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ネットショッピングでやっちまったクロエちゃん(*クロエ視点)


「グエッヘッヘ! やったネ、大儲けネ!!」


 暗い部屋煌々と光る三つのマルチディスプレイ。その前で、石黒寧子の“自称”大親友というか、それ以上の関係を自負する【田崎 クロエ】はクマの浮かんだ目を細め、邪悪そうな笑みを浮かべた。

 バイト代わりにと始めた株取引がうまくゆき、結構な利益が出たのである。


(お金ザックザック……ネコちゃんになんか買ってプレゼントするネ!)


 本当はお揃いの服とか、お揃いのアクセサリーとか、いざ寧子が泊まりに来た時一緒に夜を過ごせそうなセミダブルベッドとか、そういうのが欲しい。だけど恥ずかしがりやの寧子のことだから、



『却下ですっ! んなもの欲しくないのですっ!! クロエはバカですかぁ!?』



 と、言われるに決まってる。ならばやっぱりアレしかない。寧子の中で最もホットなブーム。"ワイン"しかあり得ない!


(でもワインってよくわかんないネ)


 シャトーなんちゃら、カベルネうんたから、生産国が、ヴィンテージがなどなど、訳が分からない。何がそんなに楽しいか全く理解ができない。

 そう思いつつ、グルグルとインターネットの荒波の中を、クロエはワインを求めて彷徨い歩く。

そうして巡り合った【甘口】というカテゴリー。


 正直、クロエ自身はワインというか、お酒があまり好きではない。だけど甘口なら大丈夫だし、あわよくば寧子と一緒に楽しむことができると思った。


「仕掛けて、酔わせて、日が暮れて……グエッヘッヘッヘ……ポチッとな!」


 邪な想像を盛大にしつつ、クロエはサイトで販売されている甘口ワインを次々と架空のカートへ放り込んでゆく。

 総数五本。一本だけやたらと高いやつがあったが、寧子とにゃんにゃんするためならなにするものぞ。


 買い物を終えたクロエは、寧子とのアレでコレでソレな妄想を思い描きつつ、ぶっ倒れてパソコンの前で眠りに就いた。


 そして翌日ーー


「や、やべぇネ……やっちまったネ」


 玄関先に届いたワインを見て、クロエは愕然とした。

 届いた段ボール箱は、アン、ドゥ、トロワ、キャトル、サンク……合計5箱。

やたら高い黄金のワインと、少し褐色がかった細い瓶に入ったものは1ケース6入りだったが、他は入数12。

しめて48本。予定の43本もオーバーである。

 1本ずつ買うつもりが、1ケースずつ買ってしまったのである。


 しかも納品書の合計欄には、どどーんと6桁の数字が並んでいた。これで株で儲けた分はパーである。


(なんとかするしかないネ! 頼るべきはワインラバーなアミ!)


 たくましいクロエは早速スマホを取りだし、身近にいるワイン大先生へ助力を願い出るのだった。



……

……

……



「す、すごい量買っちゃったんだね……?」


 馳せ参じた、身近なワイン大先生――同学年で、最近寧子を通じて仲良くなった森、沙都子は5箱分のワインを見て、唖然としていた。


「サッちゃん、この通りネ! 助けて欲しいネ! 武士の情けネ!」

「と、とりあえず、一つ一つ見てゆこうか……?」


 土下座するクロエへ沙都子は優しく声をかける。

そうして二人で大量に買ってしまった甘口ワインを一つ一つ当たって行くのだった。



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