差し入れ
「こんにちはー」
レーナは民家(病院)の扉を叩く。
ここに来てもできることは少ないが、可能な日は毎日訪れるようにしていた。
その目的としては――アイラの様子を見るため、そしてライトを応援するため。
やはり《木の実マスター》のスキルを持っていても、新しい木の実を作ることは難しい作業らしい。
手遅れになるまで残り数日。
邪龍が現れる前に完成すれば良いのだが、何とも言えない状況だ。
「レーナ。来てたのか」
「うん、お疲れ様。これ、差し入れだけど……順調?」
「先生の指示に従って木の実を配合してるだけだし、俺からは詳しく言えないけど――間に合うかもだってさ」
「ほ、ほんと!? よ、よかった……」
レーナはホッと胸を撫で下ろす。
ずっと肩にのしかかっていた重みが、少しだけ消えたような気がした。
かなり限られた時間だったが、医者の協力もあって上手く進んでいるようだ。
不安や焦りのようなマイナスばかりの日々の中で、久しぶりに安心する気持ちになれた。
「今は木の実を急速成長させてるところだよ。夜には二つを混ぜ合わせて、また新しい木の実ができると思う」
「大変そうな作業だね……何か私にできることはない?」
「うーん……まだなさそうだな。それより、レーナにはレーナにしかできないことがあるはずだから」
目立った成果が挙げられないレーナの気持ちを察したのか、ライトは傷付けないように軽くフォローしておく。
レーナがライト以上に疲れていることは、何となく想像することができる。
レーナとしては気付かれないように隠しているつもりなのだろう。
しかし、実際はバレバレだと言うしかない。
「邪龍がこの街に来てるんだったよな?」
「え? ライト知ってたの?」
「まあな。街のみんなもその話題ばっかりだし――そっちは大丈夫そうなのか?」
「うん。ギルドマスターが冒険者たちを集めて対応するみたい。多分私も招集されると思う」
そうか――とライトは呟く。
レーナが招集されること自体に疑問はない。
むしろ、実際に邪龍と対峙し、Sランク冒険者の腕前を持つレーナが招集されない方が驚きだ。
「できるだけ早く完成させられるように頑張るよ」
「ありがとう。でも、ゆっくりでいいからね。邪龍は私が引き留めておくから」
「……助かるよ」
ライトがそう告げると、レーナはニッコリと笑顔を見せる。
作業中――邪龍をずっと気にかけていたライトだったが、もうそんな気持ちはない。
レーナの存在が、今までより何倍も心強く感じられた。
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