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作戦のデメリット


「それじゃあ二人とも付いてきて!」

「は、はい……!」


 作戦実行。レーナを先頭にして、三人は墓場から外に駆け出した。

 アンデッドはその背中を見て何も考えず本能的に追いかけてくる。

 門をくぐり、茂みの中へ。葉っぱが多くて走りにくい。


 確か地図によるとこの辺りが崖だったはず。

 レーナは細心の注意を払いながら、鮮明になった景色を見て急ブレーキを踏んだ。


「二人ともストップ! アンデッドはどこまで来てる?」

「すぐそこまで来てます、レーナさん!」

「よし、チャンスは一回だよ!」


 重たい鎧を着ていながらも、ドシドシと足音を立てて追いかけてくるアンデッド。

 ライトはアイラを抱えていつでも動ける体勢に入る。

 レーナは崖を背にしてアンデッドに剣を向けた。


「――来るぞっ!?」

「任せて!」


 アンデッドはイノシシのように全速力で突進する。

 狙われたのはレーナだ。

 こんな状況でもレーナは、背後が崖だというのに少しも恐れることなくジャンプした。

 ギリギリアンデッドの大剣のリーチから外れた高さ。


 レーナの瞬発力をもってすれば、こんな突進当たる方が難しい。

 小回りが利かないアンデッドは、ここでようやく自分が崖の前にいることに気付いた。

 慌てて大剣を地面に突き刺して止まろうとするが……


「落ちろ!」


 ライトがアンデッドの背中を蹴り飛ばして突進を加速させる。

 想像以上にこの崖は高い。

 ライトもアンデッドの行方を追おうとして覗き込んだが、高すぎてクラクラしたためすぐ引っ込んだ。


 ちょっとこれはアンデッドに悪いことをしてしまったかもしれないと反省してしまうほど。

 特別な魔物じゃない限りこれは即死だ。


「ナイスだよ、ライト!」

「レーナもな。流石だ」

「お二人とも凄いです!」


 三人は一息つくようにその場にペタンと座り込む。

 難易度に見合わない戦闘をさせられてしまった。

 確かに敵は一匹で、別にアンデッド自体の戦闘力はそこまで高くなかったが……これは詐欺に値するのではないだろうか。


 誰かが作った鎧一つのせいで難易度が爆上がり、迷惑な話である。

 あの鎧がなければ、もっと簡単にこの依頼も終わったのに。

 三人は不運として仕方ないかと受け止める。


「あ! 鎧ごと落としちゃった!?」

「……あ、そういえば」


 今さらになってこの作戦のデメリットに気付く二人。

 あの鎧を戦利品として持って帰ることで、難易度詐欺と帳消しと考えていたが、その最後の望みさえ失ってしまった。


 今頃崖の下でバラバラになってるかも。いや、そもそも高すぎて取りに行けない。

 残されたのは地面に突き刺さったままの大剣だ。


「うーん……大剣は残ってるが、これって売れるのか?」

「ちょっと古くなってるから売れないかな」


「あ、この大剣、名前が彫ってます。ロード・ハウツブルヌ? でしょうか」

「ロードっていう人の持ち物なんだ。そういえば、お墓にも同じような名前があったような気がするかも」


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