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プロローグ
戦いは常に手が届く場所にある。
なのに人はそれをまるで汚物のように敬遠し、遠ざける。
本能の内には誰でも長い年月の中で培ってきた戦闘本能があるはずだ。
でもいつの日かそれは厳重な心理の檻に囚われ、静かに眠ってしまった。
そのため人は知らないところでいつもストレスを溜め込んでいる。
溜め込まれた黒い塊は一点に集束し、一つの存在を生み出してしまった。
〈暗闇〉(ゼノス)。
それは生きた闇。
それは死した光。
それは人間の体ではなく心に生まれる狂気を餌とする。
そのたった一つの欲望を満たすため怪物は今も現代社会の奥底で蠢いている。
特に生息密度の高い日本には世界主要国からの援助を受けて対策本部が設立された。
それは六花扇と名づけられ、日本各地に支部を置き活動している。
これは世界の命運をかけた光と闇の戦争である。
この終わりなき戦争に終末の符を打ち込むため、平和を装う世界の裏で今日も人々は戦い続ける。
いずれ訪れるはずと夢見る平穏のために。
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