初依頼
「良かった、混んでないみたいだね」
「そうだな」
依頼を受けるためにギルドへやってきたライトとレーナ。
運がいいことに、冒険者が少ない時間帯に訪れることができたようだ。
この前揉めそうになった男の姿も見られない。
まるでギルドが二人の背中を押しているようである。
「どうする? その依頼にする?」
「アイラがいないから、少し危険な依頼を受けてもいいんじゃないか? 邪龍レベルは嫌だけど」
「アハハ、あんなレベルの依頼があるわけないよー」
貼り付けられている依頼を見ながら、二人は慣れたように意見を交わす。
新しい国と言えど、依頼の難易度に大きな違いはない。
邪龍を倒したことがある経験からか、新人であるはずの二人にも心の余裕が生まれていた。
恐らくここにある依頼であれば、大抵のものはクリアすることができるだろう。
それならば――と、二人は一番報酬金が多いものを探していく。
「アンデッド、ヴァンパイア……いっぱいあるね!」
「やっぱり国が違うからかな。嬉しいか?」
「うん、一応冒険者だしね。ライトは?」
「まあ……嬉しくないわけじゃないな。ヴァンパイアとか気になるし」
ライトが目を向けたのは、ヴァンパイアの依頼が書かれている紙。
噂でしか聞いたことのない種族だが、今なら挑戦することができる。
「ヴァンパイアねー。あ! 報酬金かなりいい!」
レーナが見せたのは良さげな反応。
ライトが何を言うまでもなく、勝手に気に入ってくれたらしい。
難易度はまだ正確には分からないが、報酬金だけ見れば十分すぎるほどの依頼である。
「じゃあ、これにしよっか」
「え? そんな簡単に決めていいのか……?」
「だって、早く決めないと他の冒険者に取られちゃうよ?」
「う……まあそうだな」
レーナはペラリと貼り付けられてある依頼を剥がして、受付嬢の元へと持っていく。
まさかこれほど早く決まることになるとは。
やはり真似できないほどの決断力をレーナは持っていた。
曲がりなりにも自分が選ぶきっかけになった依頼であるため。少しだけプレッシャーがのしかかる。
「依頼受けてきたよー」
「――早いな!?」
「Sランク冒険者のバッジを見せたら、すぐに受けることができたんだー」
「凄いな……って、それもそうか」
レーナはライトの手を取って出発する門へと導く。
この国で受ける初めての依頼とは思えないほどの手際の良さだ。
いつの間に確認していたのだろうか。
そんなことを考える暇さえ与えてもらえない。
「あ、十字架とか買っといた方がいいかな?」
「……多分いらないと思う」
「アハハ、そうだよね。一応聞いておくけど、ライトは本当にヴァンパイアで良かった?」
レーナの遅すぎる質問に。
「ああ。試してみたいスキルもあるしな」
――と、ライトは答えたのだった。
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