病院
「この野郎――」
「ふざけやがって――」
「おいっ、こいつ農民じゃなかったのか――」
襲い来る敵たちは、それぞれの断末魔をあげながら死んでいく。
否。
ライトによって殺されていく。
ここにいる者は、全員が戦闘用のスキルを持っているのだろうが《剣神》の前では無力だ。
ライトに対しての攻撃は全て弾かれ、ライトの攻撃は面白いくらいに当たる。
とても農民とは思えない身のこなしであり、辺りはあっという間に赤く染まっていた。
「ちょ、ちょっと! そこで何してるの!」
追いつめられる敵、そしてライトの耳に、困惑したような声が届く。
目を向けた先にいたのは――レーナだ。
剣を向けて威嚇するような真似をしている。
どうやら偶然この道を通りかかったらしい。
「って、ライト!? どうしてここに!?」
「レーナ! 今はそんなこと話してる暇は――」
「グッ! マズいぞ、一旦散れ!」
ライトがレーナに気を取られている一瞬を狙って。
目の前にいた敵たちは暗闇の中へ消えていく。
ここに残されたのはライト、レーナ、アイラ、そしていくつかの死体たちだ。
「チッ……」
「い、いなくなったの……?」
「逃げられたよ」
「ね、ねえ、詳しく説明してよ。ライト」
何も知らないレーナは、ライトに近付いて状況を尋ねる。
しかし、今は答えている余裕がない。
「すまん、レーナ。アイラがそれどころじゃないんだ」
「え――ア、アイラちゃん!? た、大変だよ!」
「とにかくどこかに移動しないと」
「それなら信頼できるお医者さんがいるから! こっち!」
倒れているアイラをおぶって、レーナは狭い路地の中へ入っていく。
三人以上では並んで歩けるのか怪しいほど狭く、とても複雑な路地だ。
本当にこの先に医者がいるというのか。
ついついライトは心配になったが、今はレーナに付いて行くしかない。
「ここだよ! もしもーし!」
「……え? ここなのか?」
レーナは扉を叩いて中にいる医者を呼び出そうとする。
とても病院とは思えない風貌。
ライトにはこの建物がただの民家にしか見えなかった。
「はいはい……あれ? レーナちゃん?」
「あ、先生! 大変なんです! アイラちゃんが――!」
「うーん? 状況が分からないけど、とりあえず中に入ってよ」
民家(病院)の中から顔を出したのは、痩せて不健康そうな男。
様々な要素が医者のイメージから離れている。
この男に任せても大丈夫なのかとも考えたが、レーナが信頼してる人を疑うわけにはいかない。
ライトも言われるままにその中へと入った。
「その、アイラちゃんは大丈夫なんですか!」
「反応はあるけど、ちょっとマズいかもね」
「ど、どういうことですか!」
耳元で叫ぶレーナに怯みながら。
「――毒、だね」
と、医者は呟いた。
応援、本当にありがとうございます!
『面白そう』『次も読みたい』
と少しでも思って頂けたら励みとなりますのでブックマーク登録や評価、感想をいただけると嬉しいです。
特に下側の「☆☆☆☆☆」を「★★★★★」にして頂けるとモチベが上がりますので宜しくお願いします!




