18.猫耳
サブタイで紹介が終わっている気がw
「……俄かには信じられませんが……お父様がおっしゃるのなら間違いないのでしょうね」
暫く固まっていたアンリだったが、セーナから足をどけると、腕を掴んでセーナが起き上がるのに手をかしていた。
一方セーナは、何事もなかったように、俺に向き直ってお辞儀をした。
「アンリ様の侍女、セーナと申します」
改めて、セーナの姿を見て。
脳内が騒ぎ出した。『ケモミミキター!』『チビ猫タンprpr』とか喚いている。アンリのときよりテンションが高い。チビ猫って形容じゃなく名詞で言ってるみたいだが、誰だよ。
大きな三角耳が頭の上に二つ。人族では無いみたいだから、外見から年齢を察するのは間違っているのかもしれないが、見た目だと七歳くらいだろうか。
「あ、うん。僕は、アフロス」
とりあえず、挨拶を返す。
俺の声を受け、セーナの猫耳がピクッと震えた。やっぱりあれが耳なんだよな。髪の毛で隠れているので見えないが、顔の両サイドにも耳が付いてたりするのだろうか?
セーナは俺が耳を見ていることに気付いた様子で、
「お気づきの通り、獣人種でございます。ここへは奴隷として売られてまいりましたが、大変よくしていただいております故、お気遣いは無用でございます」
聴いてもいないことまで教えてくれた。
気遣い無用って、さっき踏みつけられてたよね君?
まぁ、柔らかい絨毯の上で、わざわざ靴を脱いで踏んでいたので、身体的な苦痛は無かったのかもしれないけど。精神的苦痛は受けてるよね? それともそういう趣──
「何か失礼なことを考えていませんか?」
顔に出ていたのか、釘を刺される。
平気そうなので、深くは考えまい。立場的なものもあるだろうし。
というか、やっぱり奴隷制度はあるのね。まぁ、《隷属》がある世界だから、安心して奴隷を抱えることが出来るだろうし、予想通りと言えば予想通りなんだが。
……思考を切り替えよう。
「魔力量を察知出来るの?」
「はい。私は魔力感知のスキルを持っております故。受動的には、あまりはっきりとは認識出来ませんが、能動的に調べようと意識すれば、距離があってもある程度正確に認識出来るのです」
なるほど。一つのスキルに、パッシブとアクティブの両要素が含まれているのか。
パッシブスキルとしては、普段と違うものの接近に『違和感』の様なものを感じるのだろう。そして、その『違和感』に対して、意識して調べれば詳細が判る、と。便利だな。
俺のスキルにも同じよう機能はあるのだろうか? そういえば、鑑定で出たスキルについて何も聞いていなかったな。
「ちょっと、私を無視しないでよ」
セーナとばかり話をしてる俺に腹を立てたのか、悪役令嬢が割り込んで来た。
「これはアンリお嬢様。僕はアフロスと申します」
機嫌を損ねて踏まれるのも嫌なので、素直に自己紹介。
「ふんっ。それで、あんたにはどんな力があるの?」
「……さて、自分でもよく判らないのです」
俺の返事に、アンリの方眉が上がる。
「鑑定結果はアルシャーク様がご存知です。というか、結果について、僕も詳しく聞いていないので判らないというのが現状です」
アンリはアルシャークの方を見た。
「ふふっ。アフロス君はなかなか利発な子ですねぇ」
アルシャークが楽しそうに微笑んでいる。……四歳にしては喋り過ぎたか、言葉遣いがまずかったか。余計な興味を引いてしまった様子に、ちょっと反省。
「アフロス君のスキルは、魔術感知と、系統不明な特殊魔術、それと、何らかの固有能力があることが判っている」
「固有能力!?」
アルシャークの言葉に、セーナは驚き、アンリは再び絶句していた。




