白刃抜刀
思い切り飲み込んだ三つのスキルの実。
その分三倍頭が痛くなるというわけではないが、いつもよりは多少強くなっているような気もする。
とにかく、これで三つ分のスキルを獲得することができるはずだ。
ゴーレムも本能的に何かを感じたのか、一度攻撃を止めてライトを観察していた。
そんな中で獲得したのが――。
《白刃抜刀・防》
《白刃抜刀・瞬》
《白刃抜刀・堅》
これらの三つ。
ライトは固まる。
同時に飲み込んだことが原因なのか、同じようなスキルを連続で獲得することになってしまった。
当然初めての体験であり、どのような反応をしていいのか分からない。
「アイラ……これは」
「その、同じようなスキルですけど、効果は全然違います。それに――これならいけそうです」
アイラの自信ありげな顔。
どうやら外れスキルというわけではないらしい。
抜刀と呼ばれるからには、当然剣を使ったスキルである。
ゴーレムに剣は不利だという話があったばっかりだが、どこまで通用することになるのか。
「ライトさん、剣を一旦鞘に収めてください!」
「こ、こうか?」
「それで一気に引き抜けば――」
アイラに言われた通りの動きをするライト。
一度鞘に剣を収めなければスキルは発動しないようで、多対一の激しい戦闘の場面では使えそうにない。
戦闘中に武器をしまえば、誰だって必ず隙はできる。
攻撃範囲も広くはなく、一度の抜刀で攻撃を当てられるのは一体だけだ。
シンプルで分かりやすいスキルだったが、その分応用することが難しいだろう。
そう考えるとかなり使い勝手が悪い。
しかし。
その威力だけは目を見張るものがあった。
「――グオオオオォォォォ!?」
「す、すごいです! ライトさん!」
ライトが放った一振りは、硬いゴーレムの腕をいともたやすく両断する。
溜めが長くなればなるほど、威力とスピードが上昇するようだ。
ゴーレムにも痛覚があるのか、無くなった腕を押さえて雄叫びをあげていた。
ライトは既に、二撃目の溜めに入っている。
「グヌアアアアァァァ!!」
そんなライト目掛けて。
ゴーレムは残った方の腕を振り上げる。
このままではマズいと悟ったらしい。
それでも――もう遅かった。
「白刃抜刀――!」
勝負を決めるための一振りは、見事にゴーレムの胴体を断ち切った。
流石のゴーレムでも、このダメージで生きていることはできない。
岩の体に次々とヒビが入り、あっという間に砕け散る。
再起不能――戦いの終わりを示していた。
「……ふぅ」
「ライトー! 今のどうやったの!?」
「流石でした……! ライトさん!」
ドッと押し寄せてくる疲れ。
かなりの集中力を使うスキル――やはり多用できるものではなさそうだ。
ライトは倒れるようにその場に座り込んだ。
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