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善は急げ?


「ゴーレムって……大丈夫かな」

「ライトって、確かオーガを倒したことがあるんだよね?」

「まあ、一回だけ」

「ならきっと大丈夫だと思うよ。オーガよりは危険度が低いモンスターだから」


 レーナは、自信を付けさせるようにライトの肩をポンと叩く。

 ゴーレムでBランク冒険者昇格ならば、オーガはAランク冒険者昇格相当の獲物だ。


 正式な手順でオーガを倒したわけではないためAランクにはなれていないが、本来なら十分に挑戦する資格はある。


「ただ、剣だとちょっと相性が悪いかも。ダメージが通らないことはないんだけど――まあライトなら心配ないね」

「期待してくれてるのはありがたいんだけど、ちょっと投げやりになってないか……?」

「ご、ごめんね? 時間もないし……これ以外には昇格用の依頼はないんですよね?」

「はい。今はこれしか……」


 レーナが手を合わせて申し訳なさそうにすると、受付嬢の用意した紙にサインをさせる。

 もはや本職ではないかとさえ思えるほどの手際の良さだった。


 気が付くと、既にほとんどの手続きが終わっており、後は依頼に向かうだけの状態になっている。


「それじゃあ、もうすぐに出発できそうです」

「え? 今日? 今から?」

「うん。善は急げ、だよ。ライト」


「いくらなんでも早すぎる気がするんだが――」

「ライトさん。レーナさんと正式にパーティーを組むためです。我慢してください」

「どうしてアイラもそんなに乗り気なんだ……?」

「は、話せば長くなります……」


 アイラとレーナに手を引っ張られて、ライトはギルドから強引に連れ出される。

 聖女とのいざこざを知らないライトからすれば、二人の様子は明らかに不自然だ。

 しかし、それを指摘する暇さえない。

 Bランク冒険者に昇格することに関しては、ライトにもしっかりメリットがあるため、それからは何も言うことなく足を動かす。


「レーナさん。これでいいんですよね?」

「バッチリだよ、アイラちゃん! パーティーさえ組んだらこっちのものだから!」


 逆に、聖女に対して対抗心をメラメラと燃やしている二人はやる気で満ち溢れていた。

 今回だけはアイラも完全にレーナ側に付いている。

 何としてでもレーナとパーティーを組ませる気だ。


「ライトさん。農民の力を見せてやりましょう」

「? わ、分かった」


 アイラの目から感じる強い意志。

 その力強さに押されたのか、ライトは何もわかっていないながらもコクリと頷く。


 そこで。

 ライトの手を握るアイラの手も、ギュッと強くなったような気がしたのだった。



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― 新着の感想 ―
[一言] そのうち『木の実マスター』に『スキルの実の毒を消して他の人に食べさせる能力』がついて アイラも鑑定以外ができるようになるよ
[気になる点] アイラって鑑定しかないただの村人Aだよね?
[気になる点] >ライトさん。農民の力を見せてやりましょう 剣神だろー!
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