異世界に来た大雑把な理由。
「だからあれほど調子に乗るなって言っておっただろう!この馬鹿者!」
今注意しているこの人は俺の師匠のマリー=エリ=フラワ、性別は女、美人だけど気が強い。年齢不詳だけど見た目は少女、でも凄い魔法使いらしい。名前は長くてめんどくさいから俺は師匠って読んでるけど。
「しっかり聞いているのか!この馬鹿弟子!見習いのくせに!」ボカッ
「痛っ~!?師匠は黙っていれば超可愛いのに、もったいない(小声)」
「ッ~///うるさいうるさいうるさい!口の聞き方に気をつけろ!」
「はいはい」ボカッ
「はい,は一回!」
「ぅ~はい!」まったく本当に厳しい。まあ優しい所もあるんだけど。
そもそも何故俺が今、異世界で魔法使い見習いしてるかというと…
今から2ヶ月前
高校から疲れて帰ってきて、寝て起きたらいつの間にか異世界の草原にほうり出されていたという…それ以上でもそれ以下でもない。当時は自分が一番パニクっていたと思う。意味がわからなかった。
3日間行く当ても無く飲まず食わずで死にそうになっていた所を師匠に助けられてそこで魔法という概念がこの世界にはあることを知った。行く当ても無く暇だから3食風呂付きの師匠の家に居候+師匠の弟子となった訳なのだが…
ご覧の通り魔法はまだ完全に使える訳ではなくて、杖から小さな火を着けるだけでも精一杯。これでも火が出るだけ異世界補正効いてると思うんだけど…そんなことを考えていると師匠が話しかけてきた。
「そうそう、いきなりだが今日お前の兄弟子を紹介したいと思う。」兄弟子?
「本当いきなりですね!?てかそんな人居たんですか?」
「ああ、他の魔法使いの所に修業に行かせてたからな。まあ説明はあとだ。入れ。」
「失礼します。」俺はそこで目を見開いた。
「お前は…嘘だろ転校したはずでは」
そう、そこに居たのは俺が異世界に来る二週間前に急に転校した友人の姿だったから。