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13.転移者のチラ裏話(1)

 母さんから紙束を受け取って自室に籠る。

 久しぶりの日本語。

 紙を捲って最初に思ったのは、字体の違いだった。

 書写した人にもよるのかもしれないが、意味も判らず写し書いているのだろうから、極力似せて書くと思うので、おそらくは原本から違っているのだと思う。つまり、大地とは違う人物が残した物。

 体裁というか、文体も違っていた。

 雑記帳と呼ぶなら程度の差でしかないのかもしれないが、俺の感想としては、大地のは備忘録、これはチラシの裏だ。脳内では『便所の落書き』とか囁いているが、そこまで酷くはないだろう。ただそれも書き方だけの話で、俺にとって書かれている内容の重要度はどちらも変わらない。真偽はともかく、能力に関しても重要なことが色々書かれているし、この世界についても気になることが書かれていた。

 ざっと見た範囲では、書いた人の名前は無く。書かれた年代も判らなかった。

 この人物は、どこかの国の王族によって呼び出されたらしい。詳細は書かれていないが、特殊な魔道具を使うことで異世界から呼び出せるみたいだ。脳内では『テンプレキター!』と騒いでいる。

 名前が判らないので、仮に『転移者』と呼ぶことにする。

 原理としては、大地が呼び出された召喚魔法陣と同じなのだろうが、転移者は魔法陣らしきものは見かけなかったと記していた。転移者もラノベとか大好きで、興奮しながらも冷静に色々と観察したらしい。

そして、その観察の中で、色々とヤバい物にも気付いていた。

 転移者にとって幸いだったのは、転移時にスキル『鑑定』を取得していたことと、大地が呼び出された召喚魔法陣と違って、《隷属》は付与されなかったことだ。

 呼び出した王族の説明によれば、転移時に得られるモノは、《ギフト》と呼ばれているらしい。《言語理解》と、何らかのスキルが与えられるとのこと。

 ちなみに、この《言語理解》は大地に付与されたモノと同じみたいで、『鑑定では確認できなかったが、明らかに異なる言語を理解しているので何らかの効果は得ているのだろう』と転移者は記していた。

 この鑑定は、大地が記していた『プロセスを介さない特殊能力』なのだろう。そして逆に、鑑定ではプロセス関連は検知出来ないみたいだ。

 ただ、常駐プロセスによって『与えられる効果』は、ステータスとして鑑定出来たらしい。《加護》については『自動回復XX』(XXには数字が入り、おそらく大きな数字ほど効果が高い)とか見えていた様だ。そして、《祝福》については『隷属XX』と見えていたのだ。

 転移者は自分に『隷属』が付いていないことに安堵するとともに、警戒した。

 王族から《祝福》を受けさせられそうになり、まずはその《祝福》とやらを検証することにしたらしい。他に《祝福》を受けている者を何人も紹介して貰い、そして実際に《祝福》が他の人に与えられる場面も見せて貰う。そして、《祝福》が『隷属』を付与することを確信した様だ。

 その後暫くはのらりくらりと躱して。ある程度情報収集をしてから、脱出したらしい。


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