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疑惑


「マリアさん。大丈夫ですか……?」

「はい。アイラさんのおかげで痛みは収まりました」

「そ、そうですか! 良かった……」


 アイラとマリアは、少しずつ打ち解けながら帰りを待つ。

 ライトとレーナに限って負けることはないと分かっているが、どれほど時間がかかるのかは分からない。

 戦いが長引けば、今日中に帰ってこれない可能性だってあった。


 自分の応急処置でいつまで耐えられるか。

 それも問題になってくる。


「えっと……マリアさんは、この国に詳しいんですか?」

「いいえ。来たばかりですので、そこまで詳しくはないと思います」

「そ、そうなんですか。実は私たちも分からないことだらけで」

「――っ」


 人見知りなアイラが、気まずい空気を作らないように頑張って話しかける。

 何度も話を振っては撃沈してきたが、この話題にはマリアも多少の反応を見せた。

 やはり見知らぬ土地で一人ぼっちは寂しいのか。

 アイラもその気持ちは十分すぎるほどに理解できる。


(アイラさんたちもこの国に来たばかり……いや、考えすぎですね)


 頭の中に浮かんだものを、マリアはすぐに自分の中で否定する。

 きっとたまたま時期が被っただけであろう。

 これほど優しい三人が、自分の母を殺した犯人であるはずがない。


 犯人はもっと凶悪な女冒険者。

 そもそもソイツは一人で行動しているはずだ。

 馬鹿馬鹿しい――と、一つため息をこぼす。


「マリアさん……?」

「……あ、すみません。奇遇ですね。お互いに頑張りましょう」

「は、はい!」


 アイラは目を輝かせてマリアの手を握る。

 新天地の不安を共有できる人間ができて嬉しいらしい。

 これは仲良くなっているということでいいのだろうか。

 あまりこういった経験のないマリアは、戸惑いにも似た反応を見せた。


「お互いに助け合える関係って、凄く素敵だと思います……!」

「そうですね。今度は私が助ける番ですから、力になれそうなことがあったらすぐに言ってくださいね」

「む、無理に気を遣わなくても大丈夫ですからね。でも、マリアさんのスキルならいっぱい助けられそうです」


「え? どうしてスキルのこと――」


 マリアが疑問を口にしたところで。

 バタンと扉が開けられる音が聞こえてくる。

 そして。


「お待たせー!」

「レーナさん!」


 アイラはレーナの声に反応して、トテトテと部屋を出てしまったのだった。



応援、本当にありがとうございます!


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