信頼関係
「ごめん、遅くなっちゃった」
「大丈夫だよ、レーナ」
「うん――あ、起きてる! 良かったー」
外から戻ってきたレーナは、目を覚ましているマリアを見て安堵の表情を見せる。
レーナもまた、ライトたちと同じような反応だ。
純粋にマリアが目覚めたことを喜んでいた。
「アナタがレーナさん、ですか?」
「え? そうだけど、何で私の名前を知ってるの?」
「ライトさんとアイラさんに聞きました。助けてくれてありがとうございます」
「いやいや、当たり前のことをしただけだよー」
レーナは少々驚きながらも、感謝の言葉をしっかりと受け入れる。
今までに関わってきた人間がロクでもなかったのか、礼儀正しいマリアに好感を持っているらしい。
このやり取りだけでも、レーナの性格が伝わってきた。
「じゃあ、自己紹介する必要もなくなっちゃったね。アナタの名前は?」
「私はマリアと言います」
「マリアね。よろしく」
レーナは手を差し出し、マリアはそれを拒むことなく受け入れる。
信頼関係の証。
レーナは優しく、マリアは強くお互いの手を握った。
「それで、レーナ。薬は?」
「もちろん買ってきたよ。ただ、あんまり知識がないから正解か分からないけど」
「あー……実は犬に噛まれたみたいで、もっと別の薬が必要かもしれないんだ」
「え!? もうお金ほとんど残ってないよ!」
レーナは慌てて財布の中を見せる。
そこには、三人が生活できる範囲のお金しか残されていない。
簡単に言えば金欠。
このままだと、マリアを抜きにしてもお金に苦しむことになるだろう。
「あの……私のためにそこまでする必要は」
「でも、あんな所で倒れてたってことは、マリアもお金持ってないんだよね?」
「それは否定できませんが……」
「ならマリアは気にしないで大丈夫だよ。もう友達でしょ?」
友達――と、レーナは確かにそう言った。
それは、マリアにはずっと縁のなかった単語である。
初めて言われる言葉に、どう返事していいのか分からない。
そうしてもごもごしているうちに、話はどんどん進んでいく。
気が付くと、ライトとアイラを含めて話は最終段階まで到達していた。
「それじゃあ早めに依頼を受けるしかないな」
「うん。どっちにしろお金は必要だしね」
「えっと……私はマリアさんの看護をしていた方がいいでしょうか」
「一人で残すのは心配だしな……ごめん、アイラ」
「だ、大丈夫です……! ライトさんは気にせず頑張ってください」
遂にマリアが会話に参加することなく。
三人の間だけでこれからの行動が決定されてしまった。
マリアの頭で理解した内容は、レーナとライトが仕事に行き、アイラが自分の看病をするということ。
会ったばかりの人間にここまでできるものなのか。
冷たい人間に囲まれて生きてきたマリアからしたら、逆に警戒してしまうほどの待遇である。
「マリア。辛いと思うけど、治るまでもうちょっと我慢してね」
「は、はい……」
しかし。
そんな警戒もスッと消え去るような――不思議な力をレーナは持っていたのだった。
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