表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

45/99

当日


「やあ、レーナ。来てくれたんだね」

「はい。仕事ですから」


 当日。

 多くの冒険者が集められたギルドで。

 ギルドマスターは、レーナを見かけると小さく手を振りながら近付いてくる。


 邪龍との戦いにレーナの力は必要不可欠だ。

 もしここに穴が開いてしまうと、そのカバーには百人以上の冒険者が必要だろう。


「悪いね、そっちも忙しいのに」

「大丈夫です。それに、忙しいのはお互い様じゃないですか」

「まあね。ボクも三日間寝ないのはキツかったよ」


 ギルドマスターは目を擦りながらアハハと笑う。

 ずっと邪龍の対応に追われていたのでは無理もない。

 寝る暇など存在するはずがなかった。


 いつものように余裕を見せているが、肉体的にはかなり疲労しているのだろう。


「そうだ。レーナの方は何か進展あった?」

「……残念ですが、まだ犯人は見つかってません」

「そうなんだ……この戦いが終われば、ボクもできるだけ協力するよ」


 頼もしいギルドマスターの言葉に、レーナはコクリと頷く。

 まずは邪龍を倒さなければ何も進まない。


 レーナは緊張しながら戦いの始まりを待っていた。

 今回はこの街で戦いを行うことになるため、逃げるという手段が使えないのだ。

 勝利か敗北――必ずどちらかの結果になる。


 負ければ多くの人間が犠牲となるため、絶対に勝たなくてはならない。


「ギルドマスターは勝てると思いますか?」

「五分五分かなぁ。レーナが圧倒されるくらいだから、こっちもただでは済まないのは分かってるけど」

「……負けられませんね」


「うん。市民には避難してもらってると言えど、確実に安全ってわけじゃないし」

「はい。先生も私を信じてこの街に残ってくれていますし」

「え?」


 ほんとに? ――と、ギルドマスターは驚きの表情を見せる。


「本当です。あの研究室じゃないと、アイラちゃんを助けるのが難しいらしくて」


「へえー。ボクも何度かお世話になったことがあるけど、あの先生は本当に名医だね」

「ギルドマスターも診てもらったことがあるんですか?」

「一応ね。痛んだパンを食べてお腹壊しただけだったけど、薬貰ったら一瞬で治っちゃった」


 意外なところで明らかになった事実。

 お互いの知り合いであるからこそ、余計に負けるわけにはいかなくなった。



「――お、おいっ! 見ろ!」

「――な、なんだよ、あれ!」

「――こんなの初めてだぞ……」


 そして。

 雑談にも似た話をしているうちに、空が黒い雲に覆われていく。


 困惑する冒険者たちの声。

 この場にいる冒険者のほとんどが、一歩だけ後ろに下がる。

 完全に邪龍に気圧されている状態だ。


「来たね。レーナ、準備はいい?」

「もちろんです」


 そんな中で、レーナだけが一歩前に踏み出したのだった。



応援、本当にありがとうございます!


『面白そう』『次も読みたい』


と少しでも思って頂けたら励みとなりますのでブックマーク登録や評価、感想をいただけると嬉しいです。


特に下側の「☆☆☆☆☆」を「★★★★★」にして頂けるとモチベが上がりますので宜しくお願いします!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
1週間前に邪龍が来るのが分かっているのに領主やこの国の王は兵士すら派遣しないのでしようか。 戦うのはギルドだけ!? 防衛力皆無な国なら暴動が起こったり他国から攻められると思うのですが。 もちろん聖女は…
アニメを見て読み始めましたが、期待はずれでした。 まず一話の話数が少なすぎて感情移入してるまがない。 ので盛り上がりに欠ける。 残念ですがアニメだけにします。
[一言] ライトはスキルの実で解毒できる実を意図的に作ろうとしてるんですよね? なぜ医者がその実を作るアドバイスができるのか?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ