悪食たちの食前酒
こんにちは、はじめまして。初投稿です。
この作品には残酷なシーンやグロテスクな表現が含まれています。
R15で大丈夫だと思いますが、苦手な人はブラウザバックを推奨します。
「あなたに打ち明けたいことがあります」
目の前には丸皿に蓋の付いた皿が運ばれてきた。
わたしはそれを開けるのが怖かった。
この部屋にあるヨハネの首を持つサロメが如く、生首が出てきそうな気がしたからだ。
「それはオフレコということでしょうか?」
「そう言う分けではございません。ただ、あなたに打ち明けて見たかった。そう思ったのです」
わたしは彼のまなざしにはっと息をのんだ。
凍るような美貌。その吸い込まれそうな双眸から目を離すことが出来ない。
彼は人差し指を唇に立てると悪戯じみた笑顔を浮かべた。
「僕らはですね。 悪食なんですよ」
彼は丸皿の蓋を開けはなった。
そこから出てきた物は…………。
わたしの名前は山王裕美子。今年で24歳になる。
いわゆるライターと呼ばれる職業に就いている。といってもまだまだ2年程度の駆け出しで、最近ようやく一人での仕事を任せてもらえるようになった。事務所の先輩方にはお尻を叩かれて真っ赤になっている状態だ。くそぅ。
もちろん比喩的な表現。随分と良くして貰っているのは自覚している。とても有り難いと思っている。だけどわたしはもっと褒められてこそ伸びるタイプだと思うの。
それを言うと先輩方は決まって「あなたは叩かれて伸びるタイプよ」なんて笑いながら言い切られてしまった。ひどい。
ごほん。
とにかくわたしは主に雑誌のインタビュアーなどをしている。
その殆どが駆け出しだったり、まだ名前が出始めたばかりの子が多い。わたしも新人ということもあり結構打ち解けてくれる子も多いのだけれども。中には新人なんてと嫌な顔をする子もいる。
たまに秘蔵っ子なのかあんまり変なことを書かれないようにマネージャーが付き添ってきたり、編集者さんが混じることもあるけど基本はマンツーマンだ。
今日の子はとても綺麗な男の子。ここ一番の楽しみな仕事だったりする。
ちょっと前に同じモデルであり、彼女だと噂されていた豊先玲子という女の子が行方不明になった。
わたしも彼女とはインタビューを通じて知り合いになった顔見知りで、ちょくちょく連絡を取り合ったりする仲だ。年齢も近かったと言うこともある。この間もインタビューを受けて貰ったばかりだった。
そのときに小笠原君のことも知ったのだけれども。
連絡が取れなくなるというのはこの業界でまあまああることだ。
仕事が嫌になったり、人間関係に耐えられなくなり音信不通になってしまうなどケースは様々だけれども。
彼女の場合は大きな仕事とかが終わったあとに連絡を絶ってふらっと行方をくらますという悪癖があった。そのために大丈夫だとも思うのだけれども心配なのは変わりない。
小笠原君も今日の打ち合わせの電話でとても心配そうにしていた。
とにかく今日のお仕事は噂のモデル小笠原喜一に迫るってタイトルで雑誌の1ページを飾る予定だ。しっかりとインタビューをしなくては。
「はぁはぁ」
取材に設定した場所は都立大学駅から徒歩15分程度のところにある。
ここは彼からの強い希望でどうしても拝まれてしまった。わたしもネットで検索したところ雰囲気の良さそうなところだったので了承したのだ。
いつもはちょっとした個室――ほどではないが、仕切りがあって声もあまり隣から聞こえてこないところを選んでいた。なかなかにおしゃれなところでここを教えてくれた先輩にば頭があがらぬ。
小笠原君が指定してたところもなんか隠れ家的は雰囲気がって結構楽しみだ。顔が利くのでちょっとくらいうるさくしても大丈夫らしい。
「はぁはぁ」
それにしても疲れる。
昔はこんなことも無かったんだけどなぁと少しぼやいた。
子どもの頃は駆けっこでも一番だったし、体育の成績もすっごく良かった。それがいつ頃からだったか身体が動かなくなってきたのだ。どんどん体力が落ちてきている。
運動不足が原因かもしれない。それ以外にも最近ではすぐに喉が渇くしお腹もすっごく減る気がする。なにか変な病気じゃないかとも思うけど、このくらいで病院に行く気にならなかった。私が病院に苦手意識を持っているからだ。だって雰囲気が怖いんだもの。
そしてなんとなく満足しきれていない感じがするのだ。
それだけに今日の仕事には気合いが入る。
綺麗な男の子というのもあるけれど、最近はちょっとしたコラム程度の枠でしか仕事が貰えていなかったので鬱憤がたまっているのだ。
そういう鬱憤がたまっているときのストレスの解消法としては彼氏に思いっきり甘えたりするのだが。その。ごにょごにょ。
程なくして目的の場所に辿り着いた。そこにはすでに小笠原君が待っていた。
ちょっと準備とかしたかったので少し早く来たつもりだった。仕方ないことだ。
小笠原君はわたしのことを見つけると、ふっと笑顔を浮かべるのだった。
――背筋が寒くなるくらいの美貌の持ち主だった。
これまでに綺麗な子は何人も見てきた。しかし彼はどの子とも違った雰囲気というものを纏っていたのだ。ガラス細工のような瞳。少し吊り気味の目尻だけどそこが涼しげでちょっと鋭い印象を得た。顎も小さくて、まるで女の子のようだ。
少し強めだけど中性的な顔立ちをしていると思う。写真で見るよりもずっとずっと綺麗な子だった。
「はじめまして。小笠原喜一です」
すぅっと会釈をしてきた。その姿もまた様になっている。
すると伏せた顔から悪戯っぽく、電話で何度かお話しましたが――と付け加えたのだった。 わたしははっとなりすぐに彼にむき直した。
「わ、わたしが山王裕美子です。このたびはお忙しい中ありがとうございました」
「こちらこそよろしくお願いします。さっそくなのですが店に入りませんか?」
わたしは小笠原君に促されると肯定の意思を伝えた。
『美味礼讃』
看板にはそう書いてあった。
ホームページにはカフェ&レストランと記されていたと思う。
ビルの地下にあるお店で、わたしたちは階段を下りていった。
こつこつと靴の音が響く。前を歩く小笠原君はどこか楽しげに笑みを浮かべていた。しかしその双眸がどこか冷たく感じられて少し怖かった。
店内の雰囲気は――なんか高級そう。
こんなお店を知っているなんてちょっとずるい。そんな悔しさと好奇心に身を震わせていると店員がやってきた。
小笠原君はこの店のカードらしきものを見せて店員にひとことふたこと話しかけると、
「奥の部屋にご案内致します」
とわたしたちに恭しく一礼したのだった。
店の奥。それもそんな奥があるのかってほどの距離を歩かされたと思う。
その部屋はモダンで高級感があった。壁には真ん中に絵画のレプリカが飾ってあった。レプリカだと分かったのはそれが油絵ではなくてプリント加工されたものだったからだ。
皿の上に人の首が乗っている。題名は『洗礼者ヨハネの首を持つサロメ』と書かれていた。
生々しくてちょっと不気味な印象を受ける。飲食店でこんな絵を飾らなくてもいいのにと思ったのだが。どこか目が離せない美しさを持っていた。
わたしたちは席に着くと取材を開始した。
あらかじめレコーダーを使うことは話していた。再び了承してもらうと手早くセットする。「ぽちっとな!」なんて心の中で叫んでみたりする。
「ではさっそく始めますね。今日はよろしくお願いします」
「こちらこそよろしくお願いします」
わたしは当たり障りのない質問から始めた。
昨日はよく眠れましたかとか、緊張していますかなどと彼の強ばりを解していけるように簡単な問いかけを投げる。
小笠原君が「ちょっと緊張しています」と答えるとわたしは、
「大丈夫です。わたしなんてもっと緊張していますから!」
なんて言ってペンを持つ手を震えさせてみた。
そんなとりとめないことを話していると、彼も段々と笑みが大きくなってきた。
頑張って彼の笑顔を引き出せるように努力する。
やがて小笠原君の緊張もほぐれたなって思った頃に写真のお願いをする。
これは結構最後に撮ってしまうことが多いのだけれど、わたしはやっぱり自然な感じで笑っているときが一番映えると思っているの。なのでちょっと緊張が解けたときなどを狙って写真を撮らせて貰っている。
やっぱり綺麗な子を撮るのは楽しいなーなんて思いながらぱしゃぱしゃとSDカードに小笠原君の絵が増えていく。
記事にするときの選択に苦労するなーとそんなことを思った。
やがて取材も終わると彼がこんなことを切り出してきた。
「コーヒーだけでは寂しいですし、こんな時間ですが食事をしていきませんか?」
「え、それは構いませんけど……」
ディナーにはまだ少し早い時間。
それよりもわたしなんかが小笠原君なんて綺麗な子と食事をしてもいいのかと心配になった。なんか明日にでも死んでしまいそうな気にさえなる。大丈夫かなファンの子に刺されたりしないかな?
「ここは簡単なコース料理なんかが楽しめます。コースといっても雰囲気を楽しみたいという人達に向けた物になっています。そんなお堅い物じゃないんですけどね」
「そうなんですか?」
「あくまでも雰囲気を楽しむお店ですから。値段もかなりリーズナブルなほうです」
取材に掛かる費用――食事代などは領収書を切って貰えば経費として落ちる。だけどコースと聞いてちょっと身構えてしまった。確か経費として落ちるのは幾らくらいだっけと頭の中で試算する。
もちろんこんな綺麗な子と食事をするのはやぶさかではないので多少の出費はどんと来いなのだけれども。
「ああ、大丈夫ですよ。幸いにも僕はここのオーナーとは知り合いでして。今日のことを話したら食事くらい出してやるって張り切られましてね。お金の心配はいりませんよ」
「それならそれでお礼のご挨拶をしたのですが」
「オーナーは今日ここにはいませんし、人見知りなので人前に極力でないんですよ。なので黙ってごちそうになっていただけませんか?」
なおのことお礼がしたいと言うと、小笠原君が「ね」っと手を合わせて可愛くお願いしてくるものだからついつい頷いてしまった。ああ、押し切られてしまった。
その時、まるで待ち構えていたのかごとく店員が扉をノックする音が聞こえた。
それは食前酒のようだった。白色のスパークリングワイン。
「ここでは鶏の血なんて呼ばれています」
血だなんて物騒だなと思った。しかし特に赤くもなくわたしはそのワインをまじまじと凝視してしまった。
小笠原君が苦笑を浮かべているのが分かる。ちょっと頬の温度が上がる。
「これはですね、サクランボのフレーバーを垂らすのですよ。そうするとうっすらと血のように赤くなるのでそう呼ばれています」
彼がそんなことを語ると店員がスポイトのようなものを取り出し、数滴ワインに垂らしたのだった。
ワインはみるみるうちに薄紅色へと姿を変えていった。
わたしはそれになぜか心を打たれたのだ。強烈にサクランボの甘い匂いさえ漂ってきた気がした。甘く甘く舌を痺れさせるほど甘い。血のように甘い。
小笠原君はそんなわたしを見てグラスを掲げた。
わたしはその美味しそうなワインをつまみ上げると、チリンと乾杯したのだった。
こんなにもワインが美味しいと感じたのは初めてだった。
まるでこの世の物ではないような、夢の中にいるような心地になったのだった。
そしてひとくちの楽しみ、次に前菜が運ばれてくる。どれも美味しくて、こんなにも満足感を得たのは久しぶりだった。しかしまだ何処か足りない自分もいるのだ。
やがてメインである肉料理が運ばれ来たときに小笠原君がこんなことを切り出した。
「豊先玲子さんが行方不明になっているのはご存じですか?」
「ええ、わたしもすごく心配しているの」
「僕もですよ。彼女はいったい何処に行ってしまったのでしょうか」
わたしはちょっとだけ違和感を感じた。どこかおもしろがっているような、試しているような気がしたのだ。どこか早くタネをばらしてしまいたい。そんな気配が感じられた。
「僕は彼女のことを愛していました」
「早く戻ってきて欲しいですね」
「ええ、本当に」
彼は料理が冷めてしまいますので食べましょうかと切り出した。
わたしはフォークとナイフを使って肉を切り上げる。
口元に運び、咀嚼し、嚥下する。
「とても美味しいお肉。いったいなんのお肉なんだろう」
目の前にあるステーキを頬張ると思わずそんな言葉が漏れた。
「これは肩肉ですね。食べ応えがあるでしょう。なんのお肉かは秘密です。もしかしたら美味しく食べられないかも知れませんから」
「変な冗談を言うのね」
「結構悪戯好きなんですよ。僕」
小笠原君は大袈裟に手を広げた。
わたしは思わず笑ってしまった。
楽しい談笑。それも長くは続く無かった。
突然に彼が真剣な声色でわたしに問いかけてきたのだ。
「――――山王さんは、満足していますか」
「突然どうしたのかしら?」
「いえ、あまり元気がなさそうでしたので。顔色も、その……」
小笠原君は珍しく歯切れが悪く言いよどんだ。
顔に出てしまっていたのだろうか。
顔色の悪さは念入りに化粧で誤魔化した――はず。たぶん。
ちょっと焦りながらも言い回す。
「やーばれたかー。今日はこんなに格好いい子に出会えるんだと思ったら緊張しちゃってねー。あんまり眠れなかったんですよー」
わたしは必死で取り繕う。ばれていないよね?
小笠原君の目はまるでわたしの心の中を見透かすように鋭かった。まるで観察されているようだ。恐ろしくて居心地が悪い。
「あなたに打ち明けたいことがあります」
彼がそんなことを言うと、あの丸皿が運ばれて来たのだった。
「ぐるまん?」
思わず聞き返してしまった
グルメとかそんな感じの意味なのだろうか。
「それはどういう意味なのかしら?」
「僕が豊先玲子を食べました」
いきなり何を言う。
確かにこの容姿ならモテること間違いないだろう。そんなことを赤裸々に言われてもこっちが困る。それとも今時の青年はこういうものだろうか。数年違うだけでもう世代差というものがあるのだろうか。
自慢という感じではない。ただ事実を言っているだけな感じもするのだけれども、それでも下世話だ。
わたしは顔を引きつらせながら
「へぇーそうなんだー」
と言った。
そんなわたしの反応を見て彼はくすりと笑った。
「彼女が行方不明だというのはご存じですよね」
「ええ、まあ」
「彼女は決して旅行に行ったわけでも、姿を隠したわけではないのですよ」
「じゃあ、何処に行ったの?」
「僕が愛してしまったのですよ」
この子は一体何が言いたいんだろうか?
「ああ、申しわけありません。グールマンについて説明をしていませんでしたね。単純に言いますと肉を食う吸血鬼みたいなものですよ」
「吸血鬼? 冗談でしょう」
「なら、今から面白いものをお見せいたしましょう」
ふと目を離すと右斜め隣に居たはずの彼が居なくなっていた。
いつの間にかわたしの左隣にいたのだ。
わたしと机の間には殆どスペースはない。前を横切ることは不可能だと思う。机も結構大きいので回り込もうとすれば当然時間が掛かるはずなのだ。
驚いた顔をして彼を見る。そしてもう一度目を離すと今度はまた同じ位置に戻っていたのだった。
なにが起きたのか分からない。狐に化かされたような気分だ。
「今のどうやったの?」
「そんな大したことじゃないですよ。ちょっと早く動いただけですから。あなたもすぐ出来るようになりますよ」
小笠原君は「少しは信じる気になりましたかと」と言った。
わたしは頭の中がごちゃごちゃしてきたのを感じた。
「人には欲求があるのはご存じですか」
「食欲とか睡眠とか」
「人には『6感』があるのですよ」
彼は言葉を切らずに続ける。
「まずは視覚、次に聴覚、さらには嗅覚、そして味覚、最後に触覚。それが5感。もうひとつは肉体愛とでも申しましょうか」
「……」
「我々グールマン。いえ、悪食鬼は少々違います。我々の6感は味覚と同じ。愛とは味覚」
一呼吸置いて
「我々の愛とはすなわち――食べること」
わたしは彼がなにが言いたいのか分かってしまった気がする。猛烈に嫌な予感がしたのだ。いや、疑惑とも言って良いかもしれない。
――――わたしが食べたのはいったい『何』
あまりにも恐ろしい考えで言葉が出なかった。
なおも彼は続ける。
「食し、咀嚼し、嚥下する。頬、口蓋、あるいは鼻腔。それはらすべて舌根から脳髄へと突き抜ける。それはとてもとても満たされた瞬間でもあるのですよ」
小笠原君は言う。
グールマンとは、大食を表すグルマンと、人の肉を喰らうグール。
それらを併せた造語なのだと。
総じて悪食鬼と呼ばれているのだと。
なぜわたしにそんな話をするのか理解出来なかった。あるいは理解することを拒んでいた野かも知れない。
「あなたはこの料理を美味しいと感じたのではありませんか」
それは毒のような言葉だ。
「それはあなたに足りないからです。愛が、人が、食事が」
その言葉は蛇のようにわたしをぐるりと巻き付いて離さない。
「最近体力が落ちてきていませんか。僕らは産み落とされたときには十分過不足無く力が満ちています。しかし日が経つごとにその能力は削れてゆく。あなたは珍しい。食べることもなくそこまで生きられるケースは稀なのですよ」
耳を塞いでしまいたかった。
「僕らは定期的に食べなければ生きていられない存在なのですよ。ただ、僕らには嗜好というものが存在します。それはその『部位』を食べさえすれば良いというものです。
例えば眼球、例えば心臓、例えば血。様々な場所に惹かれる。あなたは――残念ながら僕らと同じ存在なのですよ」
「そんな……っ」
「僕らはですね。グールマンなんですよ」
そう言い放つと丸皿の蓋を開けはなった。
そこには女性の手のような物体が現れた。
「きっとあなたはコレに一番惹かれる」
彼はそれを手に取った。
まるで愛撫でもするかのように優しくなでさする。そして指に舌を這わせたのだった。
するすると指先を舐り、爪の間に舌を突き入れるかのように押し当てる。右へ左へと往復させる。
手の甲に、手の平に、ぬるりと蛞蝓が這うが如くゆっくりゆっくりと舌を遊ばせてゆく。ぬらりと唾液の痕が這い回っていった。
そしてわたしに見せつけるかのように。指を――――噛みちぎる。
ごりごりと骨を砕く音が聞こえた。
肉を裂き、骨を砕き、軟骨の随まで味わい尽くす。
とても恐ろしい光景だった。
だけどわたしの心の中ではこんなことを思っていたのではないか。
それは、
――――なんて美味しそうなんだろう。
それからの記憶は殆ど無い。
だけど妙に身体に力がみなぎっている気がする。
早く。早く愛しい彼に会いたい。
あの逞しくも優しいとても愛しいあの指に――
ここまで読んで下さってありがとうございます。