るために、警護の方々は日々がんばっておいでです。不審者がいつどこに出没し罠をしかけるかわからない以上、手は抜けません」

「何が言いたいのかわからぬ。簡潔に申せ!」


 察しの悪い方代表の王子がイライラしたように命令してきました。


「王族が学校で暗殺されないよう、王族が通う間は王家の警備が年中無休の24時間体制でありとあらゆる場所の監視を行っております」


 聴衆の中で何人かが崩れ落ちるように膝をついていますが、色々と思うところがあるのでしょう。

 人の目がないと人間、色々と大胆になりますもの……。

 このあと、学校関係者の皆様方は風紀について頭を悩ませることになりますわね。

 そして何組の婚約が破棄されるのか、ちょっとだけ興味がありますわ。

 親も子の不始末に奔走する羽目になってお気の毒ですこと。


「あくまでも彼らは王族の護衛ですので、監視中に見聞きしたことを報告書に記載する以上の事はいたしません」


 何月何日、どこそこで誰が何をしていましたという行動記録があるという事実。

 さすがにここまで言えば察しの悪い方もおわかりになったようで、中には失神する方もいて場は再び騒然としております。


「私が何もしていないという証拠を提示しろというのならば、私は警備記録を証拠として提示いたします」


 まったく、あなたが余計な事を言い出すから関係のない方々にとばっちりが行くのですよ。


「もちろんその際、不備があると困るので記録のすべてを第三者に精査していただくことになります」


 今回の件がなければ焼却処分される警備記録ですが、私が証拠として提示することを要求したため、記録は公にされ、衆目にさらされることになるのです。

 裁判の証拠ですから、百年は保存されることでしょう。

 もちろん中身を見たければ裁判所に開示請求をしてくださいね。

 王様と司法長官が特殊案件として却下してくださるといいのですが。


 聴衆の中からむせび泣く声が聞こえてきますが、ご愁傷さまですとしか言いようがありません。

 開示しないようにお願いするには、まずは自分の親に何をしたかを話さねばなりませんものねぇ。

 親は開示しないように王様や長官にお願いしなければなりませんが……今回の件で唯一、陛下にとって利益のある出来事になりそうです。

 この分ですと、私、陛下に恩を売れたかもしれません。


 さて聴衆の皆様方、恨むなら余計な手間をかけさせたバカップルにしてくださいね。

 私だって被害者ですから。

 降りかかる火の粉を払っただけで、それがどこに飛び火するのかなんて私にはわかりませんし、関係ありませんもの。


「それから……」

「まだあるのか?」


 泣きそうな顔で質問してきた王子様は悲愴というタイトルをつけて絵にしたいくらいです。


「国庫から婚約者にかかる経費等について王子による横領をここに告発したいと思います」


 国庫と横領という言葉に静寂が訪れました。

 私的な問題とは一線を画した問題ですから当然ですね。

 税金を私物化したという国家を敵にした重大な案件です。


「な、なにを……」

「婚約者にかかる費用……たとえば公式な会におけるドレスと装飾品、接待交際費ですが、これらは国庫から出るものです」


 婚約者として公の場に出る場合、ドレスや装飾品といった物を用意できない事情(貧乏)があると王家としても困ります。

 外国の要人に未来の王妃がみすぼらしい姿をしていたら紹介できませんもの。


 国庫から支度金として王子にわたされ、王子からのプレゼントという形で相手の家の面目を保ったうえで公の場で恥をかかないように、そして女性に関連する商品を勉強する機会を王子に与えるという一石二鳥を狙った仕組みです。

 お忍びでレストランや雑貨屋に行くことも市場調査の勉強の一環なのですが、果たして彼はどこまで理解していたのでしょうか。

 支度金=遊ぶ金。

 こんな図式が成り立つと本気で思っているとすれば、婚約破棄されたのは僥倖です。


「婚約者である私に一切使用されていないのに財務局に請求書が回っておりますね。こちらは財務局の方々がすでに調査を終えておりますので、私はそれを証拠として不正に名を使われた事に対しての名誉棄損及び詐欺罪を適用いたします」


 本来ならば私に与えられるべき物をわたさなかった、私に対する詐欺です。

 ちょっと強引かと思いましたが、まぁなんとでもなるでしょう。


 マリーが困惑したようにネックレスを触っています。

 国庫の支度金からプレゼント代が出ていることを知らなかったようですね。

 この場合、貢いだ相手に罪はないので安心してほしいです。

 可愛らしいおねだりに抗えなかった男が勝手に横領しただけですからね。

 私は鬼ではないので、いわれのない罪をきせたりは致しません。


 気が付けば婚約破棄という身内で済ませる問題が国家を巻き込む大事件に発展、という劇的な展開に聴衆の皆様は興奮しているようです。


「わ、私は次の王になるのだぞ!」

「継承権のある王子であることは認めますが、国による正式な次代の王に指名されておりませんよね。貴方の肩書は王太子ではなく第一王子です」

「し、しかし……」

「今、次の王になれるのはアレクだけですわっ!」

「そ、そうだ!王になるのは私だけだ!」

「そして私はアレクを支える王妃となるのですっ!」


 はい、不敬罪というか国家転覆、反乱罪がたったいま追加されました。

 こんな大勢の前で何をいっちゃっているんでしょうか。

 精神的不安定による錯乱による減刑を希望したとしても、逆にこんな王族を生かしておく方が怖いと思うしいなくなって欲しいと思う人が多数で、減刑どころかひとおもいにやっちゃいましょうという方向で判断される未来しか見えません。


「次代の王に指名されていない以上、王になるという宣言は撤回されたほうがよろしいかと」

「撤回はしないっ!私以上に相応しいものなどおらぬ!」

「そうですわ。私のアレクこそが王に相応しいのです!」

「王弟のサファイヤ様がおられます。継承問題についてこれ以上の言及はお控えください」


 仮に今、国王に何かあれば。

 何の実力もなく国政に関わりのない学生の王子よりも、実務をこなせる王弟の方がこの平和を維持できるだろう。

 国政に関して右も左もわからない第一王子が王位についたら確実に国は荒れる。

 野心家の貴族、この国を狙う他所の国によって。

 だが王弟ならば外交官としての現場での叩き上げた実績があり、実務もこなせるから傀儡の心配もないし、諸外国から侮られることのない立派な王になるだろう。

 安定した国を発展させるには若い力が必要かもしれないが、その前提になる安定には実績と経験が必要なのだ。


「叔父上より私の方が優れている!」


 はい、アウトーッ!

 次の王が指名されていない場合で国王が倒れた場合、元王族と元大臣による老が……元老院会議により継承権のある人物の中から王様を選びます。

 継承権のある人には拒否権はあっても立候補の権利はないのですよ。

 王族ならこれくらい知っている……よ、ね?


 だんだん不安になってきたよ。

 高位の貴族なら絶対に家庭教師から教わるはずだから、当然、当事者なら……。

 忘れていたり、しない、よね?


 思わずトーマスの方を振り返ってしまった。

 トーマスは手で耳をふさぎ、小声でぶつぶつと『あー、あー、キコエナイ』と現実から必死に逃避しようとしている。

 いくら現実逃避しようとも、会場の片隅では速記で記録している文官がいるから無駄な努力というもの。


 継承権をはく奪されて男爵の地位を賜って小さい領地をあてがわれて真面目にやれば子々孫々まで大丈夫な感じのそこそこ重い刑から更に重い、地道に暮らせば死ぬまで衣食住に困らない程度の金品を持って平民に落とされる刑になるなと思ったら、離宮で幽閉か国外追放の流刑コースもありなんじゃないかと心配になってきたところで打ち首か毒杯コース一直線です。

 王様と王妃様のご心痛を考えてお悔やみの言葉を送りたいと思います。

 第二王子を推している方々にとっては憂いがなくなるという朗報でしょう。


「私と婚約破棄した時点で王位を望むのは無理なのですよ。婚約という契約を陛下の許可なくあなたの一存で破棄したのですから、不敬による継承権はく奪は決定的です」


 本格的に国を混乱に陥れる事態になる前にダメ出しをしておこう。

 変に実家にすり寄られても迷惑ですしね。


「王族の血と侯爵家の血を持つ私が伴侶となることで盤石な地盤を築き、王族と貴族を結び付ける礎となり、アレクサンドル王子が苦手とする部分を私が補うことで国を盛り立てて行こうという筋道ができておりました」


 私に代わってそれができるのは同じ高位貴族のカンガール侯爵令嬢か祖母が王族だったコング伯爵令嬢くらいだろう。

 自分より下の爵位だった女に高位貴族と王族との間を取り持つなんて無理だし。


「そ、それならばマリーでも変わらないだろう」

「ここにいる全ての方はご存知ですが、マリーは侯爵家の血を引いてはおりません。男爵家のご令嬢である後妻の義母の連れ子でございます。ちなみに養子縁組もしておりませんので侯爵令嬢ではないのです」


 なんで今初めて知りましたみたいな顔をしているのでしょうか。

 よりにもよって国王主催の夜会でしこたま酔っ払った父が男爵様を巻き込んで池に落ち、ケガを負わせてしまったお詫びに男爵家の素行の良くないご令嬢を後妻として迎え入れたという逸話を知らない貴族はおりません。

 酒は飲んでも飲まれるな、という格言が参加された貴族の皆様方の脳に刻まれた出来事です。

 まだ知らない人がいたなんて新鮮な気持ちですが、それが元婚約者であるという事実がなんとも……。


「しかしお前は嫁にでるのであれば、マリーが侯爵家の筋から婿を取るのであろう?」

「そのマリーを傷物にした方が何をおっしゃいますやら」


 鼻で笑いそうになりました。

 大々的に俺の女だと宣伝した以上、マリーが侯爵夫人になる道は絶たれました。

 誰がお下がりの女を侯爵夫人にしたいと思いますか?

 少なくともウチの一族にそんな男はおりませんわ。

 ああ、王家に恩を売るというのならそれもアリですが、仮面夫婦一直線ですね。

 愛人に子供を産ませてその子が次の侯爵になるでしょう。

 相当の野心家でなければ、とんだ貧乏くじです。


「王子が侯爵家の血をひかないマリーの婿で侯爵を継ぐのであれば、それは王家による侯爵家の簒奪という事になり、国内および諸外国に大変な醜聞として広まるでしょう」


 私の婿になって侯爵家を継ぐのならば醜聞にはならないけどね。

 高位の貴族になればなるほど、マリーは侯爵令嬢ではなく高位貴族の教育を受けただけの男爵令嬢という認識なのだ。


 わが侯爵家と縁をもちたい貴族にすれば好物件だけどそれ以外は……という立場だ。

 息子にマリーと結婚したいと言われていいよ、と即答できるのは子爵の地位まで。

 伯爵だと侯爵家とのつながりを考えて許可が出るかもだけど、それ以上となると難色を示すであろう。


 つまり、マリーが狙うなら伯爵家の長男がベストだった。

 いやまって、頭はいいし所作は綺麗だし容姿も抜群だから、侯爵家の長男もいけたかも。

 何しろ私が王子の妻に相応しいと認めた女なのだから。


 残念な、というか見誤った点は恋愛になるとお花畑になる恋愛脳だったという一点だ。

 婿を取って領地に引きこもってスローライフな人生計画をどうしてくれるのよ。

 誤解されるように頑張って後押ししたのに、全部台無し。

 いざとなった時の保険を使う事になるとは思わなかったわ。

 弱みを握って領地に引っ込んでからあれこれ融通をきかせてもらおうと思ったのに。


「で、では私は……」


 おや、ようやく自分の置かれた立場という物に気が付いたのかしら。


「現時点では第一王子です」


 おいおい、ほっとしている場合じゃないぞ。

 これだけやらかして、いつまで第一王子でいられると思う?

 もはや王兄すら名乗れないくらいやらかしちまっているけど、わかっているのかしら。

 とりあえず言いたいことは言えたし、私の汚名はそそげたことだし、このパーティーを終わらせて裁判の手続きをしなくちゃ。

 お二人は幕引きできる状態じゃないだろうから、私が幕引きしないとね。


「以上を持ちまして私からの主張はおわりにしたいと思います。卒業生の皆様方には謝罪を。私事で場を乱してしまったことに深くお詫び申し上げます」


 その場でお辞儀をし、おわびの口上をし、そして再び深く頭を下げた。

 侯爵令嬢の私が頭を下げたので再びざわめきが起きたけど、一生に一度のパーティーを台無しにしてしまったのだからこれくらいはしないとね。

 いや、ほんと、すまん……。

 ちょっと同情的な眼差しが痛いけど、恨みつらみじゃないから大丈夫、耐えられる。


「改めまして、みなさま、卒業おめでとうございます」


 今更なんだけど、私も卒業生だけどね。


「学園と生徒会が用意してくださったこの学校最後のパーティーを心行くまで堪能してください」


 そして私はすみやかに退場です。

 台車を押すトーマスを引き連れて華麗に退場です。

 気が付けば出口から私のいる場所までまっすぐな道ができています。

 花道を作ってくださったのでしょうか。

 ああ、ちょっとウルウルしてきました。

 たとえ左右にいる方々の目が祝福ではなく憐憫の色だとしても、ちょっと感動です。


 胸を張って、背筋を伸ばして。

 元王子の婚約者……王子の元婚約者である私には毅然とした態度で退場しなければ残された人たちが気の毒ですよね。

 なんにせよこの後、少しでもよい思い出が作れるように騒げる空気の下地を作らなくては。

 そのためには背筋を伸ばし、高位の貴族らしく凛と、毅然と、華やかな空気をまとって退場しなくてはね。

 未来へ向かっての一歩を踏み出しました。


「リーリア・カピパーラ侯爵令嬢。貴方に結婚を申し込みたい」


 再び、場内はしんと静まり返りました。


「では私も立候補いたしましょう」

「婚約者のいない貴女であれば、私でも手折ることが許されるでしょうか」


 コツコツと足音が静まり返った場内に響き渡ります。

 今なら誰かが飲み込むつばの音だって聞こえそうです。


「……マジか」


 扇の下で思わずつぶやいてしまった私は悪くない。

 私の目の前には三人の男性がいる。


 隣国の、こちらは将来が約束されている王太子殿下。

 王弟の長男。

 なぜかのトーマス。


 会場のボルテージは否が応でも上がり始めました。

 うん、私が向こうで見ていたら俄然盛り上がるよ。

 婚約破棄からの修羅場ってどういうこと?

 後ろのバカップルがなんかわめいているけど、それどころじゃない。

 私が退場した後の盛り上がりを心配した短い時間を返せ。


 そして気が付いた。

 妹に婚約者を取られたあげくに婚約破棄をされた女だけど、今の私の肩書は侯爵令嬢で私と結婚すれば夫は未来の侯爵様。

 しかも莫大な慰謝料が個人的に転がり込んでくるお金持ち。

 有象無象の独身男性からすれば超優良物件。

 彼らが結婚を申し込んだことで会場にいるフリーの男子生徒も気が付いたらしく、先ほどとは違った空気が盛り上がり始めている。

 行動の早い人間は従者を呼び寄せて口頭で何かを伝えている。

 きっと明日にはお見合いの話がてんこ盛りになるだろう。


「……私は婚約破棄をされた身。今回の件を父に報告し、沙汰を受けなければなりません」


 すまん、お父様。

 丸投げさせていただきます。

 第一王子との婚約を許可した報いを受けて後始末に忙殺されろなんてこれっぽっちも思っていません。


「では、御父上に話をさせていただきましょう」

「そうですね。これからゆっくりと話をいたしましょうか」


 さすが王族、ぐいぐいくるな。


「リーリア様、御父上にご報告をなさいませんと。行きましょう」


 台車を押して歩き出すトーマスの後を、両脇に隣国と我が国の王族を従えて私は華々しく退場することとなった。








 その後の会場の様子を友人から聞いたところ、阿鼻叫喚といった騒ぎで思っていたのと違う方向に盛り上がったらしい。

 修羅場に陥る男女、公開劇場に興奮する人たち、ロマンス小説も驚きの公開婚約破棄からの公開プロポーズに盛り上がる人たち等、記録に残せないが記憶には残る卒業パーティーとなったそうだ。


 ああ、領地に引きこもってのんびりできるのはいつになるのかしら。

 今日も山積みされているお見合い話と我が家のサロンでくつろぐ三人からそっと目をそらす。


 隣国の王子よ、わざわざ留学しにきているなら勉強しろよ。

 王弟の長男ならちゃんと仕事しろよ。

 暗部を率いる一族の跡継ぎならさっさと闇に潜んで出てくるな。


 さすがに命が惜しいので心の中で呟くだけのチキンハートな私です。

 窓の向こうに見えた書斎では、父が文字通り頭を抱えて机に突っ伏している。

 執事が横で励ましているようだ。

 後でよく効くと評判の胃薬をこの三人に探させよう。

 面倒くさいから、一番副作用がなくて一番効果があるものを持ってきてくれた人と結婚しようかな……。

 私の悪夢はまだ続くようだ。










誤字脱字は指摘されたら直しますが、文章はいじりません。

感想は嬉しいですが、どう返していいのかわからないので返信はしません、ごめんなさい。

山のような誤字脱字の指摘と報告、本当にありがとうございます。

そして気にせずスルーで最後まで読んでくださった方もありがとうございます。

後日を想像して妄想を膨らませていただければ嬉しい。

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― 新着の感想 ―
おもしろかったです。でも気になるんですけど、酔って男爵に怪我をさせても娘を後妻にって事にはならないと思います。慰謝料払っておわりだと思います。一様義妹?養子縁組もしてないなら、姓だって違うだろうし、王…
トーマス大好きw
[一言] ここで終わり? 溜めと余地が残り過ぎて綺麗じゃなくモヤモヤ
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