発覚
「お、おいお前! お前がライトか?」
「え? そうですけど、どうして俺の名前を……」
「……何てことだ。本当に邪龍を倒せるとは」
バロンドは、慌ててライトとレーナの元に駆け寄る。
レーナの言葉を信じて時間を稼ぐことに協力していたが、本当にライトが現れて解決してしまった。
目の前であれほどの剣さばきを見せられたら、もう実力を疑うこともできない。
間違いなくSランク冒険者になれるほどの力はある。
まだBランク冒険者という事実は明らかにおかしいだろう。
意図的にBランク冒険者で止めているのか。
バロンドの中に様々な疑問が生まれた。
生まれた――が。
「――っく。お前には聞きたいことが山ほどあるが、それはまた今度だ。レーナ、負傷者の救護に向かうぞ」
「は、はい」
邪龍を倒したからと言って、全てが終わったわけではない。
邪龍に蹴散らされた冒険者たちなどの介抱がまだ残っている。
それはライトの情報より重要であり、一刻を争う作業だ。
レーナもそのことはしっかりと理解していた。
「俺はあっちを。レーナは向こうだ」
「分かりました。ライト、ライトにはそっちをお願いしても……」
「もちろん」
レーナが言い切る前にライトは頷き、壊された建物の方を見る。
バロンドは既に救護に向かっており、段々と人の声が聞こえてき始めた。
これがライトたちの最後の仕事だ。
「あっ――言い忘れてたけど、ありがとう。助けに来てくれて」
「気にするな。間に合ったのはレーナのおかげだから」
「……うん!」
感謝の言葉を受け取ると、ライトは振り返って負傷者の元に向かい始める。
レーナもそれと連動するように。
逆の方向へと走り出した。
◇◆◇◆◇◆
「……ひどい」
レーナが向かった先は、邪龍によって破壊された大きな神殿だ。
聖女を含めた権力者たちが、よくこの神殿に集まって会議を開いていた。
レーナの記憶が正しければ、ここには聖女の住処もあったはずである。
普段は鍵がかかっているため、レーナでさえ聖女の住処には入ったことがない。
「……そりゃ誰もいないよね」
邪龍が現れたことによって人がいなくなった神殿を、レーナは新鮮な気持ちで歩く。
目に映るのは瓦礫の山といくつかの死体。
このような光景は、もう二度と見ることができないであろう。
既に死んでしまった冒険者に小さな祈りを捧げながら、レーナはより崩れている箇所へと向かった。
「あれ? これってもしかして――」
そんな時に見つけたのが。
今までは絶対に入れなかった部屋――聖女の住処。
鍵のかかっているはずの硬い扉は、見事に衝撃で開いてしまっている。
中は意外と狭く、書類などの物が多い。
高そうな本棚は倒れ、見るも無残な姿になっていた。
(まさか……まさかね)
レーナは自分でも無意識のうちに部屋に入り、ぐちゃぐちゃになった棚を見る。
書類、写真、など様々な物が置いてあるが、気になったのは一番奥にある物だ。
最大まで手を伸ばさなければ届かない。
隠すように置いてある薬瓶。
たまたま見つけることができたが、普通なら到底気付けない位置にある。
「……っ!」
ドキドキとした気持ちで、レーナは薬瓶を手に取る。
そこには。
忘れもしない毒の名前――トサトンキンと書いてあった。
遂にレーナが気付きました!
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