表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

79/99

協力者 ※ご報告あり

ご報告があります~


「……少しばかり時間を潰すことになりましたね。犯人がこの国から出ていなければいいのですが」


 マリアは自分の足に目を向けて呟く。

 想像以上に治療で時間を費やしてしまった。

 犯人が自分の存在に気付いていれば、もうこの国から離れていてもおかしくない。

 

 まだ自分の存在を悟らせるようなへまはしていないはずだが――とにかく今は祈るだけだ。


「とにかく探してみなければ。凶悪な女冒険者なら目立つし問題も起こしてるはず」


 ここで初めて、マリアはギルドに足を踏み入れる。

 冒険者を探すならやはりここが一番手っ取り早い。

 人が多いため手荒なことができないのは面倒くさいが、時間をかければ問題なく進むことだ。


 まずは適当に目に付いた冒険者に声をかけた。


「少しお聞きしたいことがあるのですが、よろしいでしょうか」

「ん? アンタだれ?」


 マリアは暇そうにしている女冒険者の隣に座る。

 ボサボサの髪、手入れが行き届いていない肌。

 依頼から戻ってきたばかりであろうか。

 疲れているような様子がひしひしと伝わってくる。


「アタシ、別に暇じゃないんだけど」

「すみません。人探しをしていまして、この国に来たばかりの女冒険者を知りませんか?」


「知らないっつーの」


 と、言い残して女冒険者はその場から機嫌悪く立ち去る。

 やはり冒険者というだけあって話が通じない人間が多い。


 このやり取りで分かったのは、少なくともあの女が犯人ということはないということだけ。

 永遠にこれを繰り返すこともできないため、やはりやり方を考えないといけない。


「あのー、どうなされましたか?」


 そんなマリアに声をかけてきたのは、綺麗な制服を着たギルドの職員。

 さっきの女冒険者とは違って、しっかりと身だしなみに気を遣っている。


 どうやら依頼を受けようとしないマリアが気になったようだ。

 ギルドで職員の方から声をかけてくるのは珍しい。

 この女は新人で張り切っているだけなのだろうか。


 どちらにせよ、マリアにとっては好都合だ。


「人探しをしているんです。この国に来たばかりの女冒険者なのですが」

「この国に来たばかりの女冒険者……ですか?」

「はい。とても大事な人なんです。死にそうな私を助けてくれた、命の恩人です」

「そ、それは! もしかしたら力になれるかもしれません!」


 と、職員の女は大きなリアクションを見せる。


「実は最近、とても強い冒険者さんがこの国で初めて依頼を受けられたのです。女性ですし、もしかしたら……」

「なるほど。その人かもしれません」

「そ、それなら今度その人がいらっしゃった時に連絡いたしますね!」


 思わぬ幸運。

 まだ確定したわけではないが、初めて期待できる情報を手に入れることができた。

 自分の母を殺せる冒険者であれば、それなりの強さを持っているはずだ。

 かなり可能性は高い。


「……あ、このことはあまり他の人に言わないでくださいね」

「どうしたのですか?」

「えっと、職員が冒険者さんの情報を他人に教えるのは禁じられていまして……」

「え。それならどうして私にだけ――」


「だって、命の恩人なら見つけるのに協力したいですから」


 ニコリと笑って職員の女は言う。


 マリアが適当に言ったことを、そのまま鵜呑みにしたらしい。

 しかも、それが理由で協力するとのこと。

 典型的な騙される側の人間である。


(……まあ、馬鹿は扱いやすいからいいです)


「そ、それじゃあ頑張ってくださいね……!」


 そんなことを知らない職員の女は。

 命の恩人のために努力しているであろうマリアの手を握って、精一杯のエールを送るのであった。



ここまでお読みいただきありがとうございます。

はにゅうです。


この度、木の実マスターの書籍化とコミカライズが決定いたしました!

これも応援してくださった読者様のおかげです。

本当にありがとうございます!

ぜひぜひ書籍版もお楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] マリアはレーナ達の時は良い人、お人好しなど好意的な感情を持ったのに、親切な受付嬢にはバカは扱い安くていいって、人格変わってるのか?
[気になる点] 収納使い? [一言] レーナさんじゃねーか。。。外れだな使えねー女。  って思った時には『すみません、外見は悪人っぽいけど本当はいい人なんです。ちょっとレーナさんとは方向性が。。。』…
[一言] 馬鹿は騙される側の人間じゃなくてマリアの方だろ…… 『母親を殺した罪人』を探してるのに 「死にそうな私を助けてくれた、命の恩人です」なんて言ったら 『人助けをしそうもない犯罪者』ははなっか…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ