時と場所は考えてほしい
ルナ・アルバレスの仕事は、魔王様を起こすところから始まる。
「おはようございます。魔王様。」
「おはよう、ルナ。今日も朝から君の顔が見られて嬉しいよ。」
「ふふっ、私もです。さて、本日のスケジュールをお伝えいたします。」
「はぁ、もう少しぐらい照れてくれていいのに」
「毎日毎日言われていたら、慣れてしまいますよ。」
不満げにいう魔王ことユーリに、ルナは微笑み、予定を伝える。
「ーーーーーーー以上です。何か確認したいことは?」
「今日も勇者は来るんだね。」
「ええ、急ぎの手紙が送られてきました。……やはり、やめておいた方が?」
「気にしないで?ただ、今日勇者が来るって妹が知ったら大騒ぎだと思って。」
「で、殿下が……」
「まぁ、なんとかなるよ。前みたいに城を半壊したりはしないんじゃない?」
それでも不安げにするルナの額に、ユーリは口づける。ほんのりと頬を染めるルナを見つめ、耳元で囁く。
「なんかあったら僕がなんとかするから、君は自分の恋人を信じて?」
「…はい」
恥ずかしそうにはにかむルナ。
ユーリは気づいていたが、ルナは気づいていなかった。
2人の桃色空間に当てられ、遠い目をしていた部下たちに。