確認
依頼を終えてギルドに戻ったライト、アイラ、レーナ。
それからは、まるで流れるように事が進んでいった。
証拠としてゴーレムの核と呼ばれる部分を渡された受付嬢は、今ドタバタと走り回っている。
見ていて何か手伝いたくなるほどの忙しさだ。
「奥の部屋っていうのは……ここであってるのか?」
「うん。確か私もこの部屋だったはず」
そんなライトたちが案内されたのは、普段なら入れないほどギルドの奥にある小部屋。
ここでギルドマスターの到着を待たなくてはいけないらしい。
レーナの話によると、冒険者ランクを上げるにはギルドマスターの許可が絶対に必要なようだ。
少しだけ感じる部屋の冷たさに、ライトも緊張してしまう。
「大丈夫だよ、ライト。不正がないかどうかを調べるだけだから。普通に質問にだけ答えてればいいよ」
「そうなのか?」
「うん。どっちかっていうと、心配よりも驚きの方が強いと思う」
「え? それってどういう――」
ライトが聞き返そうとしたところで。
コンコンと扉が叩かれる。
どうやらギルドマスターが到着したらしい。
レーナが扉を開けると――その先には一人の少女がいた。
「あれ? 部屋を間違えてるんじゃ……」
「お久しぶりです。ギルドマスター」
「久しぶりだね、レーナ。君の活躍は嫌ほど耳に入ってくるよ」
「……え?」
ライトの前で行われる不思議なやり取り。
アイラとそこまで年齢が変わらなそうな少女を、レーナはギルドマスターと呼んで頭を下げている。
その少女もまた、偉そうな態度でレーナを労わっていた。
「まさか、レーナ……」
「そうだよ、ライト。この人がギルドマスター」
「嘘だろ……」
「失礼な奴だな。人は見た目じゃないって言葉を知らないのか」
ギルドマスターは、ムッとしながら指をさしてライトを注意する。
言われ慣れているのかどうかは分からないが、特にそれ以上気にしている様子はなさそうだ。
気が付くと。
そんなことより――と、既に本題に入っていた。
「ボクは忙しいから、ちゃちゃっと終わらせちゃうよ。君たち二人でいいんだよね?」
「は、はい」
「じゃあ質問。ゴーレムを倒したのは君たちで間違いないね?」
「もちろん――」
「あ、答えなくていいよ。分かるから」
ギルドマスターはライトの言葉を遮ると、ライトとアイラの胸に手を当てる。
そして目を閉じ、何秒か沈黙の時間が続いた。
「……うん。問題ないみたいだね。お疲れ様」
「え? もう終わったんですか?」
「まあね。そんなに時間がかかる作業じゃないし」
「ギルドマスター、これでパーティーは組めるんですよね?」
「そうだよ。良かったね、レーナ」
「はい。これで聖女さんも口を出せなくなると思うし……」
「何の事情があるかは知らないけど、ボクからも声はかけておくよ。一応聖女とは同期だからね」
その頼もしい言葉を残して、ギルドマスターは眠そうに部屋から出ていく。
レーナもその言葉に安心しているようだ。
……ライトとアイラは、何も言えずにお互いを見ていることしかできなかった。
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