昇格用依頼
「そ、そんな! どうして!」
「すみません……規約としか言いようがありません。レーナ様の望みだとしても、こればかりは難しそうです」
予想外のハプニング。
言われてみれば、最初にそのような説明をされたような記憶がある。
かなり小さな文字でまとめられていたため、完璧に忘れてしまっていた。
今のままでは二人とパーティーを組むことができない。
そして。
元農民であり、現Fランク冒険者の二人とパーティーを組もうとしていることが聖女にバレたら、どのようなことが起こるか何となく想像できる。
絶対にパーティーを組ませないように、力づくで様々な邪魔が入るはずだ。
もしかしたらレーナだけではなく、ライトやアイラにも危害が加わるかもしれない。
むしろ、聖女の性格を考えれば、そちらの方が可能性が高いとすら言えた。
「ど、どうしよう……ライト。殺し屋とか派遣されたら、流石に守り切ることができないかも……」
「いや、何の話をしてるんだ……?」
そんなことを知る由もないライトは、やけに絶望した様子のレーナを不思議そうに見つめる。
一体どういう思考回路で殺し屋という単語が出てきたのか。
今は話に付いて行けそうにない。
「レーナさん。三つ以上ランクが離れていなければ、パーティーが組めるようになるんですよね?」
「うん、そうだと――あっ!」
「それなら、Bランク冒険者に私たちが昇格すれば、何とかパーティーは組めると思います」
あまりにもシンプルな答え。
すぐにはパーティーを組めないと伝えられて冷静さを失っていたが、実際はアイラの言う通り簡単な問題だ。
そうと決まればもう迷うことはない。
「受付嬢さん、Bランク冒険者昇格用の依頼ってありますか?」
「は、はい、一つだけございますが……まさかこのお二人が挑戦なさるのですか?」
「大丈夫だよね? ライト」
「よく分からないけど、多分大丈夫だと思う」
「か、かしこまりました……」
受付嬢は、レーナに言われるまま依頼リストを取り出す。
本来なら、Fランク冒険者がいきなり昇格用の依頼を受けること自体が異常な行為である。
ここにレーナがいなければ、受付嬢は止めるように進言していただろう。
そして、一つだけある昇格用の依頼は――。
「こちら、ゴーレムの討伐となっております」
応援、本当にありがとうございます!
『面白そう』『次も読みたい』
と少しでも思って頂けたら励みとなりますのでブックマーク登録や評価、感想をいただけると嬉しいです。
特に下側の「☆☆☆☆☆」を「★★★★★」にして頂けるとモチベが上がりますので宜しくお願いします!




