やり残したこと
「遂に明日出発だね! 楽しみだよ!」
「そうだな。明日に備えて俺はもう寝るよ」
「おやすみなさい、です。ライトさん」
ライトが他の国に行くと決めた後。
それからのレーナの行動は早かった。
あっという間に出国の手続きを済ませ、もう明日には出発だ。
ギルドが引き留める暇さえない。
先ほど聞いた話では、ギルドや聖女に報告する前に出国の手続きをしたらしい。
やはりこの行動力には感心してしまう。
「明日の朝は早いからね――って、ライトたちは早起きだから大丈夫か」
「まあな。体が生活のリズムを覚えてるよ」
「私も多分大丈夫だと思います」
元農民のライトとアイラからしてみれば、早起きなど何も難しいことではない。
むしろ、普段からレーナの目覚まし代わりになっている。
レーナも緊張しているのか、なかなか寝ようとしていない。
「レーナは早く寝た方がいいんじゃないのか? あまり早起きが得意な方じゃないだろ?」
「そ、そうだよね……アハハ」
「? どうしたんだ? ちょっと今日のレーナ変だぞ」
「な、何でもないよ」
アハハ――と、レーナは笑ってごまかす。
ライトとアイラは、その様子を不思議そうに見つめていた。
わざわざそれ以上言及するようなことはしないが、気になっているのは気になっているようだ。
「じゃあ、ちょっと外に出てくるね」
「え? もう夜だけど、何か用事でもあるのか?」
「うん。ちょっとだけ……」
「俺も付き合うよ――」
「だ、大丈夫! 私一人の方がいいから!」
ベッドから立ち上がろうとしたライトを、レーナは慌てて手で止める。
「……」
もはや気になるを通り越すような行為であるが、それなりの理由があるらしい。
今日だけはお願い――と、レーナの目が訴えているような気もした。
そのような視線を向けられては、ライトも邪魔するようなことはできない。
何をしようとしているのかは分からないが、放っておくのが最適だと理解できる。
「気を付けるんだぞ」
「う、うん! ありがとう!」
ライトの一言でパッと明るい顔になったレーナは、コソコソとしていたさっきまでとは違って、堂々と部屋の扉から出ていく。
しっかりと剣を携えているところに目が向いたが、きっと癖なのだろうとライトは無理やり納得しておいた。
「行ってくるね。すぐに戻ってくると思うから」
「……最後に聞いておくけど、危険なことじゃないんだよな?」
「うん。一つやり残したことがあるだけ」
そう告げると。
レーナは眠っているであろう聖女の元へと向かったのだった。
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