科学文明解明 第1フィルム 船の日常
<ここからはライア目線でお送りします。>
あの後、1週間は色々な仕事があって大変だった。その中には、文献の読み込みやら分別やら、開発欲がそそられる仕事があって、気分的な疲れで死にそうだった。
だが、その1週間が終わって、キャンプでの日常が戻ってきた。
ライア「よぉーし!やっと、帰ってきたぞ!」
技術チームのおっちゃん
「おっ、ライア!遅いじゃねぇか!はよ、文献を見せやがれ!」
頑固者で物凄く豪快なこのおっちゃんは、いつも自分の工房で様々なものを開発している。
俺達第1小隊の探索用スーツもこのおっちゃんが開発したもので、中々に腕のたつ男である。
一応、開発オタクの俺もこのおっちゃんの開発にも一枚かんでいる。
技術チームの兄ちゃん
「やっと、帰ってきましたね。ライア君、今日から早速開発の手伝いを再開するんです?その気なんでしたら、寝袋とか用意しますが。」
なんでも超人の兄ちゃん。なんと言っても、兄ちゃんの作る料理は絶品で、手伝うだけでタダ飯をいただけるなら万々歳だ。
ライア「んなら、お願いシャース!」
そして、ライアは兄ちゃんに文献を手渡しした。
おっちゃん「あっ、そういえばあの嬢ちゃんはおらんのか?」
ライア「あの嬢ちゃん?」
何せ、ライアは昨日まで仕事詰めでなんの情報も知らされていない。
おっちゃん「あんの零那とかいう嬢ちゃん。どうも、”カガク文明”の人間らしいぞ?メカニックだったらしいから、お前と一緒に来ると思ったんだが。」
ライア「え!?あの女性が!?おっちゃん!そうゆうのは早く言ってよ!てっきり、まだ療養中かと思ってたよ!」
兄ちゃん「って、ライア君今来たとこじゃないですか。」
ライア「関係ねえよ!そうと分かれば、こうしちゃいられねえ!行って来る!」
俺はいてもたってもいられず、何も持たずに工房を飛び出して療養用テントに向かった。
兄ちゃん「ライア君、あのお嬢ちゃんの場所分かるんですかね?」
おっちゃん「さあ?」
俺はダッシュだったから大体5分くらいで療養用テントに到着した。だが、受付嬢に零那という女性の場所を聞こうと思ったが、どうやら朝の8時 つまり、2時間前にダニエラに連れられ船内を見て回っていたらしく、今は何をしてるかは分からないとの事。流石にこのバカ広い船内を探すなど時間がかかり過ぎる。風の子であるライアもお手上げだ。
ライア「はぁ~。戻るか。」
俺の知らない知識を一刻も早く取り入れたかったがきっと工房にやってくるし、しかも、どこかで会うかもしれない。その時に話でも聞こうか。
とりあえず、お昼時ではないが工房に行けば時間を忘れて作業をしてしまう為、先に昼食をすませることにした。
ライア「おばちゃん!唐揚げ定食ひとつ!」
食堂のおばちゃん
「あいよ~!食券はあとで貰うから座っとって!」
ここの唐揚げ定食は毎週配布される1枚の食券を使えば無料で食える。だが、無料の癖しておふくろの味というのを再現されていて、暖かい気持ちになるととても評判がいい。
ライア「あっ!姉さん!」
座席に座ってから周りを見渡すと、そこにはダニエラだけがいた。
ダニエラ「ん?ライアじゃねえか。どうした?」
ライア「あの女性はどこ行きました!?さっき療養用テントに行ったんすけど。姉さんが連れていったって聞いて!」
ダニエラ「あ~!零那のことか。零那ならさっき工房に送ってったぜ?」
ライア「はぁ~。入れ違いかよ。大人しく待ってりゃ良かった。」
ダニエラ「それは残念しょうだな。まあ、いいだろ。逃げたりするわけじゃねぇんだしよ。もしかして、あれか?助けた時に一目惚れしたとか?」
ライア「ちげえょ。姉さんも知ってると思うっすけど、他文明の開発者なら面白い話が聞けっと思ったんすよ。」
ダニエラ「冗談だろ?そんな事はとうの昔に知ってるわ!ほんっとおもしれぇ反応するよな!」
ライア「.........。」
いつもこんな調子でからかってくるから、やめてくれと言っても一向にやめてくれない。何が面白いんだか知らねえがな。
とにかく、既に工房にいるならさっさと定食を食って向かおう。
工房に行くと、既に開発を始めた音が響いていた。その中に、珍しく花のある女性の声が混じっていて、おそらくその声の持ち主は零那?とかいう女性なんだろう。こんな歴史的な瞬間に出会えるとは夢にも思っていなかった。確かに、故郷のプレートの外は秘密ばかりで全く知らない世界が広がっていて、遠征部隊に入れば知らない誰かに会う事は予想していた。だが、こうもすぐにこんな時が来るとは思っていなかったから、今にも心臓が飛び出しそうなくらい緊張し始めた。