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新ギルド


「やっぱりどこの国でも冒険者は多いんだな。まあ儲かるだろうし当然か」

「そうみたいですね。ギルドが活発なのはいい傾向だと思います」

「私たちにしてみればありがたい話だよ。仕事もいっぱいありそう」


 ミルド国のギルドは、自国とも引けを取らないほどに賑やかだった。

 冒険者の数も多く、貼り付けられている依頼の数も十分にある。

 詳しく確認する前にこの国を選んでしまったが、これからの生活に心配はなさそうだ。


 とりあえず今日は報酬金などを確認しなければならない。

 依頼を受けるのはまた今度である。


「――おい、アイツら見ない顔だな」

「新人か? それにしちゃあご立派な武器を持ってるが」

「ちょうどいい。お前の武器よりも高そうだ。貸してもらえよ」


 しかし。

 どこのギルドでも、新入りに対する扱いは同じらしい。

 ライトたちを観察する男たちの声は、しっかりと三人の耳に届いていた。


 レーナとライトはこのような視線には慣れっこだが、アイラにはまだまだ早すぎる。

 どうしても男たちの会話が気になるようで、声が聞こえてくる度にビクリと体が反応している。


「アイラちゃん、こういうのは無視すればいいんだよ」

「は、はい……」

「大丈夫。私がいれば襲われたりなんてしないから――」


「――そこのお嬢ちゃん。ここはデートスポットじゃないぞ」


 アイラが警戒していた男とはまた別の男が。

 三人の前に足を伸ばして声をかける。


 大丈夫だとアイラには説明したが、もう訂正しなくてはならなくなった。


「……喧嘩を売られるの久しぶりかも」

「レーナ、ここはミルド国だぞ」

「あ、そっか。そうだったね」


 どうやら、ミルド国にまではレーナの名前が届いていないようだ。

 自国であれば、わざわざSランク冒険者に喧嘩を売る愚か者はいない。


 しかし初見であれば、レーナたちはただの若者にしか見えないだろう。

 そんな若者たちが、高価な剣を持ち、ギルドに足を踏み入れたのであれば、喧嘩を売られない方が不思議なくらいである。


「おいおい、グリーズ。若手潰しはほどほどにな」

「分かってるよ。剣を一年ほど貸してもらうだけさ」


「痛い目見ますよ」

「なんだと――」


 レーナの言葉に反応し、グリーズは反射的に胸ぐらを掴む。


 その瞬間に、グリーズの意識はプッツリと途切れた。


「……あれ? ライト、もしかして」

「眠ってもらっただけだよ。いきなり問題起こして出禁になるわけにはいかないし」

「そっか……ごめ――」


「うおおおおぉぉぉぉ!?」

「グリーズを一発でのしちまった!?」

「あいつらやべえぞ! ハハハ!」


 一瞬の沈黙のあと。

 状況を理解した周りの冒険者たちは、耳が痛くなるほどの歓声を上げる。

 個人の揉め事にしてはあまりにも不自然な盛り上がりだ。


 ギルドから闘技場に変わったのかと勘違いしてしまうほど。

 三人は辺りをキョロキョロと見回す。


「ライトさん……もしかしてグリーズって人、有名な人だったのかもしれません」

「え? この男が?」

「とにかく今日は帰った方が良さそうかも……ここに居続けたらまずそうだよ」


 レーナの提案に、ライトとアイラはうんと頷く。

 どちらも全く同じ考えだ。

 ここにいては、何に巻き込まれるか分かったものじゃない。


 報酬金の確認など、やり残したことはいくつかあったが、それはまた今度になりそうだ。

 大きすぎる歓声を背中に、三人はそそくさとギルドから出ていくことになる。



応援、本当にありがとうございます!


『面白そう』『次も読みたい』


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― 新着の感想 ―
テンプレ・・・いるか?笑
[良い点] 今は面白い。短いけど [気になる点] 個人的にマリアが仲間になるはありえない展開。
[一言] グリース(噛ませ犬) テンプレやられ役ってところですね 3人の耳に届くほどの声でなおかつ1コマ落ちするタイプの噛ませ やっぱこう言ったイベントがないとですね
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