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黒のドレスを着こなす令嬢には、白いキセルがよく似合う

 星がまばらに光る曇り空の夜、王都のある貴族の屋敷で夜会が開かれていた。

 貴族の令息、令嬢が談笑に花を咲かせ、酒を嗜み、時には踊りもする。

 しかし、水面下では貴族ならではの腹の探り合い、格の比べ合い、見栄の張り合い、が繰り広げられる。

 いわば“華やかな戦場”である。


 そんな会場に、異質な女性が一人。

 アレッタ・ヒューム。伯爵家の令嬢である。

 身長は高め。眩しいと錯覚するほどにあでやかな黒髪を後ろに束ね、鋭く切れ長の眼、長い睫毛で、凛とした美貌を持つ。しかしその眼差しはどこか冷めており、アンニュイさも漂わせる。

 衣装は黒いドレス。ノースリーブで、太股まで見えるようなスリットが入っている。

 特筆すべきは彼女の持っている道具だ。会場の壁際で、彼女はキセルを吸っていた。

 白く細長く、先端には銀箔が施されている。

 黒のドレスを着こなす令嬢が、白いキセルを使いこなしている。

 アレッタはまだ18だというのに、爛熟したマダムをも思わせる妖艶な色香を纏っていた。


 この王国ではキセルを規制するような法律はなく、子供も大人も自由に吸うことができる。ただし非常に高価であるので、吸える人間は結局限られる。

 キセルとは刻んだ葉を入れ、火をつけ、煙を吸う道具であるのだが、彼女のキセルには“ルンガの葉”が入っている。

 この葉には毒性も依存性も認められていない。ルンガの葉によるキセル愛用者の体を、本人の生前の希望の元、没後に解剖したところ、肺はいたって綺麗だったという。

 つまり、アレッタの喫煙は法を犯すものではなく、健康を害するものでもない。純粋なファッションと言ってもいいかもしれない。

 しかし、この国の貴族の間では、キセルを吸うことはあまり好ましい趣味とは扱われていなかった。

 貴族とは己を隠さず堂々としているべき存在であり、キセルを吸って、自らを煙で覆ってしまうのは“下品”であると考えられていた。まして、煌びやかな夜会の場で吸うなどもってのほか――

 だが、アレッタは堂々とキセルを吸い、たたずまいには気品がある。誰も近づけず、誰も文句を言えなかった。

 アレッタを落とすのは一体誰になるのか、というのが若い貴族の間では密かに語り草になっていた。


 そして、今宵は挑戦者が現れる。

 ガモン・リーベという伯爵令息だ。高い鼻と広い肩幅が、そのまま彼の功名心の強さを表している。

 ガモンは好色家として有名であり、『夜会は女を口説く場所』と公言するほどだった。

 醜聞が露見してもさしてダメージを受けない、ある種美味しい立ち位置を保持する男。そんな彼が巷で話題のアレッタに挑むのは、当然の成り行きといえる。

 口説き落とせればそれでよし。あっさり振られたとしても「あのアレッタ嬢に果敢にアプローチするとは、流石ガモンだ」という風評が流れ、むしろ色男として箔が付く。

 どう転んでも、ガモンにとってはメリットしかない勝負だった。


「やぁ、アレッタさん」


 キセルを吸うアレッタに、ガモンが話しかける。

 アレッタはキセルを口に咥えたまま、ガモンに目を向ける。

 ガモンはとびきりの、暑苦しいとまで言える笑顔を見せる。


「君の噂は聞いているよ。夜会では、いつも壁際でキセルを吸ってるんだって?」


「ええ、まあ」


 アレッタの返事はそっけない。ガモンはかまわず続ける。


「今更夜会でキセルを吸うのはどうなんだ、なんてことは言わない。君とキセルはよく似合っているからね。しかし、なぜキセルを吸うんだい?」


 アレッタの行為を非難せず、なおかつ褒めつつ、核心を突く質問をする。色男らしい細やかなテクニック。

 アレッタは静かに答える。


「口が寂しいから……かしら」


 これにガモンは気をよくする。鼻孔が広がる。


「だったら僕が、君の口を寂しくないようにしてあげようか?」


 ようするに「キスしてあげようか?」の意である。

 夜会の場で、話題のアレッタの唇を奪ったとなれば、ガモンは色男として社交界でさらに名を成すことになるだろう。

 一方のアレッタは煙を吸うと、キセルを唇から離す。

 そして、煙を吐きながらこう言った。


「どうぞ。私の唇を奪う勇気が、あなたにあるのでしたら」


 アレッタは了承した。周囲がざわつく。

 あのガモンのことだ。きっとむさぼるようにアレッタの唇を奪うことだろう、と誰もが思った。ガモン自身だってそうだ。“どうぞ”とまで言われたのだから。

 しかし――


「……っ!」


 ガモンが止まった。

 アレッタの唇は薄い桃色で、彼女の他の特徴に比べれば、特筆すべきことはない。

 しかし、なんともいえない魔性を放っていた。

 まるでキセルを吸うことで、その魔性を蓄えていたというかのように。

 ガモンはこの唇を奪ってしまったが最後、アレッタに心を奪われるのではとか、それにより今後色男としてやっていけなくなるのではとか、そんな恐怖感を抱いた。

 そして、顔面を青ざめさせ、たじろいだ表情を見せる。


「いや、すまなかったね……。ちょっとからかいが過ぎたようだ……」


 そそくさと退散するガモン。

 その後もアレッタは冷めた表情でキセルを吸い続ける。

 色男ガモンをあっさり退けたことは社交界でアレッタの名を高めたが、彼女にとってはどうでもいいことだったのかもしれない。



***



 アレッタに関する逸話は、夜会での場に限ったものではない。

 彼女も令嬢として、一通りの習い事を嗜んでおり、今日は街のピアノ教室でレッスンを受けていた。

 行き帰りには馬車を使っていたが、帰りに御者から「車輪の調子が悪い」と報告を受ける。修理するのを待つか、他の馬車を手配するか、という場面である。

 これを聞いたアレッタは気にする様子もなく、


「でしたら私は歩いて帰ります。ちょうどお散歩をしたかったところですし」


 黒のドレスでキセルを吸いつつ、颯爽と歩くアレッタに、皆が見とれた。

 そして、アレッタは裏通りの存在に気づく。暗く、どこか淀んでいて、いかにも“悪”の匂いのする狭い通り。

 しかし、アレッタは「こっちの方が近そうだわ」程度の理由で裏通りに入ってしまう。

 まもなく、彼女の身に危機が訪れた。


「おいおい姉ちゃん、ここをどこだと思ってんだい」


 数人のチンピラがアレッタに絡んできた。


「俺らはわざわざ縄張りから出て悪さしようとは思わねえが、そっちから入ってきた奴には容赦しないぜ」


 アレッタの肢体を舐め回すように眺めるチンピラたち。

 だが、アレッタは落ち着いたもので、キセルを一服吸う。そして、一言。


「どいてちょうだい」


 一切動じないアレッタに、チンピラたちは尻込みする。

 人数でも腕力でも勝っているのに、なぜか手を出せない。彼女の発する貫禄はそういうものであった。

 かといってやすやすと道を空けることもできず、睨み合いが続く。

 すると、裏通りの奥から一人の男が出てくる。


「やめとけ。その姉さん、お前らでどうにかなるもんじゃない」


 顔に大きな傷のある、凄みのある表情をした男だった。


「もちろん、この俺でもな……」


 男は裏通りのボスだった。

 ボスはアレッタに敬意を表するように一礼する。


「すごいな、あんたは……。荒くれ者に囲まれても堂々としている。もし襲われてたら、どうするつもりだったんだ?」


 アレッタはキセルを吸い、煙を吐きながら答える。


「その時は……その時よ」


 この答えにボスは笑う。


「大したもんだ。ここは堂々と通ってくれ。多分、あんたの家への近道になる」


「ありがとう」


 アレッタは歩き出す。

 そんな彼女の背中に、ボスが声をかける。


「あんたのこと、あねさんって呼ばせてもらってもいいかい?」


「好きにして」


「何かあれば、力になるぜ」


 アレッタの背中が遠ざかっていく。

 ボスは微笑み、手下のチンピラたちは呆然とした表情で、それを眺めた。

 アレッタは夜会で色男を一蹴するだけでなく、初対面のアウトローでさえ魅了してしまう妖しさを秘めていた。



***



 アレッタの生い立ち――ヒューム家は王国でも有数の学者家系である。王家とも深い繋がりがあり、特に医学・薬学の分野に長けていた。

 アレッタの父母はもちろん、兄弟姉妹も全員そういった道を歩んでいる。

 特にアレッタの父は優秀で、その教育方針は徹底した現実主義。諦観主義といった方がいいかもしれない。

 「いかに医学や薬学を極めようと、なるようにしかならない」「人間死ぬ時は死ぬ」といったことを幼い頃から叩き込まれた。

 アレッタがどこか冷めた令嬢に成長するのも当然だった。


 だが、そんな彼女にも楽しみがあった。それは父方の祖父カブノスに会うこと。

 カブノスは派手で陽気な老人で、キセルをこよなく愛していた。

 先ほどのルンガの葉、これならば体を害することなくキセルを楽しめることを発見したのはカブノスである。

 なぜルンガの葉を見つけ出すことができたのか。いつまでも健康的にキセルを吸える方法があったら最高じゃないか、というのが動機だったという。

 幼いアレッタがカブノスの邸宅に行くと、カブノスはいつもキセルを吸っていた。


「おじいちゃん、私にも吸わせて!」


 アレッタがこう言うと、カブノスは首を横に振る。


「お前にゃ、まだ早い」


「えー? だってキセルは子供が吸ってもいいし、おじいちゃんのキセルは安全なんでしょ?」


 物心ついてまもないぐらいの年齢で自分なりの理屈をひねり出すアレッタに閉口しつつ、カブノスは答える。


「キセルってのは、ただ煙を楽しむ道具じゃない。キセルもまた、人を選ぶんだ。アレッタ、お前もいつかキセルに選ばれる日が来る。そうしたら、吸ってごらん」


「うん!」


「じゃあ、今日はとっておきの面白い話をしてやろう……。ワシが若い頃の話だ……」


 やがて、カブノスは老衰でこの世を去る。

 アレッタの父は陽気なカブノスとは折り合いが悪く、葬儀の時も悲しむ素振りは見せなかった。


「いつも派手で、キセルなんぞを吸って、およそ貴族らしくない人だった。アレッタ、お前はあんな風になるんじゃないぞ。地味に、慎ましく生きるんだ。人生、なるようにしかならんのだからな」


 父の言葉に、アレッタはうつむく。

 カブノスを失って心に穴が空いたような気分だった。

 もうキセルを吹かし、陽気に話す祖父を見られないと思うと、寂しかった。


 葬儀後、カブノスの従者だった老人が、一つの木箱を手渡してきた。


「アレッタ様、これを……」


「これは?」


 箱を開くと、中には白いキセルが入っていた。白く、細長く、先端が銀拵えになっている。

 そして、祖父からの手紙。


『アレッタ、お前もすっかりキセルが似合う令嬢になった。もしよかったら、受け取って欲しい。私のところに遊びに来るお前は、いつもどこか寂しそうだったが、これがあればきっと寂しくないだろうから』


 亡き祖父からのプレゼント。

 アレッタがよく祖父の家に遊びに行ったということは、自宅にいても寂しいということ。

 カブノスはそれを見抜いていた。


「おじいちゃん……」


 アレッタは決めた。

 父の言う通りになどしてたまるものか。

 祖父から受け取ったキセルを手に、目を引く黒のドレスを着て、夜会でこれ見よがしに吸ってやる。

 しかし、幼い頃からの教育で冷めた性格はそのまま残る。

 こうして、黒のドレスと白いキセルがよく似合う令嬢アレッタ・ヒュームが誕生したのである。


 程なくして社交界で注目される存在になったアレッタに、父は苦言を呈してきた。

 むろん、それを聞くアレッタではない。

 すると、父はこう言った。


「勝手にしろ。父上もそうだった。一度こうすると決めたら、何を言っても無駄だからな」


 父の言葉は手厳しかったが、アレッタはどこか温かい響きも感じた。

 折り合いはよくなかったが、父は祖父が好きだったのかもしれない、と思った。



***



 こんなアレッタであるが、彼女にも友人と呼べる人間はいる。

 リザ・キャロット。伯爵家の令嬢で、髪は山吹色のロング、明るい顔立ちと性格の持ち主である。服装も彼女の生き方を示すかのように、華やかな赤いドレスだ。

 冷めた生き方をしているアレッタにとって、底抜けに明るい彼女の存在はどこか救いになった。

 キセルを吸うアレッタときゃぴきゃぴとはしゃぐリザが並んで街を歩くと、嫌でも通行人の目を引いた。


「ねー、アレッタちゃん見てー!」


「どうしたの?」


 リザが指差したのは一軒の花屋だった。

 かなりの賑わいを見せている。


「あそこの花屋、他じゃ買えないようなお花も売ってて、すっごく流行ってるみたい!」


「ふうん……」


 アレッタはキセルを趣味としており、薬学にも通じているので、植物には詳しい。

 確かに他では見られないような珍しい草花を販売している。

 今度あそこで花を買い、祖父の墓前に添えるのもいいかもしれない、と思った。


 花屋を通り過ぎ、もう少し歩くと、前から騎兵の集団がやってきた。


「あ、騎士団だわ! かっこいい~」とリザ。


 アレッタも視線を向ける。

 銀色の鎧に身を包んだ馬に乗った騎士が、二十騎ほどで王都の大通りを闊歩している。

 王国にはベテラン騎士を集めた『金豪こんごう騎士団』と若手騎士で結成された『銀尖ぎんせん騎士団』があり、彼らは後者である。

 銀尖騎士団団長を務めるのは、ティッツ・ブランジュ。公爵家の令息。

 うなじを覆い隠す程度の長さの金髪で、若獅子を思わせる凛々しい顔立ちをした青年。真新しく艶のある甲冑が、彼の将来性を保証しているかのようだ。

 剣の腕はすでに国内トップレベルであり、忖度など無しに、20歳の若さで団長に抜擢された。

 アレッタはキセルを吸いながら、馬に乗ったティッツを見上げる。

 すると、ティッツと目が合った。

 ほんの刹那の見つめ合いの後、ティッツが馬を止め、馬上から告げる。


「うら若き婦女子がキセルを吸うとは、感心しないな」


 アレッタはゆっくりと煙を吐くと、馬上のティッツにこう返す。


「馬上から偉そうに物言いするのも、感心しませんわね。私に意見があるのなら、馬を降りてからもう一度おっしゃって下さいます?」


 これにはいつも快活なリザもさすがに焦る。


「ちょ、ちょっとアレッタちゃん!」


 しかし、アレッタは堂々とティッツを見つめ続ける。一歩も引くつもりはない。

 ティッツの顔つきも険しくなる。

 そして――


「その通りだ。私としたことが実に失礼なことをしてしまった」


 ティッツは馬を降りると、アレッタに歩み寄る。

 背丈はアレッタより首一つ分高い。


「私は銀尖騎士団団長のティッツ。アレッタとやら、うら若き婦女子がキセルを吸うとは、感心しないな」


 もう一度同じことを言った。

 これを聞いたアレッタは思わず「ふっ」と噴き出してしまう。

 ティッツは声を荒げる。


「何がおかしい!?」


「あ、いえ、本当に律儀に馬から降りて、言い直してくれるとは思いませんでしたので」


「……!」


 ティッツが赤面する。


「あ、ごめんなさい。でもなぜ、キセルを吸ったらいけないのでしょう?」


「キセルを吸うのは下品とされているし、それに体を悪くするかもしれんし……」


「私が下品に見えて?」


 キセルを吹かすアレッタに、ティッツは「あ、いや」とたじたじになる。


「それに私が吸っているのはルンガの葉、煙は出ますけど健康への悪影響はないと言われております。これはきちんと証明されておりますのよ」


「し、しかし……」


 ティッツの旗色が悪くなる。

 なおも反論しようとするティッツに、アレッタは自分のキセルを差し出す。


「よかったらお吸いになる? 一度体験しておくのも、悪くないと思いますわ」


 アレッタの唇が触れたキセルを吸うという意味、ティッツにもすぐ分かった。


「うっ……からかわないでもらおう! 失敬する!」


 ティッツは慌てた様子で馬にまたがり、そのまま部下の騎士たちと共に去っていった。

 それを見届けた後、リザがアレッタに言う。


「驚いちゃったよ、アレッタちゃん! 天下の騎士団長に、喧嘩売るような真似して!」


「ごめんなさいね。別に喧嘩を売ったわけではないのだけど」


「アレッタちゃんったら……。でも、かっこよかったね、ティッツ様。さすがは騎士って感じ! ドキドキしちゃった!」


「ええ、そうね。私も少しドキドキしたわ」


 アレッタがわずかに笑む。リザは目を丸くする。


「アレッタちゃんも笑うことあるんだ!?」


「そりゃあるわよ。私を何だと思ってるの」


「うーん、初めて見たかも。でも、笑ってるアレッタちゃん、よかったよ!」


「ありがとう」


 そう言うと、アレッタはキセルを吸った。そして、白い煙を吐き出す。

 リザはその風格に「私と同い年とは思えないわね」とつぶやいた。



***



 数日後、銀尖騎士団団長ティッツは、ある事件現場にいた。

 木造の小屋の中で数人の男女が、キセルを吸っている。

 ただし、その煙はアレッタが吸っているルンガの葉や、他の一般的な煙草の葉ではない。

 彼らが吸っているのは幻覚作用のある葉だった。むろん、国としてもこういった植物や薬物は厳しく取り締まっているが、その網をくぐられた格好である。


「あ~……」

「気持ちいい……」

「天国だぁ……」


 中にはあの色男ガモン・リーベもいた。

 上の空な目でキセルを吸い、完全に夢の世界に入っている。

 ティッツは顔をしかめる。

 銀尖騎士団は若手の騎士団ということで、経験を積むために、様々な犯罪に立ち向かうことも任務としている。

 今国内で幻覚作用のある葉を売るビジネスが横行、社会問題になっている。

 国も犯人を追っているが、未だに元締めを特定できてすらいない。


「とうとう貴族の子息まで……このままこの葉が蔓延すれば、本当に国は滅ぶぞ!」


 ティッツは剣の腕にかけては一流だが、闇に潜む悪を探し出す、ということに関してはまだまだ経験不足。

 植物に関する知識もなく、この後どうしていいのか、一歩を踏み出すことさえできない。

 この時、ティッツの脳裏に一人の令嬢の姿が浮かぶ。

 街中で黒いドレスを着て、颯爽とキセルを吸っていたあの令嬢が――

 いや、正確に言うならば、アレッタと出会って以来、ティッツの心には常に彼女がいた。

 もしかすると、“会う理由”を探していたのかもしれない。

 ゆえにティッツの決断は早かった。事件解決のために、という名目でティッツはアレッタに会いに行くことを決めた。



***



 国立のホールで、夜会が催される。

 “華やかな戦場”が展開される中、アレッタは相変わらず壁際でキセルを吸っていた。

 異質な存在感の彼女に、貴族たちは誰も話しかけられずにいたが――

 ホールの扉が開かれ、一人の貴公子が入ってきた。

 黒いスーツ姿のティッツ・ブランジュ。

 騎士としての職務を優先する彼は、こうした社交の場に姿を現すことはめったにない。皆がざわつく。


「ティッツ様!?」

「夜会に来られるなんて……」

「なんて素敵……」


 貴族がひしめく夜会の場を威厳たっぷりに歩くティッツに、男女問わず目を奪われる。

 瞬く間に夜会の主役に躍り出るが、ティッツの目的はそんなことではなかった。

 アレッタの元に一直線に歩いていく。

 アレッタは動じることなく、キセルを吸い続ける。

 やがて、ティッツがアレッタの前に立つ。

 会場中の注目が二人に集まる。

 ティッツはアレッタに言った。


「君の力を借りたい」


 アレッタはキセル片手に答える。


「私でよければ、喜んで」


 余計な挨拶などを一切排除した、実にシンプルなやり取りだった。

 そのまま二人は会場を後にした。

 後に残された貴族たちは「まさかアレッタ嬢を落とすのは、ティッツ様になるなんて」とどよめくしかなかった。



***



 ホールを出た後、ティッツはアレッタを連れ、病院に向かった。

 ベッドには幾人もの“中毒者”が寝かされており、幻覚を見てうめいている。

 ティッツが説明する。


「今、国内でこうした患者が増え始めている。キセルに危険な“葉”を詰めて吸い、幻覚を見て楽しむ……そして、散々楽しんだ後はご覧の有様だ」


 アレッタは顔色を変えずに患者たちを見つめる。


「私は銀尖騎士団の長として、なんとしても彼らに“葉”を売りつけた犯人を捕まえたい。しかし、私にはキセルの知識も、植物の知識もない。だから力を貸してもらいたいんだ」


 アレッタはこれに答えず、患者をじっくりと見る。

 ティッツもそれを邪魔しないようにする。

 やがて、アレッタが診断を下した。


「これは……“ファドム”ですね」


「ファドム?」


「彼らが吸ったと思われる葉っぱの名前です。一度吸って幻を楽しんだが最後、さらにファドムを吸わないと満足できない体になってしまう。吸い続ければ、心も体も侵され、廃人になるのみ……」


 ティッツはアレッタに感心しつつ、怒りをあらわにする。


「そんなものがこの国に蔓延しつつあるなんて……!」


 アレッタはキセルを吸いつつ、向き直る。


「ですが、彼らを助ける方法はあります」


「え?」


「ファドムの症状には、“ハイレン”という葉が特効薬的効力を示します。とはいえ、時間との勝負。治療が遅れれば、それだけ患者を回復させるのが難しくなる。今すぐ、ハイレンをかき集めましょう」


「わ、分かった!」


 アレッタとティッツは病院内に備蓄してあるハイレンの葉や、街の薬草屋などをあたり、ハイレンの葉をかき集めた。

 アレッタはハイレンに、自身の持つ薬草・丸薬と擦り合わせ、さらに水も混ぜ、薬湯を作る。

 これを患者たちに飲ませていく。

 先ほど発見され、入院していたガモンにも飲ませる。

 薬湯を一口飲み、しばらくすると、患者たちの容態に改善が見られた。

 ガモンもまた、正気を取り戻す。

 彼はアレッタにしてやられてからも色男として活動していたが、とある夜、美女に誘われて、言われるがままにキセルを吸ってしまった。これがファドムであり、彼は瞬く間に中毒者になってしまった。伯爵令息である彼は、さぞ上客だったことだろう。

 助けられたガモンはアレッタに問う。


「僕はあの夜会で、君に酷いことをした……なのに、なぜ助けてくれたんだ?」


 アレッタはキセルを吸いながら静かに答える。


「酷いことをされたなんて認識はありませんわ。あなたは私にキスをしようとしたけれど、やっぱりやめた。それだけのことですから」


 ガモンは「やはり君には敵わないな」と笑う。

 ティッツが厳しい顔つきでガモンに近づく。


「回復して何よりだ。しかし、騙されたとはいえ民の模範たる貴族が、無法な植物に手を出してしまうというのは、絶対にあってはならない話だ。二度とこういうことがないようにしてくれ」


「申し訳ありません、ティッツ様……」


 ガモンはうなだれる。

 今後好色ぶりに歯止めがかかるか、それとも懲りずに同じことを繰り返すかは、彼次第だ。

 ティッツはアレッタに向き直る。


「ありがとう。君のおかげで大勢の人を救えた」


「私もティッツ様のお力になれて光栄ですわ」


 ほんのわずかに笑むアレッタを見て、ティッツは顔を赤らめる。


「葉の正体はファドムだと分かった。治療も何とかなりそうだ。あとはこれを売りさばく犯人を見つけ出すだけだが……」


 アレッタが自分の考えを述べる。


「ファドムはデリケートで、栽培が難しい植物です。犯人らには相応の専門知識があることは間違いないでしょう」


「ふむ……ただ金儲けがしたいだけの輩にできることではないということか」


 ファドムを栽培し、売りさばく。そこらの悪人が思い立って始められるような犯罪ではない。


「それと、私にはこういった犯罪の情報に詳しい知り合いがおります。よろしければ、明日にでもその方を訪ねたいのですが」


「ならば是非同行させてもらおう。患者たちの休息の邪魔になるし、詳しい話は場所を変えて……」


 二人が病室を出て行った後、ガモンは独りごちる。


「アレッタ嬢とティッツ様、か。悔しいが、お似合いのお二人さんだ……」



***



 次の日、アレッタとティッツは街の裏通りに来ていた。

 以前アレッタと出会った裏通りのボスに会うために。


「これはこれは姐さん! ……と、そちらは?」


「銀尖騎士団の団長、ティッツ様よ」


「き、騎士団!?」


 ボスの顔が引きつる。

 チンピラの頭である彼にとって、勇猛で正義を愛する騎士団はまさしく天敵である。この場で首を落とされても文句は言えない。

 すかさずティッツが口添えする。


「何もお前たちをどうこうするつもりはない。我々には追っている事件があり、それに関して情報を聞きたいと思っている」


「あ、ああ、そういうことですかい。で、何を聞きたいんで?」


 安堵するボスに、アレッタが話す。


「今幻覚作用のあるファドムの葉が王都を始め、国内に蔓延しつつあるの。どこかに販売している元締めがいるはずなんだけど、何か知ってることはないかしら?」


 ボスは合点がいったような顔をする。


「その件ですかい。それなら、こっちでも調べてますよ。どこかの余所者にんな商売されたら、俺らのようなチンピラのメンツも丸潰れだ」


「で、どうなの?」


「残念ながら尻尾はつかめてません。あちこちに網を張ってるんですが、決定的な場面には出くわせないっつうか……。派手に売りさばくわりに、肝心なとこは用心深い連中でして」


 ティッツは顔をしかめる。


「裏社会の者でも、掴めないほどなのか……」


「あ、だけど、販売元がこの街……つまり、王都だってのは確かなようです。網を張ってれば、それぐらいは分かる」


 これにティッツは反論する。


「バカな……王国としても、王都には網を張っている。なのに未だにそれらしい輩は引っかからない。どういうことなんだ……!?」


 ティッツらの網にも、裏通りを仕切るボスの網にも、犯人は引っかからない。

 アレッタはキセルを吸いつつ、気だるげにつぶやく。


「犯人一味は相当なやり手ということですね」


「その通りだ、アレッタ。しかし、それが分かっても、手掛かりは……」


「手掛かりがないのでしたら、一度犯人になったつもりで考えてみる、というのはいかがでしょう?」


 その発想はなかった、と言うかのようにティッツは目を丸くする。


「ティッツ様、あなたが犯人なら、例えばやましい物をどこに隠します?」


「うーん……」


 ティッツは腕を組んで考える。


「騎士団にはこんな格言があるが……『名馬を隠すなら馬の中』とね」


「なんですかい、それ?」とボス。


「名馬というのは悪党に狙われやすい。移動手段にしてもよし、ペットにしてもよし、解体すれば上質な肉になるだろうからな。だから、名馬を盗まれないようにするなら沢山の馬の中に隠せ、という意味だ」


「なるほどねえ……」


 今のやり取りを聞いて、アレッタの中にひらめきが生じる。


「……ティッツ様」


「なんだ、アレッタ?」


「私、分かったかもしれません。犯人の居場所が」


 ティッツもボスも驚く。

 アレッタはキセルを咥え、彼女にしては珍しく得意げな顔をする。


「ファドムは植物……。植物を隠すなら、やはり植物の中、というわけですわ」



***



 日没近く。王都の大通りにある、一軒の花屋。

 この店は他では見られない珍しい草花を売り、近頃は客足が途絶えることはない。

 が、さすがに閉店間際のこの時間には、客は一人もいなかった。

 ところが、そこに一人の令嬢が立ち寄る。

 スリットの入った黒いドレスを着て、キセルを片手に持った伯爵令嬢アレッタ。

 夕焼けの赤い光が、彼女をあでやかに映し出す。


「いらっしゃいませ」


 エプロンをつけた花屋の主人が応じる。

 柔らかな顔立ちで、口髭を生やした、どこにでもいそうな中年男である。

 そんな主人にアレッタは一言。


「ファドムをくれない?」


 主人の顔がピクリとする。


「ファドム……?」


「そ。ここで栽培して、売ってるんでしょう?」


「ハハ、おかしなことを言うお嬢さんだ……」


 アレッタはキセルを吸い、ふうっと煙を吐き出す。


「考えたものね。この国でファドム密売をやるなら、やはり多くの客を見込める王都が望ましい。けれど、大っぴらに売れば国の兵士や騎士団に見つかってアウト。コソコソとやれば、それはそれで元々この街にいるチンピラたちとかち合うことになってしまう。そこで、あなたが考えたのは、堂々と花屋を開業すること」


 主人の顔がみるみる険しくなる。


「ファドムはデリケートな植物、土にも肥料にも凝らなきゃならない。だけど花屋ならそんな環境を堂々と用意できるし、まさか大繁盛してる花屋がファドム密売の元締めなんて誰も思わない……。あなたは表では花屋をやり、そして裏ではファドムを密売していたのよ」


 アレッタが挑発的な笑みを浮かべる。


「どう? 私の推理、当たらずとも遠からずってところじゃないかしら?」


 主人が手を挙げると、店内から“店員”が何人も出てきた。

 ただし、全員武器を持っている。刃物に棍棒に斧、明らかに“物騒なこと”に慣れている。


「お嬢さん、あんたが何者か知らねえが、あんたは知りすぎた。悪いが、ここで死んでもらう」


 アレッタには微塵の動揺も見られない。いつものようにキセルを吸う。


「残念ね。あなたたちじゃ、私の一服を乱すことすらできないわ」


 店員たちが一斉に襲いかかる。

 アレッタをすぐさま拉致、殺害し、証拠隠滅まで図ろうという魂胆だろう。

 その時、横薙ぎの一閃が彼女を守った。


「ぐあっ!」

「ぐええっ……!」

「が、は……!」


 近くの物陰に潜んでいたティッツがアレッタの盾となり、剣によるたった一撃で数人を倒した。

 銀尖騎士団団長にして公爵令息ティッツ・ブランジュ。剣においては、この国で彼の右に出る者はいない。古強者揃いの『金豪騎士団』にさえ。

 ティッツはアレッタに振り返る。


「私が守るとはいえ、危険な役目を引き受けたものだ。堂々と密売人の前に姿を現し、犯行を暴き、相手から攻撃させるなんて……」


 アレッタはキセルを吸う。


「一度こういうことをやってみたかったんです。それにティッツ様を信じておりましたから」


「ありがとう」


 ほのかに紅潮する二人に対し、花屋の主人の顔が青ざめる。


「ティッツだとぉ!? なんで騎士団長がここに……! おいみんな、裏口から――」


 だが、店の奥にいた部下たちから報告が入る。


「ダメです! 裏口も騎士団に固められて……!」


 進退窮まった主人はナイフを構えてティッツに突撃するが、こんな悪あがきが通用するはずもなかった。

 右肩を剣で突き刺され、悲鳴を上げながら崩れ落ちる。

 栽培専門の人間やガモンを嵌めた色仕掛け役を含め、一味はまとめて捕縛される。王国におけるファドム密売の根はここに絶たれた。

 ティッツは剣を納め、アレッタを見つめる。

 アレッタもキセルを口から離し、ティッツを見つめる。

 二人はにっこりと笑い合った。



***



 ファドム密売事件を解決してから数日後、アレッタとティッツは改めて二人きりで会っていた。

 場所は芝生の広がる王都内の公園。空は雲一つない青空で、爽やかな風が吹いている。

 白シャツに紺のスラックスという出で立ちのティッツが、アレッタに話しかける。


「あのままファドムが国に蔓延していたら、国ごと終わる可能性もあり得た。本当にありがとう」


 アレッタはいつものように黒ドレスを纏う。手にはもちろんキセルを持っている。


「どういたしまして」


 ティッツがそんな彼女に問う。


「君はなぜいつもキセルを吸ってるんだ?」


 アレッタは答える。


「口が寂しいから……でしょうか」


 ティッツはこの答えに黙り込むが、しばらく考えてから、姿勢を正す。


「アレッタ……」


「はい?」


 ティッツは緊張の面持ちをしている。

 そして、おもむろに告げる。


「ならば私が……君の口を寂しくないようにする、というのはどうだろうか……?」


 勇気を振り絞ったような言葉だった。

 ティッツの顔は花屋で戦った時にも見せなかったほどに険しくなっている。

 これを聞いたアレッタは――


「うふふっ……アハハッ……」


 笑った。

 それもこれまでに見せたような微笑みや作り笑いではなく、心の底から、楽しそうに笑っている。

 ティッツは困惑する。


「アレッタ……。私は何かおかしいこと、言ったかな……?」


「だって、今のあなたの言葉、あのガモン様が言ったこととほとんど同じなんですもの」


「え……!?」


 ガモンの無差別的な好色ぶりはティッツも耳にしている。

 自分があの男と同レベルなことに、少なからずショックを受けてしまう。


「でも、同じような言葉でも、発する人が違うとこんなにも印象が変わるんですね」


 アレッタの顔は嬉しそうに上気している。

 まるでティッツからのアプローチを待っていたかのように。

 アレッタからティッツに距離を詰める。


「あなたにならこの唇、差し出しても惜しくはありません。どうか寂しくないようにして下さいませ」


 ティッツはアレッタの小さな肩を抱き寄せ、彼女の薄い桃色の唇に、自らの唇を重ね合わせた。

 そのまま二人は抱きしめ合う。

 アレッタはキセルでは決して感じることのなかった幸福感を、体全体で味わった。



***



 その後程なくして二人は婚約、結婚する。

 社交界ではあのキセル令嬢アレッタを射止めたのは、騎士団長ティッツだったと大いに話題となった。

 アレッタの父も、自分の娘が国家を揺るがす犯罪を食い止め、しかも公爵家の令息と結ばれたことにはさすがに驚いた。


「やはりアレッタは私ではなく、父上に似たようだ」


 呆れつつ、こう語った彼はどこか嬉しそうだった。


 ブランジュ家に嫁いだアレッタは以前のようなアンニュイさは影を潜め、ドレスも明るい色のものを着用し、キセルも吸わなくなった。

 ティッツはその変化について妻に尋ねたことがある。


「別に私はキセルを禁じたわけじゃない。体には悪くないとのことだし、吸ってもいいんだよ?」


「ありがとう、あなた。でも、今の私はもう寂しくないから」


「そうか……」


 穏やかな微笑みを浮かべるアレッタに対し、ティッツも柔らかな笑みを返す。


「あ、そうだ。今度祖父のお墓参りに行きたいの。一緒にどう?」


 ティッツはうなずく。


「喜んで行かせてもらうよ」



***



 三日後、アレッタとティッツは、アレッタの祖父カブノスが眠る墓石の前にいた。

 亡き祖父を弔うため、アレッタは祈りを捧げる。

 ティッツも夫として祈りを捧げる。

 アレッタは花を手向けると、墓の中で眠る祖父にこう告げる。


「おじいちゃん。私、おじいちゃんから貰ったキセルを吸わなくなってしまったわ」


 物静かな声で続ける。


「今はキセルを吸うより、ティッツ様やみんなと話してる方が楽しいから……でも、おじいちゃんのキセルは一生の宝物よ」


 アレッタがにこやかに笑う。


「だから私たちのこと天国で見守っててね、おじいちゃん」


 アレッタとティッツが空を見上げる。

 すると、ちょうど祖父カブノスの紫煙を思わせる雲が、穏やかに流れていた。

 まるで、「幸せになれよ、アレッタ」と言っているかのように。


「じゃ、行こうか、アレッタ」


「ええ」


 祖父の懐かしさと温かみを感じつつ、アレッタはティッツと手を取り合って、墓地を後にした。






おわり

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― 新着の感想 ―
[一言] 登場人物が皆カッコいいなあ! 一つ一つのシーンも洋画のワンシーンのようで素敵でした。
[良い点] キセル吸うキャラはかっこいいと相場が決まってるんじゃー! それが妖艶な令嬢なら尚更かっこいいに決まっとるんじゃー! つまりアレッタは最高なんじゃー!!!
[良い点] うおお、カッコいい! 気品と妖艶さを兼ね備えたクールな主人公自身が魅力的なのはもちろんですが、熱く真っ直ぐな騎士とのバディ的なやり取りを始め、祖父や父、主人公に魅せられた面々との関わりな…
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