苛立ち
わけがわからない
その靄は僕が連れてきた
その靄の中で僕は動かない
決して晴らしたくはない
僕は紛れもなく独りだ
この2DKのアパートに君はいない
下手な憶測は投げつける
砂利の駐車場に窓から捨てる
ああ、変えたかったよ
突き抜けたかった
青空に向かって手を広げようと
何度も試みたじゃないか
君の手を握り、二人で羽ばたきたかった
君の知らない過去から逃れられない僕は
君と一緒に扉を開くことは出来なかった
愛は強くない、儚く燃えて美しい灰となる
それで良かったんだね
僕の業は僕だけのもの
君と一つにはなれなかった
僕の情けない啜り泣きを君は見ていた
≪違う、私は狂おしい愛を望んだ。美しさなんか要らない。その魔を刺して、ズタズタに引き裂き、悪を分かち合いたかった。あなたは靄の外側に堕ちた。這い上がる気力なんてない。あなたは死んだの。紛れもなく独りなのは私。あなたが置いていった靄の中で私は動かない。決して晴らしたりしない。誰も覗かないで、触らないで、息を漏らさないで。眠らないのは夢を見たくないから≫
≪あなたは誰? 突き上げるナイフの声、抉られる肉体の叫び、溢れ出す血の詩。私を動かさないで。靄を晴らさないで…… 愛したくない、遠くのあなたを愛したくなんかない!!≫