死角
「――クソッ!」
バロンドは邪龍の攻撃を何とか受け流す。
ダメージを与えるどころの問題ではない。
今は自分が致命傷を食らわないようにするだけで精一杯だ。
邪龍はギルドから貰った情報より遥かに強い。
毒、麻痺、火傷――確実にそれらが命中しているはずだが、意にも介していないように動いている。
「どうすればいいんだ……」
「バロンドさん、落ち着いてください。今は耐える時間です」
「君は……レーナ?」
邪龍の前で勝利する方法を模索するバロンドに、後ろから聞いたことのある声が届く。
そこにいたのは、自分と同じSランク冒険者であるレーナだ。
常識外れのスピード昇格に、誰もが羨む《剣聖》のスキル。
冒険者として活動しているならば、一度はレーナの名前を耳にしたことがあるだろう。
「耐えるってどういうことだい……?」
「あと少ししたら、私の仲間が来てくれるはずなんです。彼がいたら、邪龍に勝てる見込みはあります」
「その仲間……信用できるのか?」
「はい。総合的に見たら、絶対に私よりも強いです」
「何だと!?」
バロンドは驚きを隠せない。
レーナより強いということは、自分とも同等――もしくはそれ以上の力を持っているということである。
そのような男が本当にいるというのか。
レーナのパーティーまでは把握していないものの、少なくともバロンドの記憶の中にはいなかった。
「誰だその男は? 俺は知らないぞ……」
「ライトです。今はBランク冒険者ですけど、実力もスキルも――」
レーナが説明しているところに、邪龍の吐いた炎が放たれる。
Sランク冒険者二人の反射神経であれば、この炎は余裕を持って躱せる攻撃だ。
むしろ説明を中断させられることの方が厄介とも言えた。
そして、その中断するタイミングも運が悪い。
バロンドの頭に残っているのは、ライトという男がBランク冒険者という情報だけ。
とても安心できる内容ではない。
「とにかくレーナ! 攻撃を仕掛けるから合わせるんだ!」
「……分かりました!」
深く考えることを止めたバロンドは、剣を強く握って邪龍をかく乱するように動く。
硬い鱗に覆われていると言えど、攻撃できる箇所は確実に存在している。
真っ先に思い当たるのが眼球。
タイミングは限られるが口の中など。
これらの鱗で守られていない部位を狙うしかない。
求められる技術は高いが、自分なら何とかできるはずだ。
「同時に仕掛けるぞ! ――今だ!」
そのバロンドの掛け声と共に、レーナも強く踏み込んで攻撃を仕掛ける。
今回はレーナがサポート側に回る動きだ。
この程度の意志疎通であれば問題ない。
最初から防御に集中しているレーナは、綺麗に邪龍の攻撃を躱して隙を作る。
そこにバロンドは、死角から狙い通り眼球に飛び込んだのだった。
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