表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
虐殺の転生者  作者: 鼻眼鏡26号
2/7

1話 彼の名は桐生ユイト

初投稿作品です。


よろしくお願いします。






国同士のいざこざはあっても平和な地球。

そんなとある日、人は神の存在を知った。



何もない空から声が聞こえたのだ。



「もしもーし私は転生神でーす。暇つぶしにこの世界に108人の転生者を送りまーす。」



当時のことを知る者は皆こう言う。



「結構チャラそうだった」と



神は続けた。



「108人にはそれぞれ彼らの望む1つ能力を与えまーす。番号は低い方が強いからよろしくねー。」



神のその言葉通りやって来た転生者は人に紛れて隠れる奴もいれば騒ぎを起こす奴もいて、でもそんなことがあっても人間はやれ人権やら法律やらとなかなか動かず野放しであった。



そして、1人の転生者が行動を起こした。

被害は止まらず人口が半分を切る被害であった。



転生者の番号は5番



108人の内5番目で人口を半分にさせる力を持ち人を絶望させた。



しかし、人類はそのままやられはしなかった。

突然現れた10人の戦士は5番目と対峙し、多少の犠牲を払い勝利を収めた。

その戦士達は自らを「戦士ウォーリア」と名乗る。



その後戦士達は、海に島を作り組織を作った。

全世界から戦士達が才能ある者を見つけその島で訓練を積んだ。



しかし、それを黙って見ている国は無かった。

いくつもの国がその島に兵隊を送り込みあわよくばその力を独占しようとして居たのだ。



しかし、当然のごとく5番目を撃破する力に返り討ちに遭いどの国も今では手を出さずに和平交渉をする毎日である。



それから3年の月日が経った。



世界には依然として転生者が暴れたり潜んだりとしているこの世界。





トウキョウ



異常な現象も3年経てば慣れている世の中。

転生者を見分ける手段は未だにウォーリア以外は知らずしかし、ウォーリアは被害を毎度最小限に抑えてその活躍で段々と発言力も強くなり今ではウォーリアの島は国と同等の力を手に入れて居た。



そんなことなど知らずに今を生きている俺の名前は桐生ユイト何処にでもいる普通の高校生…だったのは1年前、今は大学生です。

彼女は居た事ないよ!だって隣の家に可愛い幼馴染が居るし、いずれは…ぐへへな関係になりたいと日々思っている。



主人公特有な親がいない設定もあるんだがな〜、なんで高校生活で何も無かったんだろ。

因みに親は3年前の転生者5番目の被害者で亡くなっているんだ。落ち込んでた俺を助けてくれたのは隣の幼馴染である。



「よし!今日は全休だから遊ぼう!!」



大学の授業がないこの日。

俺は特に予定もなく家を飛び出すと。



「おはようユイト。何処か行くの?」



「特に予定なく遊びに行く。」



「ユイトらしいね。」



話しかけて来たのは先程話した可愛い幼馴染の皆川マナ。俺と同じ大学の大学生だ。

その可愛さから大学では人気で当然ファンクラブがある。



「マナはこれから何処に行くんだ。」



多分、俺の青春は高校ではなく大学であると俺は確信している。だからこそ、明日には告白するぞ!



「彼氏のとこ」



俺の青春が終わった。



「う……うおおおおおお!!」



「ユイト!?い…いってらっしゃい」




河原



風が泣いているな。

泣いてるの俺だけど。そりゃそうだ、勇気も出さずヘタレて告白を先延ばしそんなことしてたら誰かのものになってもおかしくないよな。



「つか、告白して成功する確率も無かったからな。」



ゲーセンで忘れようにも財布家に置いて来たし、友達の家に行こうにも皆んなバイトだし、スマフォも家に忘れるし色々とついてないな。



「「はぁ〜」」



俺はため息をついたと同時に隣から同じため息が聞こえた。そこには、大きなカバンを隣に置いた金髪の外国人男性がいた。



「ん?…どうしたんだい?辛気くさそうな顔して。」



「え?まじかよ。」



隣の男が突然話しかけて来た事に俺はポロリと本音が出てしまった。



「いや〜僕さ推しの人気声優さんが結婚する事になってね。黄昏てたんだ。」



「え?聞いてもない事なんで話すの。てか、さっきの感じだと俺が話すところだよなここは。」



奇妙な男に話しかけられ数分後



「うわっ、すごいじゃん君ラノベ主人公みたいじゃん。」



「そうなると俺はこれから取り返せそうだな。」



「それは無理だろ。現実見ようぜ。」



めちゃくちゃ仲良くなった。

彼は世界を旅する探検家と自称するがニホンに来てアニメ文化に深く影響されてもう2年はいるそうだ。



「はぁ〜家帰るの憂鬱だ。」



「失ったもんはもう仕方ないさ。これから何を見つけるかだよ。」



「世界を旅する人の言葉は違うな〜」



「そうだね。世界を回るといろんな人にいろんな場所をみて違う視点も考えられるようになるんだ。極端に言うと善と悪とかもね。…君はさ、転生者たちをどう思うかい?彼らは悪かな?」



「転生者についてか?…うーん、破壊者だったり人殺しだったりするけど、元は同じ人間なんだし相手の選択次第かな、俺の見る目が変わるのも。まぁ何が言いたいかというと、転生者は被害者だって思ってる。」



「相手次第ね。…その考えだと戦争は無くなりそうないね。」



「今までもそうだろう、これからもさ。」



「……今日は楽しかったよ。また会いたかったらアキバに来るといい…ほぼ毎日居るから。」



「こちらこそ、話聞いてくれてありがとう。」



俺らはそのあと別れ俺は帰路に着く

帰り道、家の近くに1組の男女を見つけた。



マナとその彼氏だろう。

俺はとっさに隠れてその様子を覗いた。声は遠くて聞こえないが何をしているか見ることだけ出来た。

彼氏の男はまさにイケメンでいかにもモテ男だった。

2人は手を繋ぎその姿さながら恋人同士で、家の前で2人は顔が近づいて重なっていた。



わかりきっていた。

きついし辛い、でも俺にとっては彼女の幸せが1番だ。

マナは家に入って行きその彼氏はそのまま何処かへ行ってしまった。



そして俺はその彼氏の後をつけていた。

言っていることとやってる事が違うことくらいわかっている。

でも、マナの幸せのため俺はその素性を知りたかった。

男はどうも家には帰ろうとはせずまた街へと繰り出していた。街の駅近くでスマフォを弄りながら誰かを待っているようだった。



まさか、二股していて女待ちじゃあ…



「湯川くーん、お待たせ〜」



「よぉ、さっさと行こうぜ。」



湯川と呼ばれるあの彼氏男の元に別の女の子がやって来た。

普通に二股だよなあれ。

とりあえず証拠写真撮ってマナに事情聞いとかないとな。もしかしたら俺の勘違いかも知れないし。

その後、俺何枚か写真を撮り急いで自宅に戻りすぐに自室の窓を開け隣の幼馴染を呼んだ。



「マナ…居るか?」



「ユイト…帰ってたんだ。おかえり。」



「おう、ただいま。それよりさお前に出来た彼氏の事聞かせてよ。」



「え?何急に。まぁいいけど。名前は湯川アタルくん。年は私達と同い年で告白はあっちでね。」



「そ…そうなんだ。家族構成とか聞いた事ない?」



「え?一人っ子って聞いてるけど…何でそんな事聞くの?」



「……俺さ今日家の前でさ2人を見たんだよ。」



これから話す事は多分引かれるか嫌われるかも知れないが俺はマナの為に言うと決めた。



「え?居たの?紹介しようと思ったのに。」



「それでさ、2人が別れた後気になって彼氏の方をつけたんだ。」



「え?」



マナの動揺を察するが俺は気にせず話をさ進める。

例え嫌われてもいいから彼女の為に言わないといけない。



「後をつけた先は街で、そこで奴は違う女の子と会って居たよ。」



「…やめて」



「証拠の写真も撮った。」



「やめてよ!!」



マナの大声に俺は押し黙った。

やっぱりこうなってしまうか。



「彼のことよく知りもしないで勝手に後を付け回して仕舞いには二股してるって?最低。もう話しかけないで。」



そう言い切ってマナは窓を勢いよく閉めた。



「………」



そりゃあこうなるよな。幼馴染が急にストーカーして変なことを言ってそれを信じろなんて事が無理だって。

それに、マナの為とか言ってるけど結局は自分の為だって事もわかってる。嫉妬してるのもわかってる。

それでも、俺は。



次の日




今日は大学に行く日。

昨日のこともあってか、あんまり行く気にはなれないが単位のため重い足を歩かせる。



「「あ」」



家を出ると隣の家からマナが出てきて凄い気まずかった。



「マナ…その昨日は「………ッ」ごめん。」



マナは俺を見ずにそのまま通り過ぎて行った。

俺は謝るが聞いてはいなさそうだった。



大学での講義には全然身に入らなかった。

基本大学では1人の俺に話そうと思える相手も居なかった。

そんな中ふと思い出したのは昨日の外国人男性だった。



「確かアキバにいるって言ってたよな。」



そう思ってから俺の行動は早かった。

気がつけばアキバに来ていて彼を探していた。



「つか、毎日いるって言ってもどこにいるかわからないもんな。外国人だって多くいるし。」



アキバは基本コスプレしている人や外国人観光客が多い為彼1人を探すのは手間がかかりそうだが。



「もうちょっと…もう少しだ。」



ゲーセンでクレーンゲームのガラスに張り付いてる自称探検家が居た。

物凄く話しかけたく無いし彼と仲良くなって居た昨日の記憶を消し去りたいのだが。



「あ!昨日のラノベ主人公崩れの少年。」



「何で名前で呼びやがる。」



「僕を探すとは何か相談事だね。しかし、今は待ってくれこのフィギュアをどうしても手に入れたいんだ。」



「相談事ではあるが後どれくらいで取れそうか?」



「すでに1万使ってるが取れる気しない!」



「吸い取られすぎだ、もう諦めろ。」



「いやだ!この子は必ず僕が手にするんだ!」



「大声出すな。みっともないぞ、つか代われ俺が取るから駄々をこねるな。」



そうして、一応一万使ってるだけあっていい位置になっており一発で取れた。



「すごいねラノベ崩れくん。その状態からもう4000円使ってたんだよ。」



「お前もう二度とクレーンゲームやるな。そしてその名前やめろ。」



とりあえずゲーセンから抜け出し昨日と同じ河原にに腰を落ち着けた。

そこで昨日の出来事を話し、話しを聞いてもらった。



「100%君が悪いな。」



「ですよね〜……はぁ〜俺本当にどうしよう。」



「ともかく、君はもう幼馴染とは恋仲になるのは無理だね。やる事が常軌を逸してるから相手の理解の範疇を超えてるしね。持ち直すのは相当難しいよ。」



「はぁ〜キッツイな自分でやったとは言え。」



「……やったことに後悔しているかい?」



「それに関してはしてない。あの野郎の本性に知れたし多少なりマナに疑問を与える事ができた。」



「君は一線を引いているんだね。」



「ん?一線?」



「その線を超えた時に君は何があろうと続け後悔をしない、言い換えれば迷いがないんだね。ストーカーはまずいけど。」



「………」



「それなら言えることは1つだ、悩みに悩んで前を向いている事だ。」



「ポジティブで明るく前を向く。よく聞く事だ。」



「でも、間違ってはないよ。僕は世界を見てそう感じたよ。」



その言葉に重みを感じた。



「昨日に引き続き今日も話しを聞いてもらってありがとう。」



「ふっふっふ、世界を回る僕に話を聞いてもらう君は幸せ者だよ。そうだ名前を聞いておこう。ラノベ崩れ少年。」



「それ最後まで言うんだ…桐生ユイトだ。あんたは?」



「みんなからローランって言われてるんだ。」



「え?こっち本名出したのにそっちは偽名かよ。」



「いやいや、俺さ記憶が無くて始めてあった人にそう呼ばれてたからその名前使ってるんだ。」



「へぇ〜…ってかそっちの方がラノベの主人公っぽいじゃん。」



「世界回ってるしね!!それにそろそろここを離れようと思ってるしもう2年もいるし。」



「そっか、じゃっ…お元気で。」



「そっちも頑張れよ。」



その挨拶を最後に俺らは互いに反対を歩く。

やっぱり相談できる人が居るのはいい事だな、気分がすっきりするよ。



帰路の住宅街



足の軽い帰り道、いい気分だったのもさっきまで家の前に俺にとって問題しかない2人がいた。



「………うちの家になんか用か。マナそして彼氏さん」



「ああ君か、僕の事をつけていてそれでいて僕のマナに浮気だな二股だの吹き込んだのは。」



「………」



俺の前に現れた長身イケメンのいけすかない野郎と何も喋らず目に光の無いマナであった。



「?…マナ大丈夫か?声が聞こえてなさそうだが。」



「…っ!?…ぼ…僕を無視とは君ね。」



男がなんか言ってるが俺としては何も反応しないマナが心配であった。



「マナ!マナ!!…テメェ、マナ何しやがった。」



声に反応しないマナを見て俺は湯川の胸ぐらを掴んだ。



「ぐッ…は…離せサイコ野郎…マナ!こいつを殴れ!」



「はい。」



「は?ぐぼッ!?」



湯川の声に反応したマナは俺に向かい何の容赦無く拳を俺の顔面に打ち込んだ。

それよりも驚きなのはマナの力の強さである、普通ならマナの拳で殴られても精々ちょっと痛い程度。

それなのにその一発で俺の体が吹き飛び隣の家の塀まで飛んでいった。打たれた顔はジンジンと痛むがそんな事よりも驚きが大きかった。



「いってぇ!マナ!!マジでどうしたんだよ!」



「マナ、もう一度あいつを殴れ。」



「はい」



「ちょっ!?ま…まマジかよ。」



湯川の言葉にまたもマナが俺に向かい走り出し拳を振りかぶろうと向かってきて俺は急いで体制を整え横に避けると



ドゴンッ!



「う…嘘だろッ!?」



マナの拳は塀に当たりその塀を砕いた。



「ま…まさか湯川テメェ。」



「おや?僕の名前を知っていたんだ。まぁそんなことよりも君が察している通り。僕は108番目の転生者だよ。」



そう言って湯川は舌を出してそこには108と刻まれていた。



「て…転生者。…くそッ。」



「おや?逃げるのかい?僕としてはそっちの方が楽しめそうだよ。マナ奴を追いかけて殺せ。」



「はい」



転生者相手に一般人である俺は無力に近くとにかくこの場から離れる事にした。

湯川の指示で動くマナは俺を追いかけ殺しに来ていた。

それよりもどうすればいい、俺はこのままだと奴にマナに殺されてしまう無力な俺に何が出来るか。



「……ウォーリアさえいれば何とかしてくれるんだが…偶然ニホンにいて助けてくれるって事は無さそうだしな。」



ウォーリアの活動は基本一切知られておらず未だ謎に満ちた集団で数も把握されていない。しかし、転生者との戦闘には必ず現れ転生者を殲滅している集団。



「くそッ…横っ腹痛くなってきた。運動なんてしばらくしてなかったからな〜」



自分の運動不足を呪いながらも街へ出てきたがノープランな為とりあえず近くの交番に訪れる。



「すみません!単刀直入に言いますと転生者が出ました!!」



「はいはい、落ち着いて…はぁ…罰ゲームか何か知らないけど人に迷惑をかけちゃ駄目だぞ。」



「いやいや…何で信じないの!?今殺されかけてるんだよ!!」



「はぁ〜君みたいな子は1日に何件もあってね?こっちも困ってるんだよ。」



「はあぁ!?ふざけーーー」



ガシャンッ!



俺の後ろで大きな破壊音が鳴ってそちらを振り向くとドアを破壊したマナが立っていた。



「君ね。男女関係のもつれで来たのかここはね避難所じゃ無いんだよ。」



「いやちげーよ!!こいつが今操られてんだよ。」



呆れた警官はマナに近づき



「君もね男女関係のもつれでねドアをこわしーー」



ゴトッ



そんな音が聞こえた。



「あ…ああ。マナお前…」



目の前には首から上が無い警官がいてその地面には頭が落ちていた。

それを作り出したマナの顔に血が付いていた。



「お…お前!!」



バンッ!



近くにいた警官が拳銃を取り出しマナに向かい発砲する。

その音で交番の中はかなりの大きな音が出て耳がキーンとするがマナは微動だにせず片手で銃弾の威力を止め手の中に収めた。



「ああああああああ!!」



「………」



弾を全弾撃つものの1発たりとも当たる事も無く全て片手で受け止めてしまった。

それからマナ一歩また一歩と警官に向かい歩き出し対する警官は足が震えて弾の無くなった拳銃をカチカチと鳴らすだけでなす術なく頭と体が分離した。



「うっ……オエェ」



実際に見る死体とその血液の量に俺は胃の中のものを吐き出した。

しかし、そんな事も御構い無しにマナは俺の前に来て拳を上に挙げ俺を見下ろしまるで狙いをすますように立っていた。



「……マナ。」



もう駄目だ、ここで俺は死ぬんだ。何で…何でこうなってしまったんだ。

俺はまた、マナと一緒に居たかっただけなのに何を間違えたんだろ。



後悔しながら俺はゆっくりと目を閉じた。



………



いつまでも何とも無い時間が過ぎて俺はゆっくりと再び目を開けると



「に……逃げ…て…ユイ…ト」



光の無い目から流れる涙。

震える身体。

目の前には堪えているマナの姿があった。



「ッ!」



マナの言葉を受けて俺の身体は軽く感じてすぐに動き出し交番を飛び出した。

それと同時に俺は決心した。

あの湯川(クソ野郎)を殴ると、マナに涙を流させた。

それだけの理由で俺は十分だった。



街の中を走り俺は考えた。

決心がついたものの湯川の奴を見つけなければいけなかった。

おおよそだが奴の能力は人を操る事。

操るのに距離は関係が無く命令すればその通りに動いてしまう事。

こう考えると湯川の奴は動いて居ない可能性がある。しかし、奴の性格までは知らんがほとんどは自分の目で確認したがるから近くに居るという可能性もある。



………



やっぱり俺には頭脳戦は向いてない。

考えるより行動しよう…動き回っていてかつ死んでなきゃ勝手にあいつがやって来るだろうし。



そう考えてから俺はいつのまにか追いかけて来ていたマナの攻撃をかわしながら逃げ続け十分が経過していた。

かわすというかマナが当たる瞬間だけ一瞬止まり俺が避けるという状況だが。



そして狙い通りに奴は現れた。



場所は街の裏路地逃げ込んだ先に奴は居たのである。



「一体いつまでかかっているんだ!マナ!!」



「……すみま……うる…さ…い。」



マナも大分操られている事に対抗してきていた。

その反応に湯川はかなり驚いた。



「なっ!?…僕の《誘惑の鎖》が解けかけているだと!?」



「うわっ!何そのダッサい厨二病ネーム。まさか技名かよ。」



奴の厨二病ネームを聴くと俺は背筋が凍るような感じがした。

リアルで聞いてしまうと身体を捻りたくなってくるな、技名って。



「なっ!?ば…バカにしたな…僕の《誘惑の鎖》を…」



「や…やめろ!体がむず痒くなる!!」



「クソっ…役立たずな女め、また術をかけ直しやる。」



そう言って湯川はマナに顔を近づけていくが。



「き…キモいんだよ!」



「ぶべっ!」



その顔面をマナは拳を打ち込み吹き飛ばした。

湯川は地面に二度三度と跳ね壁にぶつかった。



「マナ!お前…術が解けたのか!?」



「ありがとうユイト…私に呼びかけてくれて。貴方の声のお陰で何とか出て来れた。」



「よ…よかった〜」



俺は自我を取り戻したマナに安心して腰を地面に落とす。



「…ストーカーの件はまた今度じっくり話すとして。」



「うっ…そ…それは〜」



「それよりも気を抜かないで、私の力が残ってるって事はまだあいつが生きてるから。」



「お…おう。」



俺は急いで立ち上がり吹き飛んだ湯川を見ると。



「テメェら。よくも…よくもよくもよくもよくもよくもよくもぉぉぉぉ!!!…集まりやがれ!!俺の女達!!」



「うっ!…なんか肌がビリビリする。」



「すごい力。気を抜くとまた操られそう。」



湯川の周りから突然風が舞いそれを肌で感じるといかにもよくないことが起こりそうだった。



「ウォーリアにバレても関係ねぇ!!テメェら2人殺してやる!!」



「「ッ!!」」



俺ら2人は湯川の殺気に押され体が震えてきた。

そうしていると、どこからともなく女性が集まり出してきた。



「ユイト!逃げられそうに無いから覚悟を決めて!私が出来る限り皆んなを止めるから、ユイトはアイツをお願い!」



「わかった!」



走り出す俺に一斉に飛び込んでくる女性達は



「あんた達の相手は私よ!」



俺の前で構えるマナが一人ひとりを相手の勢いを利用し地面に叩きつけたり腕を捻り他に当てたりと合気道の技を繰り出す。



マナの家は武闘家の家柄では無くごく普通の一般的な家である。彼女が合気道を習っているのは自分の為もあるがユイトの為でもあった。

昔から、ユイトとは家族の一員同然で一緒にいるが自分で言うのもなんだが容姿が優れいて、付き纏う輩や不良グループにも目をつけられて、一緒にいるだけでユイトが標的になるなど、問題が多かった為。自衛の手段として合気道を習っていた。

因みに、ユイトも弱く無い為ちょっかいをかけてきた輩は2人の息の合う連携で病院送りとなった。

(学校や両親に2人仲良く死ぬほど怒られたが)


今では、自分も合気道を極めたい思いでやる為マナは武闘家である。



「こんの!クソッタレがぁぁぁ!」



湯川の前まで飛び出したユイトは、叫び声と同時に拳を振りかぶりその拳を顔面に叩きつけた。



顔面と拳から鈍い音が聞こえ湯川は後ろから倒れた。



「うぐぁぁぁ!!…ナメるなクソが!!」



湯川はすぐに立ち上がりユイトの顔面に拳を打ち付ける。

そこからは2人の防御なしの殴り合いに口から鼻から出る血が周りに飛び散る。

2人の殴り合いは止まることなくそして少しづつ一発が弱弱しくなって行く。



「「ハァ……ハァ…」」



「ユイト!早く決めて!!こっちが保たない!」



「てな訳だ……ハァ…くたばれクソ野郎。」



「…ふざけんな…ふざけんな!」



互いに走り出し互いに仕留めようと考え走り出す2人はフラフラだが前に進む。

そして、互いの拳が当たるという時に拳を振りかぶる。その時、湯川の拳はユイトの顔面を捉えていたがユイトはダメージの蓄積で体にガタが来ていて右ひざが曲がり地面に膝をついた。

偶然にも、湯川の拳は目の前から急に消えたユイトに当たらず風を切りそして疲れからか、咄嗟に逃げる動きが出来なかった。



「歯くいしばれよ。」



ユイトの拳は湯川の顎を捉え身体を浮かした。

地面に落ちた湯川は、体が動かず微動だにしなかった。



「二度と立ち上がるなよ、もう無理だから。」



正直身体はもう限界でぶっちゃけ動きたく無いが、湯川を一瞥してからマナの方を見ると。



「お疲れ様…ユイト。」



「ありがとう、マナ。」



倒れそうだった俺の身体をマナは受け止めて背中にもたれる形だった。

周りをよく見るとマナと戦っていた女性達は能力が途切れた様で人形の糸が切れた様に倒れていた。



「ふふっ…ユイト顔がボロボロだよ。」



「男前の顔がだいな「普通だよ」……男前の「普通だよ」はい。」



俺らはそんな普通な会話をしていてさっきまで命を懸けた戦いだったのに笑いが止まらなかった。



「こいつどうしよっか」



「やっぱり警察だろ。…俺の携帯塀に当たった時に壊れたから、マナが通報してくれるか?」



「了解……ごめんね。」



「マナが無事ならいいよ。」



マナは携帯電話を取り出すと通報を始め俺は伸びている湯川を見下ろす。

こんなどこにでもいる様な人が訳の分からない力を持っている。前に俺は転生してくる人達も被害者だと言っていたが自分の目にはそうは見れなかった。



同じ人間なのに目の前の存在は人間とは思えなかった。

改めて俺は体が冷えた。



「ユイト…呼んどいたから危険だし離れてよ。」



「ッ!…ああ、そうだな。」



「時間はあるからたっぷりと話せるわね。」



「お…おう、お手柔らかに頼みますよ。」



そんな軽口を叩いている俺たちは油断していた。

終わったと思っていた。



ドスッ



そんな音が隣から聞こえた。

音の元を見るとマナが倒れていてその上に跨った女がナイフでマナの背中を刺していた。



「…ググっ…よくやった。次はその男だ!」



「………」



何が起こったのか分からなかった。

目の前の光景は俺の頭じゃ追いつかない事だ。

女が飛び込んでくるがどうするか思いつかなかった。

しかし、身体は反射的に避けた。



「………」



「ひっ!…は…早くそいつを殺れ!」



あの叫んでいる男を見て俺は歩き出す。

その間、周りの女達は()()()()()()()



「おい!なにしてる!!早くそいつをやれよ!!」



「………」



「来るな!こっちに来るな!なんで動かないんだよ!!」



俺は叫ぶ男に拳を打つ。

当たる際に何かが折れる音が聞こえたが、そんな事関係なしに打ち続ける。



「や…やめてくれ!…やめ…た…助け…お願いします!…やめーー」



「………」



何か言っているが俺には関係ない事だと思い顔面を殴る。

そして、胸ぐらを掴み仰向けに倒れていた男を上半身を起こし



「…い…嫌だ!死にたくない!死にたくーー」



ベキッ



男の頭の骨が地面に強く打ち付けられ壊れる音が聞こえた。



グチャッ



トドメとばかりに俺は頭部を踏み潰した。

目の前には見るも無残な死体が転がっているが何も感じなかった。

俺は、倒れているマナの所へ行き彼女の上体をゆっくり起こして抱きしめた。

マナは冷たかった。










ビルの屋上



「……借りは返したよ。ユイト…フィギュアのね。」



「おい10番目…さっさと行くぞ。」



「わかったよ。」



ビルの屋上にいた人達は次の瞬間には消えていた。



頑張って書いていきます。


サラダバー

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ