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3.誰得?

 体内で蠢くモノを意識しながら日々を過ごす。

 室温の変化が乏しく、窓の外もあまり見通せないから季節感とかよく判らないが、感覚的に誕生日から半年くらい経っただろうか。ようやく、ちょっとだけ言葉を覚えた。といっても、いくつかの固有名詞と、『抱っこ』とか『ご飯』といった単語だけだが。

 ちなみに、俺の名前は『アフロス』らしい。

 それを認識したとたん、頭の中でアフロヘアーの蛙の絵がカットインしてきた。何かのキャラだろうか。

 最近は、母親ではない乳母らしい人は来なくなったので名前は判らずじまい。

 メイドさんらしき子は『ケリー』らしい。

 父親と母親の名前はまだ判然としない。夫婦で呼び合っている単語は『あなた』とか『おまえ』などを意味する言葉かもしれない。ケリーが呼ぶときも『旦那様』とか『奥様』とかだと思うし。

 まだ二足歩行は厳しい。一歳半くらいで歩けないのってどうなんだっけ? 性別とかでも成長に違い出たっけ?

 そうそう、この肉体は男だった。

 そして、やはり前世も男だったんだと思う。というのは、ケリーとお風呂に入る機会があり、妙に興奮を覚えたからだ。もちろん、心の中だけで肉体は反応していない。いつもは母親と一緒に入るのだが、母親の体調が悪くてケリーが代打で入ることになったみたいだ。ちなみに、母親では興奮しなかった。きれいだとは思うのだが、肉親だとやはりそういう気分にはならないみたいだ。正常な感覚に安堵した。

 そしてケリーとの入浴だが──激しく裏切られた気分になった。

 生えていたのだ。

 ナニが。

 そう、ケリーは男だったのだ。

 俺の純情を返せー! って叫びそうになりながらも、脳内では『男の娘キター!』と囁きどころか絶叫してくるし。やかましいわ。誰得だよ。

 ただ、ケリーとの入浴にも一応の成果はあった。

 ケリーの体から、例の蠢くモノが感じられたのだ。それも複数。

 手で触れられてもよく判らないし、体でも服の上からでは判らなかったのだが、直に体に触れればそれを知覚出来た。そしてそれは、何故か母親からは感じられなかった。

 父親は、手で撫でるくらいの接触しかしてこないので蠢くモノがあるかは判らない。


 ***


 二回目の誕生日らしきものを迎えた。

 ようやく二足歩行にも慣れ、たどたどしくも言葉を発するようになると、家の中をうろつきながらケリーや母親に「あれは何?」「これは何?」と教えて君になっていた。脳内に『ggrks』とか浮かんだけど意味が判らない。どうやって検索するんだよ。そういうチート能力でもあればいいのに。

 例の蠢くモノについては、まだ言葉が拙くて質問出来ずにいる。

 進展、と呼べるかどうか判らないが、体内の蠢くモノに意識を向けると、反応があった。活性化したときほどではないが、小さく蠢く感じで。

 毎日歩ける範囲で探索をしているが、家からはまだ出して貰えず、家の中も行ける範囲を制限されていたのですぐにやることが無くなる。暇なので蠢くモノで遊んでいると、徐々にだが反応というかその存在が大きくなってる気がする。

 脳内では『魔力練成』とか『身体強化』とか囁いてくるが、よく判らない。前世の記憶を探ると、魔力を血液のように体内で巡らせるとか、体に纏わせるみたいな設定話が浮かんでくるが、そういうのとはどうも違う気がする。


サブタイトルそれかよ、とか突っ込まれても気にしませんw

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