22.方針
座学でどういった武術や鍛錬方法があるかを学んだ上で、これから俺が何をやるべきか、教育係とアンリだけでなく何故かアルシャークまで一緒になって検討することになった。
「アフロス君は、将来何になりたいんだい?」
アルシャークに問われる。が、具体的なプランはなかった。
そもそも、まだ俺はここがどんな世界であるかも把握できていない。
ただ、それを正直に問うのは色々とまずい。どういう観点からの質問なのか、説明出来ない。
なので、遠回しに色々聴くことにした。
「……魔法や武術が使える人たちは、どんな職業に就くんですか?」
「そうだねぇ……。実のところ、所属が違うだけで選択肢はあまり多いとは言えないかな。国や領地にいる軍隊、金持ちの用心棒、冒険者、魔法が得意で頭が良ければ研究者なんて道もある。あとは、宗教関係も魔術師は欲しがっているかな」
宗教関係、か。例の神殿とか、権益拡大のために欲しがりそうではあるな。俺にその気はないが。
「実力者であれば、騎士や宮廷魔術師として召し抱えられ、爵位を与えられたりもするね。法衣貴族としてだけど」
法衣貴族って……たしか、領地を持たない貴族のことだっけ?
「冒険者というのは、どういうお仕事なんですか?」
脳内からは色々知識が垂れ流されてくるが、ここの実情を知る必要があった。
「一言で言うと、何でも屋だね。狂暴な獣や魔物を退治したり、遺跡や迷宮を探索したり、隊商を護衛したりと荒事を請け負う職種だよ。物探しや荷運びとか、荒事がメインじゃない仕事もあるけど、その過程で荒事に巻き込まれる場合もあるから、やはり戦う力は無いと出来ないだろうね」
概ね、脳内の知識と変わらないみたいだ。
というか、迷宮があるんだな。脳内では『めざせ最年少迷宮踏破者!』とか言っているが、何か意味があるのか? ついでに『ダンジョンコア』とかよく判らない単語が流れてくる。
「で、どうする?」
再度問われる。
正直、宮仕えは性に合わない気がしている。
やるなら冒険者かな。途中で進路変更も不可能じゃないだろうし、気軽に構えるか。
「冒険者……ですかね。それも、ソロで何でも出来るような」
前世で読んだであろう小説に、『他の冒険者は信用するな』というような件がいくつもあるみたいなのだ。この世界がどうかは判らないが、例の神殿のこととか、大地が残した文書を鑑みれば、あながち間違いでもなさそうだ。もちろん、そんな連中ばかりではないだろうが、そういう気構えでいた方がいいだろう。
「やはり、そうきたか。迷宮や森の中で戦うのなら、格闘術と剣術がメインでいいかな。あとは盾術や罠関係か」
「魔術の才があるのに、剣術とか必要なの?」
アルシャークの言葉に、アンリが反論する。アンリは体を動かすことが苦手らしく、自分もやらされることを嫌がったのかな。俺と一緒に勉強する時間が減ることを嫌ったのか、などと自惚れはしない。……うん、無いな。
「魔術が使えない状況もあるだろうし、魔術が効かない相手もいるかもしれない。不意を突かれれば魔術を使う余裕はないかもしれない」
無詠唱でもノータイムで撃てる訳じゃない。……いや、そういう常駐プロセスを作れば可能かもしれない。発動する術が固定なら、対象を選択するだけで発動可能に出来そうではある。対象選択を手の向きや視線で固定するなら、ほぼノータイムで発動も可能か。今度じっくり考えてみよう。
「アルシャークさんの案でお願いします」




