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6話 ダメージを受けても経験値は貯まる

 あれから、目を覚ますと俺はふかふかのいい匂いのする布団の上で横にされており、ホログラムとそれに透けて見える不機嫌そうな顔をしたリュミナが俺の隣に座っていた。俺が目を覚ましたと分かった瞬間、すぐさまそっぽをむいてしまった。

 ホログラムの内容は、LvUP通知だ。三Lv、更にその下には前と同じく、追加能力という欄があり、そこにはフィーリング・ヒールと書かれており、効果は、感情が昂った際にHPや傷をその力に応じて回復する能力。だそうだ。これはつまり怒り等の感情や、妄想なんかでの昂りも含めて、何かしら考えまくればHPが回復する……と考えて良さそうだな。使えるのか使えないのか分からん。それに、経験値と言うのは何も相手を倒さずとも、殴られても貯まるようだな。

 それはそうとして、右寄りの下顎が猛烈に痛い。殴られたとか、きっとそういうものだ。もし、剣を腰に着けていなかったら今頃どうなっていただろうか。それはもう本当に簡単で、死んでいた。あの貧弱ステータスなら考えられる。

 一瞬だがあの完成された胸の形、重要な突起部分までは見えなかったものの、素晴らしく良い形をしていた。重力をものともしない、良い形を。あの時、もし洞察力上昇効果がある剣を持っていたなら俺はあの完全体のおっぱいを崇めることが出来たのだろうか。クソ、失敗した!!

 ……心做しか顎の痛みが引いたような。これがフィーリング・ヒールなのか? リュミナと共にいれば俺、死ぬことないぞ。これは強い。使える。


「……許さないから」


 ただ、肝心のリュミナはこちらに背を向けて一切顔を見せようとはしてこない。かなり怒っているようだ。そりゃあそうか。サプライズとして何か用意していた口振りだったからな。まぁ物凄く活力を得られるいいサプライズを貰った訳だが。


「私の身体……どこまで見た?」


 低い声、威圧をかけることを目的としたような声で語り掛ける。


「胸……」


 少しばかりリュミナの怒りが反応したのを感じられた。


「胸?」


「い、いや!! 鎖骨辺までだったよ、うん!! 胸なんて見てない見てない」


「本当に見てなかったの……?」


 顎に対するダメージが多少残っていながらも、必死に首を縦に振る。見たけど見てないことにする。


「ならいいや!! 許す!!」


 ……許されたのか、俺。


「ごめんね……殴っちゃって」


「あぁ、いや、別にそれは良いんだが……」


「どうすれば良いかな……私」


 顔が……近い。距離感というものがあってだな。


「私の初めてをあいつらから守ってくれて……店にお客様が来てくれるよう考えてくれて……そんな恩人に私……」


「気にしないでくれ、あんなことになったのは元はと言えば俺の責任でもあるからさ」


「許してくれるんですか?」


「あぁ、というか俺が謝るべきだろう。ごめん」


 リュミナは深く頭を下げ、反省の意を表しだす。ここで俺がしてあげられる事はなんだろうか。頭を撫でてやること位か……?


「いたっ……で!! どうします?」


「あがっ」


 顎が……痛い……それにまた視界が……意識が……ふらついて……


「きゃあああ!?」



 ――結局俺は二度も脳震盪を起こして気絶してしまっていたらしい。何故生きていられるのか、特に今、なんの傷害も無いのか。それは自論だが、防御力に依存するのではないかと思った訳だ。つまり防御力は必要。絶対に必要だ。

 そんな事はさて置き、すぐ隣におぞましい物がある訳だ。

 ほぼ全裸に等しいであろう、リュミナの姿だ。下手したらあの水着なんかよりもよっぽど肌の露出が多い。それに加え、腕に凄い密着している。結局、長い間気絶して居たのだろうと思うが、窓を見るやいなや、まさか夜になるまで寝ていたとは、自分でも驚きだ。流石に看護するのも疲れたのだろう。本当になんかすまない。

 だが……その格好はなんだ? 襲ってほしいという事なのだろうか。私、無防備な尻軽女です、とでも言いたいのか? これは嫌でもそう伝わって来てしまうんだが。だが、俺はこの寝顔を守りたい!! 女の子が悲しそうに泣く姿は見たくないんだ。っと言うわけで俺を犯罪者にしないでくれ。


「……よし」


 顎の痛みが引いてきた。この回復は感情を使う為、魔力を消費しなくてもいいのが凄い良い利点だな。これは面白い。


「ふわぁ……あれ? 起きてたの?」


「おはよう。と言ってももう夜だけどな」


「あ!! 本当だ……またごめん……」


「まあ多分大丈夫。死に至る訳でも無いようだしな」


 剣を装備していなければ即死、又は致命傷や危うい状況にあった事は確かだろうが。


「とりあえず、もう一眠りするよ……」


 なんだか物凄い眠くなってきた。布団が暖か過ぎるからだろうか。


「寝てばっかりじゃないですか?」


「睡眠こそ至高にして最高」


 同じくしてリュミナもまた、その露出度の高い服装を着たまま、すぐ隣で横になった。寒いとか感じないのだろうか。くっつけばなんとかなる理論か何かか? なんにせよ幸せだ。


「それでは私もご一緒させていただきます」

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