表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

7/99

揉め事


「ライトさん、どうでしたか?」

「依頼は簡単に受けれたよ。剣も貸してもらったし――アイラも借りるか?」

「いえ、私は遠慮しておきます……」


 無事に依頼を受けたライトは、少し離れたところで見守っていたアイラの元へ戻る。

 農民ゆえに受注を拒否される可能性もあったが、どうやら杞憂に終わったらしい。


 念には念を入れて、数ある依頼の中でも最低レベルの依頼を受注したため、アイラが大怪我をすることはないだろう。

 決して満足とは言えない装備であるが、無料と考えると目をつぶれる程度だった。


「それじゃあ行ってみるか」

「はい、ライトさん」


 そういって一歩踏み出そうとしたところで。

 ライトの肩に小さな衝撃が走る。

 別の冒険者とたまたま接触したようだ。


 今日はかなり混み合っているため仕方がない。

 振り返ったライト目線の先には、いかにも新人そうな装備をした冒険者がいた。


「――いってぇ。どこに目をつけてんだ」

「当たってきたのはお前の方だろ」

「はぁ? 冒険者ならそれくらい避けろ――って、冒険者じゃねえな? なんだその装備」


 新人の冒険者は、ライトの全身を見てもう一度頷く。

 流石に新人といえど、ライトが冒険者ではないことを見抜いたらしい。


 まともな防具もなく、なまくらの剣を持っていれば、かなりこのギルドでは浮いた存在だ。

 その時点でライトが格下であると判断し、ニヤニヤとふざけた表情に変化していった。


「おい、ここは冒険者でもないやつが来るとこじゃねえぞ。その妹連れてさっさと帰れよ」

「ジーン、こんなところで変なやつに絡むな。時間がないって言ったのはお前だろうが」

「ったく。あーあ、テンション下がった」


 ジーンと呼ばれた新人の冒険者は、仲間と思われる存在に手を引っ張られながら遠ざかっていく。

 その声が聞こえなくなる瞬間まで、ライトたちの悪態をつく言葉は続いていた。


 揉めなかっただけマシなのか。

 全員が全員あのような者ではないだろうが、かなりモヤモヤとした気持ちが残ってしまう。


「ライトさん……大丈夫でしたか?」

「ああ。まさかあんなやつに絡まれるとは思ってなかったけど」

「あの人のスキル……筋力が少し増加するかわりに、命中率が著しく下がるみたいなんですけど、教えてあげた方が良かったのでしょうか」

「それは……まだ知らないみたいだし、教えない方が本人のためかも」


 その情報を、二人はそっと心の中に留めておく。

 あの様子だと、ジーンと呼ばれていた冒険者は今回が初めての仕事なのであろう。


 お前のスキルは外れだとわざわざ伝えに行くほど、ライトの性格はひねくれていない。


「……さて、出鼻はくじかれたけど出発するか。アイラはあまり敵の前に出ないようにな」

「は、はい!」


 先が思いやられる出発であったが、何とかライトは気を取り直して一歩踏み出す。

 試し斬りと生活費を稼ぐことができるまたとないチャンスだ。


 隣で同じように緊張しているアイラを連れながら、ライトは平原に向かうことになった。



ハイファンタジー14位ありがとうございます!


『面白そう』『次も読みたい』


と少しでも思って頂けたら励みとなりますのでブックマーク登録や評価、感想をいただけると嬉しいです。


特に下側の「☆☆☆☆☆」を「★★★★★」にして頂けるとモチベが上がりますので宜しくお願いします!



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 「はぁ? 冒険者ならそれくらい避けろ――って、冒険者じゃねえな? なんだその装備」 文句つけて来た本人、冒険者のくせして、どうして避けないのでしょうね。
[気になる点] もう少しバカにされた方が後でスカッとしそうな感じかな。
[良い点] サクサク進んでいい感じ。 [一言] 続き楽しみに待ってます
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ