毒
「毒……ですか?」
「うん。どこかに打ち込まれた跡が――あったあった。かなり面倒くさい毒だね。今のところ完璧に治す薬はないよ」
医者は困ったように頭をかきながら事実を伝える。
その言葉を聞いて、取り乱すのはレーナだ。
「ほ、本当なんですか!? 間違いないんですか!」
「残念だけどね。反応もあるし、呼吸も乱れてない。こういう症状はトサトンキンっていう毒だけだよ」
「ア、アイラちゃんはどうなるんですか……?」
「すぐには死なないよ。ただ、二週間もすれば体が弱って危険な状態になるだろうけど」
冷静に、医者は落ち着いて現状をレーナに伝える。
これまでにくぐり抜けてきた修羅場の多さからか、慌てている様子は全くない。
そんな医者とは対照的に冷静さを欠いているレーナ。
その口からは常に何かの言葉が出ている。
ずっと動いて喋っている状態だ。
「そ、そうだ! ライトが毒を消すようなスキルを覚えてくれれば!」
「それは現実的じゃないかもね。過去に何度か試みた記録があるけど、成功したのは一回だけだよ」
「で、でも成功したことがあるなら……!」
「成功させた人は何十年もスキルを使い続けてきた人だからねぇ。熟練度的に言うと、覚えたばかりの人間がこの毒を消すのは不可能かな。成功させた人ももう亡くなってるし」
突きつけられる現実。
医療スキルは熟練度が物を言うスキルだ。
アイラが危険な状態になるまで残り二週間。
とても時間が足りるとは思えない。
「じゃあどうすれば……」
「難しい話だね。こんな毒を用意できる方にもビックリだけど」
その言葉によって、沈黙の時間が数秒ほど流れる。
万事休す――どうすることもできない。
頼りの医者でさえ、お手上げという様子だった。
「……とにかく治療はしてみるよ。ただ、治る確率は限りなく低いってことを覚えててね」
「そんな……」
力を失ったようにレーナは壁へともたれかかる。
苦しそうなアイラの表情。
自分は何もできないという無力感で押しつぶされそうになっていた。
レーナは不意にライトの顔を見る。
「さて、もう遅いから君たちは――」
「待ってください。この毒を分解できるものがあればいいんですよね?」
「……? そりゃそうだけど。そんなものまだこの世界では見つかってない――」
困った顔の医者に、ライトは強く宣言する。
「俺が新しい木の実を作ります。この毒を分解する木の実を」
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