プロローグ
「かっこいい……」
彼女の口から漏れ出たその言葉と感情はあまりにも場違いだっただろう。なにせ自分の肉親が目の前で殺されているのだから。
この感情は何なのだろうか。
問いかける相手もいなく、親を殺した相手は自分に見向きもせずに去っていってしまった。
親が殺された理由など分かりきってる。
こちらは魔族で相手は人間、親は魔王であの人間は勇者なのだから。
その位は分かりきっている、がその時の勇者の立ち振る舞いに憧れてしまったのだ。
それは魔物の強者に従う本能からなのか、それとも幼き者が夢物語の主人公に憧れるようなものなのか。
どうすればあのような存在になれるのか。しかし自分は魔族であり、そのような存在になることなんてできないと諦めるしかなかった。
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数年後…
「全然来ないじゃん!!!」
彼女はそう叫び机を思いっきり叩く。
勇者になれなくてもあのような存在になりたいと諦めきれず、ならば直接本人に問いただしてやると魔王を受け継ぎ城にて待っていたのだが、肝心の勇者が来る気配など全くなかった。
「もういい!こっちから行ってやるんだから!!」
そう叫ぶと何の用意もしないまま自分の城を飛び出して人間達の住む領域の方へと去ってしまった。
これは勇者を目指す子供魔王と彼女に巻き込まれる者達の物語である。
連載速度は遅くなる場合が多いでしょうが頑張りますのでどうか応援おねがいします!!