59話
特別訓練か、男の教官に言われてもな・・・
いや、ラノベじゃあるまいし女教官でも関係ないか。
「と言うわけだから、ちょっとまってろ。」
と、言って少し離れた場所で同じような授業を受けていた集団に声を掛けにいったようだ。
そして、すぐに戻ってきた。
「話はついた。特別訓練の内容は、そうだな。二人づつのペアに分かれて拳で殴り合え。」
「それのドコが魔法の訓練なんだ?」
「ん?魔法の訓練って成長がわかりにくいんだ。だから殴りあうことで、強くなったという実感を味わってもらうのが目的だ。あとは俺の好みだな。」
ん?もしかしてこの人、昼間会った聖騎士の人をボコボコにした教官なんじゃないだろうか?
しかもこの訓練で分かるのは魔法の成長では、ないだろう。
「なんで、魔法の訓練で腕っ節が強くなったを実感しなければならないんだ?」
「怪我をしたらどうする気だ。」
「殴ったら痛いじゃないか。」
みんなに混じって俺も野次を飛ばしてやった。
今日、訓練初参加じゃない人も野次を飛ばしていることから、毎日殴りあいをさせているわけではなさそうだ。
「怪我の方は、さっき、回復魔法中級クラスの人たちに協力を頼んだから大丈夫だ。あと魔法は追い込まれた時に発動することがある。だから運がよければ魔法が使えるようになる。だから、コレは魔法の訓練だ。痛いのは気合でがんば」
最終的に運と気合だった。
しかも、追い込まれた時って、結構深手をおうまで殴り合わせるかよ。
あと、練習前に簡単な魔法で使えるようになるのに数年かかるって話だし、今日から習い始めた俺は、おそらくタダの喧嘩の練習になるだけだろうな。




