20.無詠唱
※設定間違ってたので修正orz
伯爵のところに引っ越してから暫くすると、アンリが遊びに来るようになった。
陪臣貴族らの子供は、都市内にある学校に通わせることになっているらしく、敷地内に住んでいる子供はアンリとセーナを除けば俺とケリーしかいなかった。
アンリにも年の近いいとこはいるみたいなのだが、他の都市に住んでいるため滅多に会うこともなく。セーナ以外に子供の侍女もおらず、遊び相手が欲しかったらしい。
近いと言っても、アンリの歳は、俺の二倍近く上なのだが。どうやら俺が年齢不相応に喋っていたため、アンリも俺のことを四歳児として扱う気はないみたいだ。
とは言え、俺が相手に出来ることは、家の中でのことに限られる。アンリの興味は魔術やスキルにあるみたいなので、インドアで全然構わないみたいだが。
ただ、俺がまだ四歳であり、大地の備忘録に記されていたこと以外、魔術関係は何も学んでいないことを知ると、一緒に勉強するよう強要された。俺としても興味があることだったので、喜んでOKしたのだった。
鍛錬はまだ始めていないが、アンリと一緒に勉強を始めることになった。アンリが望んだため、魔術関係以外も同席することになったのだが。どうやらアルシャークに頼み込んだらしい。
とは言え、十歳くらいのアンリと四歳の俺では理解できる範囲も異なる。内容を俺に合わせれば、その分アンリの勉強が遅れてしまう。そのため、基本的には従来のアンリ向けの内容で行い、余裕があれば、俺に判りそうなことを追加で説明する運びとなった。
前世の記憶があるため、算術だけは問題なく。あとは、魔術関係以外は言葉の学習という位置づけでしかなかった。
肝心の魔術関係だが、最初はやはりついて行けなかった。大地のやり方と全然違ったのだ。
これに関してのみ、教育係の説明をただ丸覚えするに留め、後からアンリとセーナに詳しく聞くという方法を採った。魔術に関しては、セーナはアンリよりも詳しかった。
それでも、暫くは理解できずにいたのだが、ひと月ほどでようやく簡単な魔術を使えるようになった。
時間が掛かった原因は、一般的な魔術には、大地のやり方に比べ無駄な工程がいくつか入っているのだ。大地は脳内で魔法陣を描くことでただの一時プロセスとして実行していたのだが、それをせずに魔術を使うには、『魔素励起』『魔法陣構築』『術式展開』などの手順が必要になるみたいだ。目的は魔法陣を描き、術を発動させるためらしい。そのためには呪文の詠唱が必要で、そしてそれを行うと発動時に魔法陣が外から『見える』ので、魔術の行使が他人からバレバレだった。更に別の工程を入れることで、外部から見え難くする工夫も出来るようなのだが、その分詠唱は長くなるので初心者にはお勧め出来ないらしい。
家に帰って大地のやり方でやってみたら、同様の効果が得られた。脳内では『無詠唱キター!』と騒いでいた。そういや、プロセス生成も実は無言で出来たっけ。徐々にではあるが、チートっぽくなってきたな。




