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7話 店の知名度も上げ、自分の名声を高め、街を安全に。

 ……。


 結局緊張しすぎて全く寝れなかった。くっつかれているということが分からなければ気にする事は無かったのだが、わかっているとなると話は違う。

 そもそも何故ここまでできるんだ? 特に異性とかには興味無い感じだろうか? いや、それでもな……いやいや、だからといってだな……。

 恩を強く感じすぎているのかもしれないな。


「何を考えてるんですか?」


「うわぁ!? お、起きていたんだな?」


「はい!! よく眠れましたか?」


 寝れなかった。寝れるわけ無いだろ。あんなにべったりとくっつきやがって。


「まぁまぁかな……」


「心臓ばくばくしていましたが、あいつらとの戦いに緊張していたんですよね? 大丈夫ですよ!! 必ず勝てます!!」


 寝れていない理由が一瞬バレたかと思ったが、特にそんな様子も無さそうで安心した。本当に。


「それじゃあ行くが……」


 すぐ近くに置いてある剣と銃を装備し、ベッドから降りる。


「え!? ご飯は食べないの……?」


「そういえばそうだな……」


「待ってて!! 今すぐ探してくるから!!」


 そういうと、いつ紐のような布が外れるか分からないような状態で一直線に走っていった。

 俺は待てば良いのか? それはそうと、少し外が騒がしいような……。

 ふと気になり、光が差し込む窓を覗く。するとそこには昨日追い払ったあの集団が騒動を引き起こしていた。

 声までは聞こえないが、何かを探している様子だ。恐らく俺であることは間違い無いだろうが。


「きゃあああ!!」


 すぐ近くからだ!!

 悲鳴のする方へ走っていき、リュミナと合流する。


「やだ……やだ……」


「なあんだぁ? 随分と出来あがってんじゃねぇか」


「昨日はどうだったんだ? ひひっ」


 両手を掴まれ、抵抗さえ出来なくされているリュミナの姿と、一回り大きい男が、武器が売られている場所にいた。


「お? あぁ、お前が俺の子分を……こんなガキになぁ」


 開けられっぱなしのドアやら窓から大勢が覗いている。

 これは正しく、宣伝するチャンスだ。

 リュミナはこくりと小さく頷き、口を開ける。


「その武器……普通に買えちゃう安い武器なんだよ!? そんなのじゃ勝てないよ!! 良い素材で使った武器を惜しみなく使って!!」


 その演技と声で更に見ている人達がどよめき出す。


「うるせぇなぁ!? まずはあっちからだぁ!!」


 その両手剣を持った男が、リュミナを手下に任せると、ドカドカと突進してくる。

 直ぐに長剣を構え、男が両手剣を走りながら振り下ろそうとした次の瞬間、刃と刃が交わる。男の気迫は凄いが、それ程までに腕にかかる負荷はない。これもステータス変動のお陰か。

 俺は身体の軸を捻り、その両手剣に加わる力の先を床に向けるように、回避すると同時に、前と同様に刃のない部分でバットのように胴体を撃つ。


「ぐあああ!?」


 男は窓を割って一直線に飛び、道に大の字になって寝そべる。


「はぁああぁああ!?」


 俺は破れた壁を潜り、起き上がったその男の喉仏に刃の先を、その刃の冷たさが感じられる程の距離で。


「その汚れた命が惜しいなら二度とこの街に来るな」


 クソかっこいい決め台詞!! こういうの一回言ってみたかったんだよな……なんか感動してきた。

 感動している矢先に男はバックステップで間合いを取っていた。


「誰が従うっつったんだ。あぁ!? おめぇら!! 全員でタコ殴りにするぞ!!」


 男は顔を真っ赤にして、血管がちぎれそうな程怒り狂って命令を出している。だが、手下であろう者達は既に諦めているようだった。


「お前ら!?」


「よっぽど手下の方が利口だな」


「……テメェ」


 次は拳銃を手に持ち、構える。実弾は使わない。魔弾だ。どれ程の威力かは知らないが、とりあえず試しも兼ねて頭以外に。

 で、実際どの様にすれば出るのだろうか。実弾を入れてしまえばそれこそ実弾が出るわけだしな。まずは何もなしでやってみるか。


「舐めた口聞いてんじゃねぇ!!」


 銃声が鳴り響き、何かが銃口から飛び出すと、男の肩に命中した。が、射抜かれた様子は無く、男は白目を剥いて倒れただけだった。

 血も出ていない。ただ、服には穴が空いただけで、撃たれた箇所は赤黒く、内出血を起こしているようだ。


 一瞬しーんと静かになり、その後に歓声が大きく、以前よりも大きく鳴り響いた。


「す、凄い……」


 リュミナが解放され、真っ先に俺の方へと走ってきた。


「なあに、君の造った武器の性能がどんな素材を使っていようが良いだけだよ。ここまで安く、ここまで質のいい使いやい武器は初めてだよ」


 あくまでも売り込むんだ。この店の知名度を上げろ。武器が凄いと周りに教え込むんだ。


「そんな……他の武器鍛冶屋さんと同じような素材を使用しているはずなんだけどなぁ……」


「君の武器鍛冶としての腕が良いんだよ」


 俺は肩をぽんぽんっと叩き、笑ってみせる。店の知名度を上げるのと同時に俺の名声も上げておこう。

 それにこの街からはこいつらが消える事で助かる訳だ。素晴らしい。


 そういえばLv上がらなかったな。

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