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水蜘蛛  作者: 漆原康弘
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発想は血肉の先を行かない

無意識に出ている内はどこまで行っても癖は癖。

癖を癖と知って理解すれば制御できる。

制御できれば癖も立派な技に。


分野問わず、技術なんざ癖の集合体である。

ピッチャーがボールをリリースした瞬間から帳尻合う、踏み込み、スイング、体重移動、バットコントロール、フォロースルー。

まるでピッチャー当人の命を宿したかのような、一球一球が異なるアプローチに対するバッターのアドリブ技術も、イメージ上の最良を目指した意図的な癖付け、つまり努力が、バットの芯を捉えさせる。


癖も育てなければならないということ。

技とは呼べない悪癖だと知れば自ずと棄てるし、期待が持てるなら残す。

そして淘汰に耐え抜いた癖は大事に育てて技の域まで磨く。

だからスタート地点は喩え悪癖だろうとも、癖はとにかく多い方がワンパターンよりも芽が手許に残る可能性が高い、という下手な鉄砲論。

悪癖が転じて奇跡が生まれる場合だってある。

省みてもなお、癖が無い、掴み処が無い、ということは手札を一枚も持っていないのだから、愚直を決め込みワンパターンに攻めてみるという荒療治もいいかもしれない。



手本を盲信し単純に模倣するのみでなく、こうした分析を経て漸く豊かで魅力的な技を備わえていくのだろうと先達を見て学んできたつもりだが、果たして。


私自身を知る。

まずはそこから。

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