秋葉原ヲタク白書44 アキバ千夜一夜
主人公はSF作家を夢見るサラリーマン。
相棒はメイドカフェの美しきメイド長。
この2人が秋葉原で起こる事件を次々と解決するオトナの、オトナによる、オトナの為のラノベ第44話です。
今回は、マチガイダの裏メニュー"ダカレー"のレシピを考案したインド人美少女が登場。
時期を同じくして、中近東でサルベージされた遺物のランプをめぐる争奪戦が勃発しますが…
お楽しみいただければ幸いです。
第1章 シェラザードの開幕
白昼夢だったのか。
僕は、出張前に少し時間が出来て、マチガイダ・サンドウィッチズに立ち寄る。
あ、マチガイダは僕達のアキバの溜り場で、チリドックがヤタラと美味い店だ。
だが、店内には誰もいない。
いや、お客だけじゃなくて。
ランチタイムだと逝うのに、店長のYUIさんをはじめホントに誰もいないんだ。
コレは珍しいコトで渋谷のスクランブル交差点が白昼無人になるようなモノだ。
僕は、不可思議な思いに囚われながら、他方で気持ちが楽になるトコロもあり深呼吸。
と逝うのも、マチガイダは雑居ビルの2Fだからアキバ観光客とか来そうもナイからね。
そこへ…
「あ、いらっしゃい!ダカレー、でしょ?」
突然カウンターからヤタラと彫りが深くて大きな目をした美少女が顔を出す。
エキゾチックで整った顔つき、髪は黒髪ストレートのロングで肌は褐色系だ。
インド人?
「新しいバイトさん?留学生かな?でも、君、ダカレーつくれるの?」
「店長はお出掛け中です。じゃダカレー、つくりますね。私の名はシェラ」
「やぁ!シェラ。僕はテリィ」
ソレが、僕とシェラの出逢いだ。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
どうやら、シェラは小柄らしくてテーブル席からカウンターで調理する姿は見えない。
豪快にビーフを炒める音に続いて、やがてピーナッツオイルの甘い香りが漂ってくる。
おおっ!どうやら期待出来そうだ!
と逝うのも、ダカレーはYUI店長が気紛れにつくる裏メニューなんだがヤタラと美味い。
看板商品であるチリドックのチリソースがべースの、よくあるピリ辛カレーなんだけど…
他の誰がどう挑戦してもあの味にならないw
フランス料理で逝うトコロのソース・アラシッドに似た風味の不思議なカレーなんだ。
僕は、赤唐辛子の激辛に隠れた仄かな甘味とコクは、ピーナッツバターだと睨んでる。
果たしてシェラは約20分で満面の笑みを浮かべ熱々のダカレーをテーブルへ運んで来る。
言葉が通じるのが不思議な位、エキゾチックな彼女だが美女の微笑は万国共通の調味料。
「熱々なうちに…さぁ!召し上がれ」
「おおっ!コ、コレは美味い!シェラ、もしかしたらYUI店長のより美味しいのでは?」
「ええっ?そんな…でも、実は当たり前ですょ、テリィたん。だってYUIさんにレシピを教えたのは、私なんですから」
ええっ?ホントかょ?確かYUI店長は、修行中に留学生から教わったと聞いたけど…
もしかして、ソレが君だったワケ?と逝うコトは、君は日本はもう結構長いのかな?
「ねぇ…」
ところが、振り向くとシェラの姿はない。
な?コレは白昼夢って奴だと思わないか?
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
やがて、世界に人間と雑音が戻って、いつものアキバに喧騒が満ちて逝く。
僕が食べ終わったカレー皿を手に茫然と立ち尽くしてたらYUI店長が出現。
「お?テリィ、来てたのか?ん?この香り…まさか、お前、自分でダカレーをつくったのかょ?」
「YUIさん!今、階段で誰かとすれ違わなかった?美白インド系の美人なんだけど?!」
「お、落ち着け。テリィ、お前どうかしてるぞ。俺は今、店に来たばっかりだ。自分で鍵を開けて入って来たンだぞ。お前こそ、何で店の中にいるンだょ?」
そんなバカな!
さらにソコへ…
「こんにちわ。私の名はドニア。おかえりなさいませ、って言って欲しいトコロのアキバ観光の人」
「おや?こんなトコロまでインバウンドが。よくもまぁ、こんなビルの奥の狭い階段まで見つけたモンだ。コレもネットに出てるのかな」
「なーんだ。誰もいないじゃナイの。いってらっしゃいませ、私」
いや、僕とYUIさんがいるんだが…
今度は褐色系の肌の恐らくアジアンな美少女だが、おかしな言葉を残して去る。
アキバの人間交差点とも称されるマチガイダだけど、今日は奇妙な客ばかりだ。
とりあえず、僕はYUI店長に最初の美少女のコトをコト細かに報告スル。
彼は、開店準備をしながら話を聞き、最後に鍋底を指ですくって舐める。
「うーん。確かにダカレーだ。しかも、俺がつくるのより遥かに美味いw間違いナイな。コレをつくったのは…ジニーだ」
「ジニー?誰?YUIさんの元カノ?」
「ジニーさ、精霊の。"シェラザード"だ」
第2章 ジニーは浮気者
"シェラザード"は、斬首の歴史で血塗られた国で、毎晩めくるめく物語を語り1001夜の果て連続殺人鬼の王と結婚する王妃の物語。
"千夜一夜物語"の和名でも知られる。
「で、その千夜一夜の何番目の夜かは忘れたけど、有名な"アラジンと魔法のランプ"の話がシェラザード王妃によって、語られるワケさ。魔法のランプから出た魔神が3つの願いゴトを叶える例の話なんだけど、その時に出て来る魔神がジニーだ。"アラジンと魔法のランプ"自体は、あくまで空想的な例え話とされてるが、実は、ジニーは恐ろしい存在なんだ。そもそも、ジニーとはアラビア語で魔物と同じ意味。危険で移り気なならず者で、風や砂の渦巻きと共に、自由自在に出没する。ところで、3つの願いを叶える前にランプの主人が死んだ場合は、ジニーは2度とランプに戻れない。その時、ジニーは新しい主人がランプを擦るまで、日本の浪人のようにさまよい続けルンだ」
「わぁ話はトテモ面白いし、YUIさんが(思いがけず)博識なのも、よーくわかったけど、申し訳ないけどゲップが出そう。その話が僕が食べたダカレーとどう関係してくるの?」
「まぁ黙って聞けょ。俺は"マチガイダ"を開店させる前に六本木で修行してたンだが、その時に…実は"ランプ"を見つけたんだ。シェラザードに関する最近の研究によれば、ランプにはソロモン王の封印がついており、精霊ジニーをランプに封印する神秘の力を持つとされている。"アラジンと魔法のランプ"だと、ジニーの入ったランプは、トルコとシリアの国境付近にある洞窟で見つかルンだが、俺はソイツを何と六本木で見つけちまったのさ!ところで、その"ランプ"ってのはタダの"ランプ"じゃなくて…」
マズい。ゲップどころかアクビが出そうだ。
「だから!"アラジンの魔法のランプ"だったンですね?じゃまとめると、YUIさんは、六本木でランプを擦ってジニーを召還し3つのお願いをしたワケだ。で、YUIさんの3つのお願いって何かな?ちあきなおみは4つのお願いだったけど、1つ落とすとしたら4つ目の"誰にもナイショにしてね"でしょ?どーせYUIさんのコトだから、人には口止めしておいて、自分はアチコチに自慢して話して回るだろうから」
「俺を見くびるな!テリィが飽きて来たみたいだから結論だけ逝うが、俺の3つのお願いは、1つ、カレーのレシピ教えて、2つ、出店可能な空き店舗物件を見つけて、3つ、ズバリ開店資金を出して、だ。あ、やっぱり"ナイショにしてね"が落ちてるなw」
「でしょ?」
しかし、コレぞ"マチガイダ"開店秘話w
「となると、ホントにYUIさんは、ジニーに会ったワケですね?そして、その時ジニーはYUIさんのささやかな3つの願いをかなえて"ランプ"に戻ったワケだ。では、仮にさっき僕が会ったのがジニーだとして、何でジニーは、またランプから出て来たのかな?ソレも、あろうコトか、見ず知らずの僕の前にさ」
「誰かがランプを見つけて、ジニーを呼び出したけど、3つの願いを考えてる最中に死んじゃったんじゃナイか?ホラ、最近は色々と物騒な世の中だからな。お陰でランプに戻れなくなった浪人ジニーは、新しい主人を探してルンだ。そして、白羽の矢が立ったのがお前、テリィだったんだょ!きっとジニーは、お前に新しい主人になってもらいたいんだ!」
「そうか!確かに、僕はミユリさんのTOで、いわば"御主人様"のプロだからね!」
ランプさえ見つければ僕が新しい御主人様w
"新しい御主人様"!何て素晴らしい響き←
「大急ぎで願いゴトのリストを作らなきゃ!わあぁ!多くて3つに絞れないよ。浪人ジニーは、死んだ主人の代わりに僕の下に来る決心をしたんだ。ジニーは、僕にランプを見つけて欲しいんだ。新しい主人になってほしいに違いない!」
「うーん。かなーり違和感があるけど、まぁ先に話を進めると、お前、まさか、もう願いゴトをしちゃったんじゃないか?何でジニーは、突然現れ"元祖ダカレー"とかイソイソつくったんだ?そもそも、自由自在に姿を消したり、現したり、人を騙すコトもあれば、助けるコトもあるジニーが、何で、お前の前に突然現れて"元祖ダカレー"とかつくりだしたんだんだょ?」
「うわぁ!しまった!そう逝えば、今朝起きた時、うっかり"今日はダカレー食べたい"とか念じてしまった!ソレでジニーは姿を現し、ダカレーをつくってくれたのか!あぁ!願いゴトを1つ使ってしまったょ!あと2つかw残念」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
翌日から、僕は一切の煩悩を断ち切り、清く正しく品行方正に過ごす!
ショップのフィギュアや街を歩く女子に目を瞑り物欲と性欲を鎮める!
ソレなのに…
無難に夕方を迎えて、修行を終えた僧が寺院に帰り着く心境で御屋敷にたどり着き、外階段を登ると…2Fへの踊り場にシェラがいるw
「おかえりなさいませ、テリィたん」
「わ!何で、ココに!ま、待て!落ち着け!気を鎮めるんだ!南無妙法蓮華経、南無妙法蓮華経…」
「何それ?実家はお坊さんなの?」
何とシェラ、いや、ジニーは、真っ赤なミニのボディコンにピンヒールだ。
そして、バブル経験者限定だけど、効果覿面な必殺ワードをぶつけて来る。
「ねぇ。セックスしょ?」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
当時、お嬢様女優だったホナミ氏の台詞がブラウン管から流れた時、耳を疑ったモノだ。
アレから20年、僕はアキバの片隅で今、耳も、目も、知覚も、記憶も全て疑っているw
「しまった!今朝、目覚める時にウッカリ妄想してしまったのか?シェラと、あんなコトとか、こんなコトとか、シェラを上にしたり、下にしたり、その、あの…ん?もしかして、昨夜の夢の中だったかな?」
「何をゴチャゴチャ逝ってるの?私とじゃ…イヤ?(リン・ミンメイの声で)」
「いやトンでもない!むしろ…しかし、前回が食欲、今回は性欲だから…すると、やっぱり次回は物欲なのかな?わあぁ!首に手を回すなっ!キスするなっ!」
ガチャーン!
絶体絶命のその時、僕(達)の頭上でお盆ごとグラスを落とすハデな音がする。
この音を聞くのは初めてじゃナイが、今度は彼女は逃げズに凛として命ズルw
「お離れなさい、ベンガルの女豹さん。私の御主人様に手を出さないで」
ミユリさんだ!
助かった…か?
第3章 ランプを盗みし者達は
結局、泥棒猫、じゃなかったシェラはボディコンに入ったスリットも裂けょとはがりに逃走。
ミユリさんの手前、止める間も無く茫然と見送った僕は、そのまま本国に強制御帰宅となるw
「あぁ!結局、僕の願いはかなったのかな?それとも未遂のママなのかな?だって、シェラは明らかに僕をベッドに誘ってたんだけど、僕はミユリさんの手前、毅然とした態度で頑として拒んだのさ。だから、僕の残る願いゴトは、未だあと2つのママで良いょね?遺憾ながらキスだけはしたけど…」
「ええっ?!キスしちゃったの?信じられない!ミユリ姉様が可哀想!」
「あ、あわわ…」
罠か?しまった!
ぎゃあギャアとウルサいヘルプのつぼみんはサテ置き、ミユリさんをチラ見したらニコニコと微笑んでルンだケド、余計に不気味だw
絶体絶命!崖っぷちアパッチ砦な情況だが思いがけないトコロから騎兵隊が駆けつける。
「こんにちわ。私の名はドニア。おかえりなさいませ、って言って欲しいトコロのアキバ観光の人」
「やや?この前、マチガイダに来たインバウンドがココにも御帰宅だと?もはや偶然ではナイな。君は誰?」
「私の名はドニア。ジニーに殺された恋人を追い、日本まで来たトコロのアキバ観光の人」
やれやれ。また面倒臭そうなのが来たぞw
ソレは、もはや観光の人じゃナイでしょ。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
アラビアン美少女、ドニアは語る。
「私の恋人アキラは、大江戸風力エナジーの社員。初めての海外勤務でトルコに逝ったけど帰って来たらおかしくなってた。いきなり大量にフィギュアを大人買いしたり、コスプレキャバクラで大豪遊したり。そんなアキラの周囲に女の影チラリ。ソレがシェラなんだけど、彼女と出逢ってから、しばらくして、アキラは忽然と姿を消したの。今は生死すら不明。まるで"千夜一夜物語"の王様に抱かれた処女達みたい。あ、ウッカリ結末をネタバレしちゃった?え?誰も"シェラザード"は読んでないの?良かった」
「ソレでドニアは、シェラが現れた後を追いかけては出没してるワケか?恋人アキラの手がかりを探して?泣ける話だけど、ホントは君もジニーの新しい主人の座を狙ってルンじゃナイのか?」
「ジニー?誰?」
うーん。どうもドニアも"シェラザード"読んでナイみたいナンですけど。
コッチもネタバレだけど、シェラザードの妹はドニアザードって逝うんだ。
あと蛇足だけど、大江戸風力は僕が勤務する第3新東京電力の子会社だ。
もともとドメスティックな業界だったのに、最近ヤタラとグローバルw
ま、いいや。
「とにかく、シェラは悪魔ょ。彼女が現れてから、不幸なコトばかりが起きるの」
「ソレは、もしかしたら、アキラがジニーのランプを盗んだからじゃナイか?さまよえる浪人ジニーはランプを盗んだアキラに呪いをかけてルンだ」
「アキラは、今や心神喪失なの。大金が彼をおかしくしてしまった。確かに、アキラはトルコの洋上風力発電プロジェクトで風車を建てる前の海底探査を行うソナー技術者だった。私への手紙の中で探査中に"何か"を見つけたと言ってたわ。私の気を引こうとしてるだけかと思ってたけど。出資者を募り"何か"を掘り出し、ソレを秋葉原にいる出資者に送る約束だったそうょ。でも、ある日突然、ジニーの復讐が始まってしまったの。ねぇ、アキラは未だ何処かで生きてるわょね?絶対に生きてるわょね?だって、もしアキラが死んでしまったら、次に悪魔のジニーが狙うのは私でしょ?助けて!アキバ最強の作家とメイド長のコンビさん!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
眠らない街、六本木に来てる。
この街では、僕は素顔を隠す。
と逝うのも六本木の交差点を学区内に持つ小学校で縁あってJAZZを教えているからだ。
どんな深夜でも、この街で遊ぶと翌日には必ず小学生に筒抜けになってると逝う恐怖w
と逝うワケで、ガールズバー"アイドル千夜一夜"へ人目を避け駆け込む僕達。
あ、僕達と逝うのは、僕とミユリさんで、またまた弁当持参で食堂へ的な展開w
「おはよう、アサミちゃん。あ、コチラではアイナちゃんか。元気そうね?」
「ミユリ姉様、おはようございます!まさかこの街でお会いするコトになるとは」
「ゴメンね。少し教えて欲しいコトがあるのょ」
アサミさんは、アイドル志望のメイドさんで暫く地下ライブで頑張ってたが、今は六本木に移ってると逝う、まぁよくあるパターン。
"アイドル千夜一夜"は、アラビアンナイトの世界観を持っている1種のショーパブ。
女子は全員ベリーダンサーのコスでおヘソが可愛いんだけど顔はベールで覆ってる。
そのベールを取って顔を拝むには、指名を入れなければナラナイと逝うアコギな商売だ。
アイドル在籍多数の例に漏れずネットの顔写真は過半数が目元をVサインで隠してる系w
「へぇ。コチラが噂の"テリィ御主人様"ですね?へええぇ…ふぅーん…あ、はじめまして。元@ポエムにいたアサミと申します」
「あ、アサミちゃん。テリィ様は初めてだったっけ?驚いた?普通の人で」←
「そうですょ!姉様ならIT長者でも何でも選り取り見取りでしたでしょうにMOTTAINAI…じゃなかった!お幸せそうで何よりですっ!で!写メの方ですょね?多分ZARD姉様だと思いますけど」
カウンター越しにミユリさんがシェラの画像をスマホで見せる。
スワ営業かと色めき立つ黒服をアサミさんが"指"で追い払うw
「間違いナイです。ウチのZARD姉様です。ココが今の店名になる前からお勤めのベテランでしたが、実は先月から欠勤が続いて…多分クビかと」
「アラ大変。えっと、ロッカーとか未だ残ってるかしら?」
「え?まだ大丈夫だと思いますけど…中を御覧になりますか?マスターキーとかもらってきましょうか?」
ミユリさんは首を振り、奥の更衣室に逝くとシェラのロッカーの取っ手に白粉を吹いて指紋を浮かび上がらせ写メると何処かに送信。
「アサミちゃん。さっきお店の名前が最近変わったようなコト、逝ってたっけ?」
「あ、ハイ。前の店名は確か…"アラビアン・ランプ"だったかな。みなさんは"ランプ"とお呼びだったようです」
「そう。やっぱりね」
何だょ"ランプ"は店の名前だったのか!
全くさっきの"シェラZARD"と逝い…
ヒネリのないネーミングばかりだなw
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ミユリさんがシェラの指紋を送った先は、女サイバー屋で御屋敷常連のスピアだ。
で、スピアから先は陸運局がどーしたとか逝ってたケド何がどうなったかは不明w
とにかく!
指紋からシェラの本名と恐らく現住所?が判明し、僕とミユリさんで強襲する。
現場は、何と中央通りから1本入った再開発ビルの中のマンション17Fの1室。
ミユリさんが躊躇いなくピンポンするw
「こんにちわ!国営放送の受信料は払わないゾ国民会議の者です!まさかお宅、受信料をお払いではナイでしょうね?!」
「え?何?アレ、払わなくても良かったの?ああっ!ミユリさんにテリィさん!どうしてココがわかっちゃったのかしら?!」
「そりゃ払わなくても良い受信料なんか払ってるからだょ」←
えっ?と不審な表情を浮かべるシェラだったが、その隙をつき、物陰から女が飛び出す!
わっ!ドニアだっ!拳銃を持ってる!厚さ1インチのワルサーPPSだっ!ホント薄いなw
「やっと見つけたわ。随分と手間をかけさせてくれたじゃない?シェラさん。まぁ今回は秋葉原のおバカなコンビに貴女を探させて、後をつけるだけだったけどね?例のランプ、渡して頂戴。貴女が持ってルンでしょ?」
「やや?ドニア、君が探してるのは恋人のアキラさんだろう?ランプじゃ無いハズだ。ソレに拳銃って何だょ?君は警察?」
「まさか。それから、アキラなんて人、ハナからいないの。アンタ達お人好しのヲタクに一働きしてもらうタメの方便ょ。で、秋葉原のヲタクはコレで用済み。消えて頂戴」
ドニアがワルサーPPSの銃口を僕達へ。
「ま、待てっ!よーし、ソレじゃコッチも最後の手段だ。シェラさん!君は僕のジニーだょな?願いゴトは多分後2つ、少なくとも後1つ残ってる。この場を何とかしてくれれば、僕は絶対に君の持ってるランプを擦る!命にかけて擦るから!」
「秋葉原のヲタクって5歳児?悪いけど忙しいの。手間かけさせないで」
「あら!ドニアじゃない。久しぶり、テヘラン以来かしら?でも、ホントに手間がかかるのはココからょ」
次の瞬間、ドニアがシェラに突き付けていたワルサーはシェラの手に移り、ドニアの深い胸の谷間へと、ピタリと狙いをつけているw
何がどうなったの?!
「ハイ。京成電鉄、じゃなかった形成逆転。ミユリさんとテリィさんの素人組は、後で魔法の絨毯で送ってあげるからソコにいて。ドニア、私達プロ同士は、お互い最初から覚悟は出来てるハズょね?」
「う。殺すなら殺せ」
「ちょ、ちょ、ちょっち待った!逝われた通り下がったら余計にアングルが良くなっちゃったけど、このシーン、今、ライブ画像で配信中だから。僕のメガネに仕込んだスパイカメラで」
僕がハリーポッター風の丸メガネを指差すと女スパイ?の2人組は明らかにアタフタする。
シェラは慌ててワルサーを隠して愛想笑い、ドニアは肩をスボめて口笛を吹く仕草だw
コレが地なのか?
意外にカワイイw
エヘンエヘンとシェラが咳払いをして、僕(の丸メガネのカメラ)に向かって話しかける。
「せっかくのライブ画像とのコトですので、この場をお借りして、私、シェラは、ココに過日テリィ氏にウッカリ"不本意なキス"をしてしまったコトを、全アキバのヲタクの皆様、特にミユリメイド長様に深くお詫び致します。ゴメンナサイ」
僕(の丸メガネのカメラ)に向けシェラが深々と御辞儀して実に気持ち良かったが、コレでキスしたコトは動かぬ事実になってしまうw
メガネにカメラなんてのは、モチロン咄嗟に出たウソだったのだが。
ああぁ!ミユリさんに聞かれたんじゃ何もかもオシマイではナイか。
第4章 カーマ・スートラとメロン
と逝うワケで、今回も色々とピースが集まったので、そろそろお終いになりそうだ。
先ずシェラだけど、もちろん彼女がジニー?と逝う線は残っているワケなんだけど…
実際は、発掘された遺物保護を政府から請け負うエージェントと逝うトコロらしい。
彼女自身はフリーなんだけど、彼女の雇い主は政府をも動かす篤志家と逝うコトだ。
で、対するドニアは、その遺物を略奪し売り飛ばしては活動資金にするテロリスト。
今回、彼女達は秋葉原のコレクターがサルベージした"ランプ"を巡って争奪戦となる。
世の中には色んなヲタクがいて、トンでもないモノにトンでもない値段をつけたりする。
今回はソレが"ランプ"だったが、もともとトルコには(アフガニ)スタンからヘロインが大量に流れ込んでて、ソレ系の事件が後を絶たない。
まぁ今回の"ランプ事件"を契機に、また突飛なコトが起こるカモしれないなwお次は、海賊のお宝?常温核融合?宇宙人の死体?
でも、やっと手に入れたと思ったら、実は欲しいモノでなかったと気づく。
そうなんだょ、人生って、いつも皮肉なジョークに満ちているからね…
とにかく!
さすがに、テロリストのドニアは姿を消したけど、ジニーかもしれない?シェラの方は、今宵も御屋敷に遊びに来てるw
ミユリさんとの会話に聞き耳を立てると…
「貴女は、私のような"ベンガルの女豹"が貴女の大事な御主人様のコトをセックス奥義の教科書に載ってる、あの手この手を使って責めまくっても何ともないの?」
「ないわ。そもそも責めてくれれば良いのに、貴女ったら、せっかく口説かれても話が長く終わらなくて朝になっちゃうコトがあるそうじゃない?モノホンのシェラザードじゃあるまいし、ソレってどーなの?マヌ法典に違反してナイかしら。ところで、そんなコトより貴方、メロンを使うみたいね」
「あら、得意技ナンだけど。何処で聞いたの?」
「室温だから。テリィ様のお好みは」
げっ!トンでも無い話をしてルンですけどw
「…うーん。何かやっぱり私、貴女にはかなわないような気がする。秋葉原のメイドさんって、みんな、貴女みたいな人ばかりなのかしら」
「ねぇ、そんなコトより…実はね、私、貴女に1つだけ、お願いがあるの。もし、ねぇ、もしもょ、貴女が噂のランプを持ってるなら、テリィ様に誰より先にランプを擦らせてあげて」
「貴女…ソレ、本気で言ってるの?ってか、貴女はソレで良いの?」
「ありがとう。恩に切るわ。テリィ様は5才児だから。私は、彼と逝う幼稚園の先生なの」
ミユリさん。ソレはナイでしょ…でもTHANKS←
「なぁ、今回は僕もミユリさんも、ヤタラ3つのお願いとか口走ったけど、もし、もしもだょ、願いがかなうとしたら、アキバ女子のみなさん!どーしますかぁ?」
「私?私はミュージカルスター。外神田を日本のブロードウェイにしたいの!」
「私は、WCBのチャンピオンになりたいわ!」
おぉ御屋敷の常連女子はみんな勇ましいな?
スパッツ履くかタイツ履くかの差はあるがw
地球はアキバのメイドが回してる!
「ねぇ、テリィ様。結局、テリィ様が口になさるコトのなかった3つ目の願いゴトって、何だったのでしょう?」
「え?そんなの決まってるさ。いつも、いつの日も、ミユリさんとハッピーエンドが迎えられますように、ってさ」
「やっぱり?でも、ソレなら大丈夫です!テリィ様と私なら、いつも、いつだって、ハッピーエンドですから」
なぁ、アラビアンナイトって教訓めく話が少なくて、ひたすらスペクタクルなんだけど、タマにはこーゆー世界も良いんじゃナイか?
とゆーか、コッチの方が退屈しないょね。
おしまい
今回は海外ドラマなどで見かける"ランプの魔神ジニー"をネタに、マチガイダの裏menu"ダカレー"のレシピも絡んで遺物保護の女エージェント、遺物売買の女テロリスト、秋葉原から六本木に流れた元メイドなどが登場しました。
TVで見聞きするNYの都市風景を秋葉原に当てはめ展開しています。
なお"ダカレー"レシピは、インドではなく、セネガルのカレーレシピとなっています(私の好みですw)。
秋葉原を訪れる全ての人類が幸せになりますように。