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依頼


「うわー……やっぱりギルドは人が多いな」

「こんなに人が多いところ初めてです……」


 冒険者ギルドへ辿り着いたライトとアイラは、その飲み込まれてしまいそうな人混みの中で動けずにいた。

 ライト自身は冒険者を目指していた過去があるものの、ギルドに足を踏み入れたのは初めてである。


 ずっと田舎でレーナと暮らしていたため、人混みというものに慣れていない。

 隣にいるアイラの様子を見ていると、どうやら感じていることは同じなようだ。


「とにかく依頼を受けなきゃいけないよな」


 満を持して。

 ライトは受付嬢の元へと歩を進める。


 依頼を受注する冒険者たちの中にいると、流石に農民である二人の姿は浮いていた。

 珍しいものを見るかのような視線が痛い。


 ヒソヒソと話す声は、全てが自分たちに向けられていると感じてしまう。


「おはようございます。どの依頼をお受けになりますか?」

「えっと、この平原にいるスライム討伐で」

「はい、かしこまりました。ライト様とアイラ様でございますね」


 数秒の間があった後に、受付嬢は一つの大きなハンコを取り出した。

 想像していた以上に、依頼を受けること自体は簡単なことらしい。


 肝心の報酬金は、冒険者を生業としている者なら受けない方がマシと言えるほど僅かな金額である。

 しかし、農民であるライトたちからしたら、それでも十分なほどの大金だ。


「それではお気を付けて」

「あ――あの、ここなら剣を貸してもらえるって聞いたんですけど」

「え? ご自分の武器を持っていらっしゃらないのですか……?」


 受付嬢は有り得ないものを見るような顔で聞き返す。

 冒険者で武器や防具を持っていない者などいるはずがない。


 自分の命を守るための相棒とも言える存在だ。

 どれほど新人の冒険者でも、強いこだわりを持って用意するはずである。


 何年も勤務し続けてきたが、貸し出し用の剣を借りようとする者は初めて見た。


「一応あちらにございますが、性能が良いとは言えませんよ……?」

「全然大丈夫です。それよりも、無料なんですよね?」

「はい……それはそうですが」


 最後まで確認を取ると、ライトは満足した様子で指示された場所へと向かう。

 あそこに並んでいる剣は廃棄寸前のなまくらばかりだ。


 受注した依頼が低レベルなものであるだけに、命を落とすまでには至らないだろうが、それでも何か後遺症を残してしまう危険はあった。

 他の冒険者に比べると、ライトはとても体格が良いとは言えない。


 心配する気持ちがどんどん強くなっていく。


「――姉ちゃん。この依頼を受けたいんだが、さっさと対応してくれないかい?」

「は、はいっ! ただいま!」


 ライトの背中を目で追っていると、見上げなければならないほど大柄な男が軽く机を叩いた。

 その音に反応するように、受付嬢は次の仕事を始める。


 激務と言われるこの仕事に、無駄なことを考えている暇など存在しない。

 たとえライトが依頼を失敗しようとも、痛い目を見るのはライト本人だ。


 受付嬢には責任も関係もない。

 慣れたように次々と仕事を処理していく。


 数分もする頃には、とっくにライトのことは頭から抜け落ちていた。



『面白そう』『次も読みたい』


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― 新着の感想 ―
冒険者登録制度や冒険者ランクシステムはないのでしょうか。 冒険者の管理出来るような他のシステムがあるのかな。 どちらにしても何か説明があったほうが良かったです。 スキルの実無毒化も真っ先にアイラと共…
普通に考えたらスキルの実食いまくってスキル増やしてから冒険者になるよねなんで1個追加しただけで満足してるのはおかしい スキルの実が簡単には手に入らないとかじゃないと設定に無理がある
[気になる点] 分からない、スキル実は聖女管理される、冒險者になる強要できる、冒險者キルトは支配しない?
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