刺客
「聖女様。レーナ様が新しくパーティーを組み直したようです」
「……それで、誰とですか?」
「どちらも元農民の男女でした」
「……チッ」
部下からレーナの情報を聞いて、聖女は不機嫌そうに舌打ちをする。
自分がずっと危惧していたことが、現実になってしまったのだ。
あの時――アイラと呼ばれていた少女に脅しをかけておいたが、それでは不十分だったらしい。
どこまでも農民というものに嫌悪感が湧いてくる。
「その二人とパーティーを組むために、レーナ様は依頼に同行するなどをしているようです」
「無駄な時間を過ごしているというわけですね。他にも受けるべき依頼が山ほどあるというのに……」
「このままですと、他の冒険者たちと同じようにこの国から出ていく可能性が高いかと」
はぁ――と深いため息。
怒り、呆れ、不満、様々な感情があるが、どれもマイナスなものばかりだ。
レーナが順調にSランク冒険者まで成長してくれたのはいいが、やはりその分だけ邪魔が入る。
これまでにも多くの冒険者パーティーが、レーナを仲間に引き入れようと近付いていた。
聖女の動きによってそれらは全て打ち払っていたが、今回だけはなかなか上手くいっていない。
「どういたしましょう。あまり時間をかけすぎると、今の仲間たちによってレーナ様に何か吹き込まれてしまうこともありえます」
「……そんなの最初から決まっていますよ。どうにかして引きはがします。レーナさんが国から出ていく前に」
これからの方針。
それを聖女は部下へ伝える。
今考えられる最悪の未来は、レーナが他の国へと行ってしまうこと。
そうなれば、流石の聖女と言えども簡単に手を出すことはできない。
その前にどうしても引き留める必要があった。
そして、そのためには手段を選んでいられないのも事実である。
邪龍が現れて数日――レーナも面倒なことになる前に国を出たいはずだ。
「かしこまりました。いくつかの部隊を現仲間の元へ送り込みます。その際に殺す場合もあるということを確認しておいてください」
「分かりました。ミスをすると思っているわけではありませんが、証拠は残さないようにしてくださいね。レーナさんにバレると大変ですから」
「もちろんです。一週間以内には終わらせますので、お待ちいただければ」
「よろしくお願いします。信頼していますよ」
聖女がそう言うと、部下はペコリと一礼して部屋を後にする。
部下が本気で動いたのであれば、元農民など相手にもならないだろう。
殺すことまではしたくなかったが、こうなってしまえば仕方がない。
レーナも大人しくなってくれるはずだ。
聖女はもう一度ため息をつくと、疲れを吐き出すように立ち上がったのだった。
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