襲撃
「かなり暗くなりましたね、ライトさん」
「そうだな。この辺りは人が少ないから、あまり明かりもついてないし」
ライトとアイラは、暗い道を何とか迷わないように進む。
普段は夜に出歩く機会などないため、少しだけ二人に緊張が走っていた。
昼の街にはようやく慣れてきた頃であるが、夜の街はまだ早かったらしい。
ライトの服を掴むアイラの力が、最初と比べて何倍も強くなっている。
「本当に村とは大違いだな。夜なのにまだ店が開いてるぞ」
「そうですね。村では日が暮れたらお店は閉まっていましたし」
「逆に、昼は閉まってて夜にしか開いてない店もあるみたいなんだよ」
「特別感があっていいですね。何だかカッコいいです」
「あ――確かあそこだよ。一体何を売ってる店なんだろうな」
ライトが指をさした先には、一見普通でシンプルな建物。
窓から明かりがこぼれているところを見ると、しっかり営業しているようだ。
アイラも何度かその店を見かけたことがあるが、何をしている店なのかは把握していなかった。
暗闇の中――目を凝らして看板を見る。
「しょ、娼館……!?」
「ん? 何だそれ?」
「ラ、ライトさんは知らなくていいです……!」
見てはいけないものを見てしまったかのような様子で、アイラは目線をすぐにライトへ向ける。
幸いなことに、暗闇であるため顔が赤くなっていることはバレないだろう。
娼館に近付こうとしているライトを、アイラは力づくで引っ張って止めた。
「? 危険なところなのか?」
「危険と言えば危険ですが……ライトさんには行ってほしくないです」
「よく分からないけど、アイラがそう言うならやめとくよ。それに、今はレーナを迎えに行く方が先だしな」
ライトが真っすぐ歩き始めたのを確認すると、アイラはホッとしながらその背中に付いて行く。
もしこの場にレーナがいたら、ライトは張り倒されていたかもしれない。
客引きがいたとしても、カモだと思われてしつこく誘われていたはずだ。
何かライトがやらかす前に、アイラが注意しておかなければならないだろう。
「ライトさん。今度からは、あまり夜に出歩かない方がいいかもしれません」
「まあ、そうだな」
「その方が――ひっ!?」
「ア、アイラ!?」
アイラは突然その場に倒れこむ。
躓いて転んだというわけではない。
間違いなく何者かに攻撃された反応だ。
まともに敵の姿が見えない中で。
ライトは剣を抜いて敵の攻撃を受け止める。
「ほお……よく防御できたな」
「お前、何をした」
「さあ――」
ライトは、とぼけようとした男の喉を切り裂く。
その瞬間に、影に潜んでいた人間たちが一斉に飛び出してきたのだった。
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