62話
「1,2のドーン!。」
教官の例の気の抜ける合図の後、戦いが始まった。
えーと、もう攻撃してもいいんだよな。
最初の一発は、気まずい。
ドーン、お腹からそんな擬音が聞こえた。
そんなことを考えてる間に殴られた。
相手の右ストレートが俺のお腹を捉えた。
結構痛いが、昼間のオークの一撃より痛くはない。
「ち、今の一撃で倒れると思ったんだがな、なかなかやりおる。」
「へへへ、その程度でやられてたまるかよ。今度は、こっちが殴る番だな。」
バトル物の少年漫画のようなセリフを交わしたつもりだったが、ただの小物の会話のような気もする。
今度は俺が殴る番だよな。
俺も相手の腹を目掛けてパンチを繰り出す。
何かの漫画で読んだパンチのやり方を思い出す。
右手と左手が後ろでヒモになってる?
嫌なんか違う。
まぁいい、思いっきり殴りつければ多少は利くだろう。
食らえ、右ストレート。
「はぁっ。」
グキ
俺の手から嫌な音が聞こえた気がするが、ここは我慢だ。
「まぁまぁな一撃だが、俺はその程度では倒れんわ。」
「そうでなくては、面白くないな。」
その後、痛みに耐えながら殴りあった。
互いに教官が終了の合図をだすまで倒れることはなかった。
後から考えると、とっとと倒れた方がよかったと思う。
特に勝ってもいいことないし、体型的に俺が圧倒的に不利だったし。
それでも殴りあったのは、この後のためだ。




