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遙かな昔
いにしえの神が創れたるは、夢幻の時空塔
7つの聖地にて体を静め
10つの魔歌を修めよ
さすれば
旧き代償を満たし
時空塔への道は開かれんーーー
*
という伝承があるんだけど、嘘っぽいよね。
だけど、この世界『ラナログ』の人々は、このトンデモナイ噂を信じ込んでしまっているんだ。
ある条件を満たしたら伝説の地に行けるってのは、ある意味ファンタジー世界のお約束だと思っている。
だけど、そのせいで、世界中の人々が物凄くやる気になっているんだ。
こうなると大変。
冒険者は美しくも危険な職業。
故に沢山のバッドエンドもある。
当然だよね。
たださえ、一人旅ですら危ないのに、魔物も居るだもん。しかも背後から忍び、いきなり襲い掛かって来るし。
昼も夜も気が抜けない。
油断していたら、その時点でデス・エンド。
死者の数?
そんなの、両手両足でも足りないぐらい、いっぱい出てくるに決まっているじゃないか。
けれど、たまに物好きな変人が居るんだ。
理不尽すぎる世界に自ら飛び込んで、叶わない夢を果たそうとする人が。
これはそんな人達を取り巻く『欲望」の物語。
最後まで聞いてくれるとうれしいな。