わたしの、能力
耳に、しっかりと残っている、空気が鳴ったかのような、美しい歌
昨日、ラーゼさんにより鑑定された時に聞こえたやつだ。
これが『運命歌』というものらしい
聞こえた言葉は、このようなものであったはずだ
♪ 言葉 龍 花と草 音楽 龍 龍 光 癒す 光 歌 ♪
何度も繰り返す、 “龍” という言葉が印象的だった。
繰り返される旋律は複雑で、声も鮮明じゃなかったはずなのに、しっかり理解できた
あれが、これが、わたしの能力を、示す、歌?
真似して口ずさんでみる。
すごく、安心するような、げんきになるような 不思議なメロディー
「そう、その歌だ。しっかり、刻まれただろう?」
「刻まれた?」
「そう、もう忘れられないように、お前の中に刻まれた歌だ」
確かに、普通の記憶よりもかなりはっきりと、鮮明に残っているような気がする。
みえたひとつひとつのものが、明確に思い出せるのだ。
「こちらの国では、15歳の時に鑑定を受け、その歌を授かることになっている」
「一回だけなの?」
「そうだ。早くしてしまうと、まだ発現していないものがあるかもしれないからな」
「発現していないって、現れてこないっていうこと?」
「そうだ。そこにも、説明しなければならない点がある」
自分の国とは全く違くてびっくりする。
小さい時から何度か鑑定を受けるわけでもなく、あんなに不思議な “運命歌” というものがある
全然違う考え方で生きてる人たちが、こんなに近くに住んでたのか。
ラーぜさんは静かに続けた
「歌言葉は、どのようなものだったか言えるか?」
「歌で言っていた言葉なら、“言葉 龍 花と草 音楽 龍 龍 光 癒す 光 歌” だったと思う」
「それが、お前の持っている、能力を示すものだ」
能力。
あれだけわたしが欲しくて、えられなくて、散々な目にあったもの。
「まず、『言葉』そして、『龍』があるな。と、いうことはおそらくお前は、龍と会話ができる」
ぱか、っと、口が空いてしまい、そのまま固まってしまった。
龍と会話?
それって、王族にだけしか現れない神聖な能力とかじゃなかったっけ?
ん?あれ?
「え、わたしアルディと普通に会話が成り立っていた気がしますけど」
「あいつは、人間語が喋れるからな」
「あ、そうですか」
人間語が喋れる龍がいるなら全然役立たない能力なんじゃないか? だから判明していなかったんだろうか
「そして、花と草。音楽、たび重なる『龍』に光と『癒す』に『歌』だ。ここから考えるに、
お前は確かに、アルディの探し人に他ならない。龍を癒す能力のある、“龍医” の素質がある」
「龍医」
なんじゃそりゃ。
竜の医者?
聞いたこともないけど?
「人の言葉が話せる龍は多いんじゃないの?」
「多くはないですね。口の構造や大きさなどが違って、うまく会話できるほど喋れない者が多いです」
お、ならわたしにもできることがありそう!!
「え、でも、アルディみたいな子が通訳すればいいんじゃないの?」
「人語を喋れる龍は、大抵こんな感じなので、できない場合も多々あります」
「あぁ……」
納得しかなかった。
「『龍医』って何するんですか?」
「その名の通り、龍を治す医者だ。今、非常に枯渇している。龍族が、必死になって探しているのだ」
「それにゃーーーーーーーー!」
キンキン声の絶叫が響いた。
あーぁ、起きちゃった。
ラーゼさんとわたしのため息がハモった。
「おれが!俺たちが探していたのは、きみだああああああああ!」
吊るされたまま、決めポーズのようなことをしている。
きみ、ほんとに自己主張激しいね。
「龍族が探している……」
「そうだ。いま、太古の龍が病のとこに臥せっているのだ。そのため、全世界で捜索が行われている」
「わたしを?」
「龍医を、だな。そして、その素質が君にはある」
全世界で求められている能力を、わたしが持っている??
「……でも、わたし、無能力って」
「それを、説明しなくてはなりませんね」
「無能力なんかじゃねーぜお前はすげーんだぜ早く古龍様のとこぐげえええええ」
ラーゼ様に腹パンされて、アルディは黙った。




