ハズレジョブから始まる異世界転生
新作、はじめました。
こちらもよろしくお願いします(*^^*)
その日、私の人生はふたつの出来事により一変した。
ひとつめは、前世の記憶が戻ったこと。
前世の私は日本人で、手芸や編み物が好きな普通のOLだった。
両親と弟がふたりがいて、それなりに仲の良い平凡な一般家庭に生まれ、社会人になってからは一人暮らしをしていた。
…そこまでは覚えているんだけど、どうして死んだのかは覚えてない。
覚えているのは三十歳くらいまでで、結婚しただとか、老後の記憶はないから、きっと早くに亡くなってしまったのだろう。
親不孝だったなあと思えば、少しだけ目頭が熱くなった。
そして、恐らく記憶が戻った原因が、ふたつめの出来事にある。
それは、神様に職業を与えられる儀式。
そしてその結果を告げた神殿の神官の言葉は、記憶が戻ったばかりの私の感傷すらも消し去ってしまうくらいに、衝撃的なものだった。
「神がこの娘に与えられたジョブは、“鍛冶師”です。神の意志を戴き、この先の人生を懸命に生きなさい」
「かじ、し……?」
セレスティア=エーレンシュタイン
エーレンシュタイン侯爵家長女
ジョブ:鍛冶師
これが、今まで何不自由なく暮らしてきて前世を思い出したばかりだった私の、貴族としての不遇人生の始まりだった。