65話
そのウサギぽい人は、薬ビンのようなものを持っていた。
あれ、回復魔法で直してくれんじゃなかったのか。
薬で治すなら、頑張って殴りあいに耐えた努力が無駄になるじゃないか。
とりあいず、挨拶をして置こう。
「「よろしくお願いします。」」
二人で挨拶が、かぶった。
まずいな、仲がいいみたいに思われる。
思われて困ることはないけど、なんか嫌だな。
「えーと、とりあいずこの薬を塗っといてもらえます。」
「魔法で、直してくれんじゃないですか。」
「えーと、魔法だけだとうまく直らなかったりするから。決して、油断して薬を使わずに回復魔法を使って悲惨な事を起こしたことなど、ないから安心してね。」
「「安心できるわけないだろおおお。」」
二人で、うまいこと揃えて叫んだ。
ある意味気持ちがよかった。
悲惨な事故、頭に爆発落ちがよぎる。
「えーと、だから問題にはなって、いや問題は起こってないから安心してね。」
なんか、聞いてはいけない言い訳を聞いたような気がする。
たいした怪我じゃないし、断って帰るか。
さいわい、これで初級コースの練習は終わりのようで回復してもらい次第帰る流れ解散のようだ。
「ちょっと、まってよ。私も最近、本物の患者を直せる機会をもらえないんだから。」
あのう、泣きそうな顔で引き止めないでもらえますか?
しかもそんな、内容の呼び止め方するとか、まずいと分かってる料理を食べさせられる主人公の気分だ。




