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彼岸花  作者: 葵陽
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チチキトク

親父が危篤らしい。


俺の親父は亭主関白の典型のような男で、母さんはいつも不機嫌な親父に振り回されていた。

そんな親父に母さんは、愚痴のひとつもこぼさなかった。

ついには、過労で倒れてそのまま逝ってしまったのだが。

優しくて強かった母さんが俺は大好きだった。そんな俺から親父は、母さんを奪った。俺は一生、親父を許しはしないだろう。高校を卒業すると失踪に近い状況で、家を出た。もう、ここに戻ることはないだろうと決意をした。


俺は、親父が大嫌いだ。


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