表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

思い出話

曾祖母のこと

作者: 眠熊猫

階段の下の、玄関の脇の柱の上部。

そこに付けられている小さなスピーカーが鳴るのを、階段の一番下の段に座って、三歳の私は待っていました。

二階で寝たきりの曾祖母が枕元に置かれたボタンを押すと、スピーカーからベルの音が流れます。

そうしたら、二階に上がっても良いのです。

曾祖母に会いに行けるのです。

もう、話も、ほとんど聞き取れないけれど。

私は曾祖母が笑ってくれるだけで嬉しかった。

曾祖母が口を動かした後、頷くだけの私。

そうすると、笑ってくれました。優しい笑顔。

布団の脇にぺったり座って、曾祖母の顔を覗き込むのが大好きでした。

曾祖母が起きていて、私を呼ばないと、二階に行くことは禁じられていました。騒がしくするからと。

3歳の春に引っ越して、その夏にはいなくなった曾祖母。いなくなった、その時を覚えていません。

でも、暫く残っていたそのスピーカーを見上げるたびに、私はちょっと階段の下の段に座ってみたくなるのでした。待っていたらベルが鳴らないかな、と。

五歳になるくらいまで。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ